第179話、Who are you ?
ユリウスが天に帰ってしばらくの間皆感傷に浸ってたが、ミアは気合いを入れるかの様に両頬をパシッっと叩き、
「さてと。帰りますか!他の兵の皆にも戦いが終わった事を伝えたいし!!」
「そうじゃの。ワシが復活したとなれば民もビックリするじゃろうて。」
「本当ですね。私もいまだに信じられませんもん。ユリウスはやはり天才でしたね。」
3人はユリウスの2度目の死を受け入れてはなしていた。
俺は終わった事を報告しようとヴォイスに念話を飛ばすが何故か繋がらない。
その後も何度も念話を飛ばした。
不思議に思った俺はミアにも頼んでみた。
「ミア。ヴォイスに念話を飛ばしてるんだけど何故か繋がらない。ミアの方でも念話をしてくれないか?」
「分かった。.......アレ?おかしいな、私も繋がらないだけど。」
「マジか...。ひょっとしたら何かあったのかもしれない。」
「でも、アイツらはもう居なくなって危機は去ったんじゃないの?」
「わからない...。嫌な感じがする。
早く行こう。」
「そうね。早く戻りましょ!?」
俺たちが戻ろうとしたその時、リアから念話が入った。
(アンタ!!どこに居るの!?
早くこっちに来て!!このままだと皆が...皆殺られちゃう!!キャァァァ!!)
ここでリアからの念話が切れた。
何だ!!一体何が起きたんだ!?
「悪い!!今仲間達がアリュートに居て何かが起きたらしい!!悪いが俺は先に行く!!」
「待たれい、コウ殿!ワシの魔法でワシら3人を送る。グスタフは兵士達に戦いの終戦と直ぐ様アリュートに戻ることを告げるのじゃ!」
プロペトの言葉にグスタフは頷づいて、
「分かりました!皆様お気をつけて。」
「うむ、それでは行くぞ。」
俺とミアは頷く。
「
俺達3人光に包まれた瞬間、視界が変わった。
その視界に映ったものはボロボロになったお城だった。
「な、なんだこれは?何が起きたのだ?
カインは、部下は大丈夫なのか...?
誰かぁ!!誰か居ないかぁぁ!!」
ミアは取り乱し大声で生存者を居ないか探す。
俺は探知のスキルを広げた。
生存者は居る。やけに少ないが...。
「ミア、落ち着け。生存者は居る。それに耳を済ませ。誰かが戦っている。まずはそこに向かおう。」
「う、うん。分かった。」
俺達3人は戦闘音のする方に走った。
「それにしてもこの結界はなんじゃ?
王宮全体に張られているな。」
王宮全体に聖の魔力の結界が張られていた。
「この結界は俺の仲間が張った魔法かもしれない。」
「そうね。この魔力の波動はノエルね。街に被害が出ないように張ってくれたのかもしれない。」
「これだけの大きさの結界などワシの時代でも中々出来るものなどおらんかったのじゃが...。時代の流れかの...。」
プロペトは感傷に浸るが、
「感傷に浸っている暇はないですよ。お祖父様。もうすぐつきます。」
爆発の嵐が凄まじくなってきた。
嫌な予感が止まらない俺は、
「先に行く。気をつけて来てくれ。」
と言い残し、先の戦いでミヨウミマネした『
移動した先には俺のパーティーメンバーが居た。
「「コウ!!」」
「遅くなった。」と言いパーティーメンバーの顔を見る。
アルト、リア、ラテ、ボロック、ノエル、そして師匠のデューク、その後ろにルシフェル。後は聖剣の形に戻っている。
あれ?居ない。
ここに居なきゃいけない人物が...。
俺は皆に問うた。
「皆...。ヴォイスは?ヴォイスはどこに居る?」
「ヴォイスは...。」
皆が言いづらそうにしている。
そして、急に爆風が収まった。
土煙が晴れて今回の襲撃者の姿が見えてきた。
「ま、マスター....?」
「ヴォイス?お前何をして...。」
「マスタァァー!!逃げてぇぇ!!私は...私は...イヤァァァァァァ!!!」
ヴォイスが頭を抱えてうずくまった。
俺がかけよろうとするとアルトが俺の腕を掴んで止める。
「コウくん。行っちゃダメだ。
今のヴォイスはおかしい...。」
おかしい?
この状況を見ればおかしいのは知っている。
何でとめるんだ?
皆ヴォイスが心配じゃないのか?
俺はアルトの腕を引き離そうとするがアルトは離してくれない。
「ダメだよ。今のヴォイスは何かに取りつかれている。僕のお兄さんが錯乱したみたいにヴォイスもここに着いた瞬間に急に苦しみだして僕達を攻撃し始めたんだ。そしてヴォイスはずっと逃げて。と言いながら。僕はコウくんが来ればヴォイスも正気を取り戻すかもと思ったけど、コウくんが来たらもっと悪くなった。」
「離してくれ...。」
「離せない。君を近づかせたら何か良くないことが起こる。」
「頼む。離してくれ。」
「行かせない。絶対に君を行かせない。」
アルトは身体を張って止めてくる。
「何で分からないんだ。俺にとってヴォイスは大事なパートナーなんだ。
俺が一人で何も知らないこの異世界クラウディア来た時からずっと一緒に居たんだ。
頼む。ヴォイスの所に行かせてくれ。」
「コウくん。君がヴォイスを大事なのは知ってる。そして、ずっと君を支えてきたのも。
知ってるからこそ止める。僕は君の親友として。行かせない。」
コウとアルトが押し問答しているところにヴォイスの身体から黒くて大きな触手が2人に襲い掛かって来た。
それをボロックとデュークの聖剣の力を使い弾き返した。
「こんな戦場で何してんだ。俺はそんな事を教えてないぞ。全く。」
「師匠...。」
「そうですぞ。2人とも少しは落ち着いてくだされ。」
「ボロック...。」
2人に諭され俺は少し落ち着いた。
俺は確かに冷静じゃなかった。アルトを見ると目に涙を溜め必死だった。
アルトの姿をちゃんと見て俺はいつも通りに落ち着いた。
「アルト、ごめんな。落ち着いたよ。」
そう言うとアルトは安堵の顔をし、
「良かった。」と一言つぶやいた。
落ち着きを取り戻した俺はヴォイスを見る。
ヴォイスはムクッと立ち上がり不気味な笑みをし、口を開いた。
「ここでコウ・タカサキ、貴様を殺れればこの世界は楽に支配できたものを。
そんなに簡単には行かないか。
まあ、それも一興。」
ヴォイスは男とも女とも言えない声を出した。
そんなヤツに俺は聞いた。
「お前、誰だ?」
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