第160話、転移の先に待つものは。
ヴォイスの待つアバドンまで転移した次の瞬間。俺が目にしたものは信じられない光景だった。
なんとソーマが空に浮きながら、アスタとリスクの首をそれぞれの手で絞めていた。
「ソーマ!!何やってるんだ!!
アスタとリスクはお前の子供だろぉぉ!!」
俺の声に気づいたソーマは、
「.....。コウ・タカサキか。
よもやこんな形で再開することになろうとはな...。」
恐ろしく低く冷たいその声はソーマの声ではなかった。
正体を突き止めるより先に俺は、
「アスタ!リスク!戻れ!!」
俺がそう言うとアスタとリスクは光の粒子になり、俺の手に聖剣の姿で戻ってきた。
「2人とも大丈夫か!?」
(なんとかね...。)(死ぬかと思ったの...。)
「何でこんなことになったんだ...?」
(お父さんが変なんだ!それにダンジョンにあった魔剣の臭いがするんだよ!)
(お父さんの体内から臭いのがするの...。)
体内からだと...。
俺はソーマを見る。
もちろん鑑定だ。
ソーマ(???) LV180+(???)
状態
・乗っ取られ
俺の鑑定でもこれしか見れなかった。
正常に鑑定が出来ない。
なんだこの(???)って...。
それに乗っ取られって、一体誰に乗っ取られているんだ...。
情報が少なすぎる。
俺がソーマ?を見ながら思考を巡らしていると、
「ふん。鑑定か...。
貴様の鑑定レベルでは我の事は見えないだろうな...。
まあいい。教えてやろう。
我が名はゼウス。
人神ネメシスの半身と言えば学の無い貴様でも分かるか?」
「な!?」
俺は驚愕した。
今までの騒動の親玉が急に現れたのだから誰でも驚くだろう。
でもなぜ...。
「何で...。何でだ...。何で、
貴様はソーマを乗っ取ったぁぁ!?」
ゼウスは首を傾げて不思議そうな顔をしている。
「何で?はて、おかしな事を言う?
貴様はご飯を食べる時、何でご飯を食べるんだろう?なんて考えないだろ?
我にとってはそれと同じ事。
そこに居たから乗っ取った。それだけだ...。」
「それだけって貴様...。」
俺は怒りに震えた。
「ははは。そんなに怒りに震えて滑稽だな。
本当ならこうなっているのは
!?
俺は言葉を失った。
さらにゼウスは言葉を続ける。
「でも貴様の中のエネルギーの種類が変わってしまったのは誤算だった。
闇のエネルギーをもっと持つものだと思っていたが、
せっかく力を分けてやったのに使えない奴等だ。
ん?
なるほど、なるほど...。
そうか、そうか。うん、うん。
感謝するぞ。コウ・タカサキ。」
ゼウスは一人頷き納得しては嬉しそうに俺を見る。
「何が感謝だ...。
お前に感謝される筋合いはない。
それにお前はここで終わりだ。」
「終わり?
あーはっはっは。貴様、面白いことを言うな。いいぞ。少し我が相手になってやる。」
ゼウスは構えを取る。
俺も構えに応じて構えを取った。
(お父さんを殺すの?)(殺すのダメなの...。)
(殺さない。殺すわけないだろ。
お前達の家族を。俺の友達を。
俺はこれからソーマから
力を貸してくれ!!)
(わかった!)(...なの!!)
「ヴォイス!!俺の中に入って力を貸してくれ
ラウルはアイツの力を抑えてくれ!!」
「はい!!」「アニキ!了解したよ!!」
「おい。準備は出来たか?」
ゼウスは戦いたくてウズウズしている感じが伝わった。
「ああ。待たせたな。行くぞ。」
俺は先制攻撃といわんばかりにスキル[瞬歩]を使い距離を詰める。
反応してないのか無防備な腕に目掛けて斬りつける。腕とかなら落としても
しかし、
キィィン!
俺が聖剣で斬りつけたその時、魔剣が出てきて俺の剣を弾く。
「遅いな。少しガッカリだ。」
「焦るなよ。まだ始まったばかりじゃねーか。行くぞ...。[一閃乱舞]。」
超高速の剣技にゼウスは涼しい顔で受け流していた。
「こんなものか...。拍子抜けだな。
攻守交代だ。
神なる我の剣撃にすぐ殺られてくれるなよ...。
[
ゼウスは魔剣を十字に斬ったその瞬間、
音速を越える速さの真空が俺を襲う。
俺は聖剣で防ぐが一撃、一撃がとてつもなく重い。
俺がもし躱わしたら、アバドンの街が崩壊してしまう。
俺は受けるしかなかった。
ここまで力の差があるのか...。
このままでは押しきられる...。
「ラウル!!俺の力を解放してくれ!」
「分かった!!」
ラウルの制約が消え、元のステータスに戻る。
するとゼウスの剣撃がものすごく軽い剣撃となった。
これで戦える。
「アニキ!!ごめん!!
アイツのステータスは何でか分からないけど制限がかけられない!!」
ラウルが困ったように言ってくる。
ゼウスが神の半身だからなのか...?
「仕方ない!
ラウルも人化を止めて俺に力を貸してくれ!」
「分かった!」
ラウルも俺の元に帰ってきた。
さあ、ここから反撃開始だ。
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