第157話、ボロック達の地獄1。


ダンジョンに入るとデュークが意味深な顔で言う。


「やはりか...。」


「やはりとは?

魔族のいるダンジョンには何かあるんですか?」


「あぁ...。魔族のリーダーらしき者が持っている魔剣が問題なんだ。」


「魔剣ですか?」


「話を聞いたところ君達も戦っただろ?

スノーフリーデンで 。その時に黒い塊を見なかったか?」


「あぁ...。見ましたね。なんか意思がある魔物ですかね?禍々しかったのを覚えています。」


「そう。その後、黒い塊はどうした?」


「叩き斬ってそれからは...分かりません。

気付くと無くなっていたので消滅したのかと思っていたのですが....まさか!?」


「そう...。そのまさかだ。

やつらは消滅したんじゃない転移されて魔剣にされていた、いやそういう制約があったらしい。

ここに居るルシフェルが教えてくれたんだ。」


ニタニタとイヤらしい顔を浮かべながらルシフェルが話してくる。


「...フフフ。そうですね。お教えしましょう。

人神ネメシス様の半身の悪の部分が塊となって8個に拡散したんです。

様々な人間を乗っ取って、色んな知識を培っていって強くなっていくんですよ。

そして、倒されたときの保険として、強くなったエネルギーが自身を守るために剣に変異していったんだと思います。

フフフ。憶測ですがね...。」


「で、では魔剣は8本あると...。」


「そうですね...。

その魔剣の中の1本に人神ネメシスの悪の半身...、まあ、彼は自分の事をゼウスと呼んでいましたが、ゼウスもあるハズなのです。」


「それを俺たちは破壊するために魔族のいるダンジョンの奥を目指しているって訳だ。

放って置いたら魔族も外に出てこの世界は大混乱になるぞ。」


剣聖デューク達の目的を知って事の重大さを知る。


「なるほど、では急がないと行けませんね。」


「ああ。その為にもお前達には今よりもっと強くなってもらわないと困る。

ここからのダンジョンはボロックとノエルは前線でガンガン戦え。

俺が後ろからフォローするから気兼ねなくな。ダンジョンに入ったら休みは無いと思えよ。」


デュークが鬼みたいな顔で鬼みたいな事を言う。

「魔族相手にそれって私たち死んでしまうのでは?」


「死にやしないさ。俺が後ろで守ってやるから。って言うか戦う前から泣き言か?

まずその根性から叩き直してやろうか?

あぁ~!!」


剣聖らしからぬ気迫で私達を攻めてきた。


「ぼ、ボロック。や、やるわよ!!

僕たちは早くコウ君達の強さに追い付かなきゃなんだから!!魔族になんて負けてられないわ!!」


ノエルは必死に冷や汗をかきながら私に言ってくる。


「ノエル...。わかった!!わたし...いや、俺も覚悟を決める!」


「ボロック。俺も居るから安心して戦え。」


「ブレイブ。ありがとう。それではいくぞ!!」


俺たちはダンジョンに入っていく。

ダンジョンに入ってすぐに2体の魔族に遭遇した。

俺はすかさず大剣ブレイブを構えた。

そして、ノエルが俺に能力上昇の魔法をかける。

魔法が掛かった事を確認し、魔族に突っ込んでいく。

魔族の一体が後方で魔法を放って来た。

俺はノエルを信用して無視して突っ込んだ。


魔法反射リフレクト!!」


ノエルの魔法が俺の前に張られて、飛んできた魔法は反射され魔法を放った魔族に直撃した。

そして俺は前線の魔族に一太刀。

魔族も剣で応戦してきたが、力押しで剣ごと真っ二つにしてやった。

自分の魔法を直撃した魔族も結構なダメージを負っており、続けざまに一太刀浴びせると呆気なく絶命していったのだ。


「魔族ってこんなものなのか...?

正直拍子抜け何だが...。」


「そうね。もっと手こずると思っていたわ。」


「それはそうだろ。巡回している魔族なんて、魔族の中でも最低に弱い奴らだけだからな。

その分、進めば段々と数が多くなるから油断はするなよ。」


「「はい!」」


デュークに言われてさらに気を引き締める。

そして、進んでいくにつれて魔族の数が増えていった。

最初は5体、次は10体、その次は20体と。

まさに倍々で増えていく魔族にボロボロになりながらも何とか倒していったのだった。


何体の魔族を倒したのだろう...。

数えてないから正確な数は分からないが、

少なくみても100体以上は倒してきていると思う。

俺とノエルは指示をしたり、アイコンタクトをしなくとも連携が取れるくらいになっていた。

その様子を後ろに居るデュークは腕を組みながら俺たちの戦いを時々頷きながら見ていた。


そして、さらに魔族を倒しながら進み、大きな部屋に出たところで空気が一変した。

部屋の奥から感じる重圧プレッシャーは、今まで倒してきた魔族とは根本的に違ったのだ。


「ここまで来る人間がいるとはな。

少しは楽しめそうだ。」


そう言って現れた魔族は3メートル程あり、額には一本のツノが生えていた。

そして、手に持っていた大きな剣からは息が苦しくなる程の禍々しい邪気オーラを放ち鈍く光っていたのだった。

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