第158話、ボロック達の地獄2。
「さて...。お前達はここに何しに来た?
よもや観光って事ではあるまい...?」
大きな魔族が冷たく声で問いかける。
「何って、お前を倒しに来たに決まっているだろ。」
俺がそう言うと、
「この俺を倒しに来ただと...。
クックック。
その程度の実力で笑わせてくれる。
お前達では相手にならんよ。
後ろに居る奴は中々骨がありそうだが。」
魔族はデュークに視線を送る。
「そんなのやってみなければ分からないだろう?」
「やらなくても分かるわ。
その程度のレベルで俺に敵うわけ無いだろう。お前達は俺の実力が分かんないのか?
鑑定も持ってないとは...やれやれ。」
「ボロック。こんなヤツの話なんて聞くだけ無駄よ。さっさと殺りましょ!」
殺りましょって、ノエルが段々過激に...。
「そうだな。無駄話していると、師匠に怒られそうだし...。」
「同感...。早く倒して少し休憩したいわ。」
「だな...。ノエル、ブレイブ!頼むぞ!」
「わかったわ!」「承知!」
俺は
ノエルは俺に
そしてブレイブは、俺の魔力を吸い
魔族は俺に向かって魔剣を振り下ろす。
俺は魔族に向かって聖剣を振り上げた。
ギィィィィィィィーーーン!!
剣と剣がぶつかり衝撃波が走った。
威力は互角。
その衝撃で互いの体が少し離れる。
「ほう?中々やるではないか。
これはどうかな?
魔剣技・
魔族から放たれた斬撃は形を変えて俺に襲いかかってきた。
俺はその残撃を打ち落とそうとするが、
まるで意思を持っているかの如く俺の剣を躱わし次々と攻撃をしてくる。
一撃一撃が重く身体と生命力が段々と削られていく。
その激しい魔族からの攻撃に次第に立っていられなくなり、俺は膝を着いてしまった。
ノエルの
そう思っていると、
「ボロック!受け取って!!
ノエルの聖魔法で俺の傷ついた身体は瞬時に完全回復をした。
これほどの回復力とは...。
俺はノエルをみるとノエルは尋常じゃない程に疲弊していた。
「ボロック、ごめん。魔力が残りわずかになっちゃった。もう
「俺の方こそ不用意に戦ってすまない。
もう決めるから少し休んでくれ。」
「うん...。ごめん。」
ノエルが少し下がり防御を固めた。
「ブレイブ...。
俺の魔力をありったけ使って俺の能力と
「承知した。
ボロック...。
お主は私と契約して日が浅い。
が、その信念は一緒だと思っている。私と
「俺に出来るのか...?」
「出来る。俺は確信している。
ボロック、心を一つにだ。私を信じろ。
私はボロックお主を信じる。」
「...わかった。」
俺は一つ息を吐く。
そして、精神を落ち着かせた。
静かだ...。
そして、俺の内側に灯る2つの光が見えた。
この光を重ねるイメージをする。
「どうした?目を瞑って。
もう俺には勝てぬと諦めたのか?」
もう少しだ...。
俺はブレイブを信じる。
「興ざめだな...。
もう死ぬがよい。さらばだ。」
魔族は魔剣を振りかぶった。
その瞬間、俺の身体が光輝く。
「これが
凄まじい...。」
「ボロック。そう時間はないぞ。」
「あぁ。わかっている。」
「お、お前...。なんだその光は...。」
「お前に説明する時間はない。消えろ。
同調剣技・
ボロックが持つ聖剣ブレイブの剣身が伸び光の如く魔族を斬りつけた。
真っ二つ。
そう魔族は真っ二つに斬られた。
「この俺がこんなところで...。」
そして、魔族は絶命した。
その瞬間俺の身体から発していた光は消えブレイブも元の剣の形に戻っていた。
「ハァハァ。倒せた...。」
「ボロック。よくやった。完璧な同調だった。」
「あぁ...。ブレイブ。ありがとう。」
「ボロックゥゥーー!!」
ノエル元気よく飛び付いてくるのを俺は受け止める。
「ボロック!スゴいよ!一撃だったね!一撃!格好良かったぁぁ!!さすが、僕の旦那さん!!」
俺の腕の中でキラキラした眼で興奮しているノエルを見て強く抱き締めた。
「ボ、ボロック。どうしたの!?」
「俺はもっと強くなってノエルを守っていくから!」
「うん...。僕もボロックを守るからね。
一緒に強くなろう!」
「あぁ...。」
2人の間にお花畑が咲いた。
しかしそのお花畑もデュークの一言で消えてしまう。
「ほう。さっきは限界みたいな事を言っていたが余裕があるじゃないか...。」
「い、いや。これは...。」
「言い訳無用。この後のダンジョンもお前達で突破してもらうからそのつもりでな。」
「....はい。」
デュークの目は本気だった。
「どうだ?ルシフェル。」
ルシフェルは魔剣を見て、
「あぁ~。これはレプリカだね。黒い塊の魂は入っていない。ハズレだよ。」
「そうか...。ならここには用はない。次に行くぞ。」
「え!?もう!?僕はもうヘトヘトだよ~。」
ノエルはその場に座り込んでしまう。
「時間がないと言っているだろ?
後2つダンジョンに行く。その道中で休めるだろ?あんまり駄々を捏ねると走って行かせるぞ。」
「....鬼。」
「これはお前達の為だからな。
お前達を強くする為なら俺は鬼にも、悪魔にでもなろう。」
「くくく。悪魔が側に居るのに面白いジョーク言うんですね。デューク。腕を磨きましたね。くくく。」
「お前はうるさい。話の腰を折るな。」
「おっと、失敬。
それでこの剣は私が
「あぁ。これで少しは力が上がるだろ?」
「そうですね。
それではいただきます。」
そう言うとルシフェルは口を大きく開けて魔剣を飲み込み始めた。
剣先から口に運びそのまま柄まで一飲みにして、
「ご馳走さまでした。」
と涼しい顔で言った。
俺とノエルはその光景を見て唖然としてしまう。
「驚かしてごめんね~。その顔が見たくてわざとやったんだ。くくくくく。
貴方達....その顔最高!!
ははははは~!!イーヒヒヒヒ!!
笑いすぎてお腹いたい!!」
「ルシフェル...。茶化しすぎだ。
それよりもボロック、ノエル。次に行くぞ。」
「は、はい。」
まだ、笑い転げているルシフェルを置いて俺たちはダンジョンを出た。
そこから次のダンジョンまでデューク聖魔法を習いながら、出てくるモンスターを片っ端から倒していった。
休みなどほとんどない。
寝ている時間もモンスターに襲われるため深くは寝れない。
ノエルの結界魔法があるのだが、感覚を研ぎ澄ます為に禁止されていた。
そして、2つのダンジョンを発見して看破したのは1週間たった頃だった。
「デューク、残念ながらここもハズレ。
この辺にはもうダンジョンはないよ。」
「そうだな。それでは一度アバドンに帰るか...。 ギルドに報告もしないといけないからな。」
「や、やっと終わった...。」
「本当に...。殺されるかと思ったわ。」
「2人ともよく頑張った。
この1週間で劇的にレベルも上がったし、2人の連携も言うことない。
今日で卒業だ。」
「デューク師匠。ありがとうございました。」
「....ありがとうございました。」
俺は強くなって嬉しかったが、ノエルは初めての旅が地獄と化した恨みを少し持っていた。
しかし、アバドンに行く道中のデュークは2人に優しくて、ノエルの恨みも次第に消えていったのだった。
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