第156話、アルト達の攻略2。
そこから見回りしている魔族達を僕達は次々と倒していった。
レベルも着実に上がっていって戦闘が楽になっていった。
何より凄いのがソーマさんだ。
ありとあらゆる武器を場面場面で巧みに使い分け魔族を圧倒していた。
元Sランクなんて言っていたが、僕から見れば現Sランクの上位って言ってもおかしくないほど強かった。
「ん?僕の顔なんか見てどうしたの?
あんまり見つめられると恥ずかしいなぁ~。」
「い、いや。そんなに強いのに何で冒険者を辞めたのかなって思いまして...。」
「あぁ~。その事ね。まぁ色々あったのさ。
今は鍛冶をしている時が一番楽しいんだ。
アルトくんが使っているクラレントやアスタとリスクみたいに僕の子が活躍してくれると本当に嬉しいし。
だから、今は戦うより作る事の方が好きなんだよ。」
「そうなんですね。でもこんなに強かったなら僕達が出会った時の素材集めとか一人でやった方が早かったんじゃ?」
「あははは。
それはね、君達が楽しそうだったからだよ。
冒険者になりたてでキラキラしてる君達を見て僕も昔を思い出して一緒に付いていこうって思ったんだ。思った通り楽しかったよ!
今もこうやって冒険できているのが楽しいけどね。
それよりもそろそろ目的の場所に着きそうだよ。魔族の魔素が一段と強くなっている。」
目の前の大きな扉から溢れんばかりの邪悪な魔力とプレッシャーを僕達は感じていた。
「前衛は僕に任してアルトくんとリアは最強の魔法を詠唱してね。」
「はい!」「うん!わかったわ!」
「ラテちゃんは援護よろしくね~。」
「うん。任して!」
「よし、入ろうか。」
「ソーマさん、ちょっと待ってください。
今みんなに補助魔法掛けますね。
これでだいぶ楽に戦えるはずです。」
「本当に?ありがと~!」
「
パーティーメンバー全員に淡い光が包む。
「これはスゴい...いや、すごいなんてもんじゃない。全てのステータスが倍...いや、3倍になってるよ。」
「出来ることは全てしておきたいんです。
これなら、戦えると思うんですが。」
「アルトくん。大丈夫!これなら鬼に金棒だ。負ける気しないよ。」
「そうね。この力なら行けるわ!!」
「さすがアルト様!!私の魔力も爆上げしたわ!!」
「よし!準備は整った。みんな行くよ!」
ソーマの一声で僕達は気を引き締めた。
ギィィィー....。
扉を開けると魔族が一斉にこっちを見る。
その数はおよそ100。
その中の中心に居る禍々しい剣を持つ魔族が声を出す。
「何故ここに人間どもが...。
まあいい...。お前らこれからこの世界中の人間どもがを蹂躙する前に見せしめとしてあいつらを殺せ。
そして、あいつらの死体を持ってまずはこのすぐ側にある村に絶望を与える。」
「ウオォォォォー!!」
「やっと殺せる!!人間どもを!!」
「目に物を見せてやるぜぇぇ!!」
魔族達はいきり立って一斉に僕たちに向かってきた。
僕とリアは詠唱を始める。
僕とリアを守るように目の前にはソーマさんが陣を取っていた。
僕の後ろに居るラテは弓を構える。
「先制攻撃行くよ!
光属性の付与された1000を越える矢が襲ってくる魔族に一斉に降りかかる。
「こんなヘナチョコの矢が俺たち魔族に効くはずがねーだろうが...!?ガハッ...。」
先頭を走っていた魔族がラテの弓矢をもろにくらい、絶命した。
「お前ら舐めてかかるな!!本気で行けぇぇ!!」
「は、はい!!」
すると後方の魔族が防御魔法を展開しラテの矢を弾じき始めた。
「わ、私の矢が...。」
「ラテ!気にしないで射ちまくれ!!
あの防御魔法も持続時間は長くはないから大丈夫だ。」
「わかった。」
ラテはソーマの指示に従い、
力の限り無数の矢を射ちまくった。
そして、僕とリアは今だ詠唱中...。
威力が強い魔法の詠唱はどうしても長くなってしまう。
その間に攻めてきた魔族をソーマが撃退していった。
いくらソーマでも数の暴力に段々押され始める。
「ソーマさん!!
詠唱完了しました。戦線から離れてください!!」
「ソーマ兄ちゃん!巻き沿い喰らうわよ!!」
「分かったよ!!」
ソーマが前線から離れたのを確認。
僕とリアは互いに魔法を放つ。
「
「
2つの魔法が聖剣クラレントを通し融合していく。
そしてその魔法がクラレントの剣先から放たれた。
「合体魔法。
目映い光と共に放たれた魔法は一瞬で巨大な部屋を銀世界に変えた。
もちろん魔族達は一瞬で絶命する。
しかし、奥に居たリーダーらしき魔族だけは剣に守られて右半身凍らされても息があった。
「な、何故たかが人間にこれほどの力が...。」
「何かを守りたいって気持ちが僕たちを強くするんだ。お前達の薄っぺらい野望なんか僕達の思いの力の前では通用しない。」
「思いの力...。くだらない...。
が、そのクダラナイ力に負けたのか...。
いいな...。俺も生まれ変わった人間に...なりた....。」
そこでリーダーは息絶えてしまった。
彼は人間に憧れていた?
そして人間になりたかった?
分からない事は多いが僕は祈る。
彼の魂が浄化されて人間に生まれ変われるようにと。
そして、彼の持つ剣を見て違和感を持つ。
あの魔法を喰らって傷ひとつない。
黒く深くそして鈍く光る。
僕は自然に手が伸びた。
「アルト様!!ダメよ!!」
僕を止めたのは聖剣から人化したクラレントだった。
「これはダメ!アルト様これは危険な剣だわ!私と正反対。とにかく離れて。」
僕はクラレントに手を引かれて剣から遠ざけられた。
「ほぉ~。これが魔剣か。
いいね~!興味わくよ。
アルトくんこれは僕が貰ってもいいかな?
ウエポンマスターの僕なら多分使いこなせるし、改造をしてみたいんだよね~。」
「お、お父さん!!その剣は...。」
「クラレ!少し黙って。僕はアルトくんに聞いているんだ。」
ソーマに言われて黙るクラレント。
「ソーマさん。本当に大丈夫でしょうか?」
「大丈夫、大丈夫!ホラ!!」
ソーマは魔族から剣を剥がしその場で素振りをする。
「うん。手に馴染む、いい感じだ。」
「ソーマさんがそう言うなら僕はいいですけど...。」
「アルト様...。」
クラレントは何か言いたそうだったが、それ以上は何も言わなかった。
「よし、それじゃ魔族の魔石を回収して村に帰ろうか!」
ソーマは元気よく魔石の回収を始めた。
僕たちも回収始めたのだが、魔剣が気になってしまう。するとソーマは収納魔法で魔剣も収納していった。
魔剣が収納されると不思議と気にならなくなっていった。
魔剣とは一体何だ?
意思があるのか?
僕は不思議でならなかった。
魔石を回収して村に戻ると歓喜を上げて村人達は喜ぶ。
「アルト殿、皆様。ありがとう。
貴殿達はこの村の英雄だ。村を上げてお祝いするぞぉぉ!!皆の者準備してくれ!!」
それから村では3日3晩夜通しで祝われた。
そして、結婚の儀式やら何やらバタバタして結局僕らは一週間居たが、ソーマさんは4日目で用事があると言って何処かに行ってしまった。
気にはなったが、僕達は父、母にも結婚の報告をするためにレオンハートに向かうのだった。
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