第155話、アルト達の攻略。
世界樹に向かい僕たちは歩いていた。
結界が張ってあるがどうにも魔力の淀みがあり、結界と呼ぶには余りに脆弱であった。
これもダンジョンが出来たせいらしい。
「着いたぞ。ここが世界樹の根本だ。
ここから5分ほどで行けばダンジョンに着く。俺達はここまでで限界だ。
魔族が怖いんだ。本当にすまない。」
案内してくれた獣人の戦士とエルフの戦士が申し訳なさそうに謝ってきた。
「全然謝らないで下さい。
ここまで案内してくれてありがとうございます。
ここからは僕たちが何とかしますので安心してください。」
「おぉぉ!アルト様。本当にありがとうございます!我々は無事の帰還を村でお待ちしております。どうか、後武運を。」
「はい。」
僕達は案内をしてくれた村の戦士達に挨拶をしてダンジョンに向かった。
それにしても、鑑定したら村の戦士達もそんなに弱くはない。
それを一方的に攻撃できる魔族達の戦闘力は油断できないな。
世界樹にポッかり開いたダンジョンの前に僕達は来た。
「ここからは油断できないのでみんな気合い入れて行きましょう。
ソーマさん、前線で壁役とアッタカー両方になるんですが大丈夫ですか?」
「ん?大丈夫だよ~。
僕はウエポンマスターだからね~。収納魔法でにいっぱい装備入れてきたから。」
「あれ?ソーマさん、収納魔法をいつの間にか覚えたんですね。」
「まあね~。君達が王都にいってる間に覚えたんだよ。メチャメチャ便利だよね。
今回僕はアッタカーよりは壁役に近い感じで行こうかな。
遠距離攻撃に特化しているパーティーだからさ。」
「そうですね...。壁役お願いします。
ラテは探知魔法を切らさないで敵が現れたら先制攻撃をお願い。」
「任せて!私の弓でバンバン射ぬいて行くわ!」
「うん。お願い。
クラレは聖剣に変わって僕を支えて。」
「はい。旦那様の言葉のままに。」
クラレは聖剣に戻り、僕はクラレを装備する。
「リアは僕と一緒に魔法で攻撃していくよ。」
「任せて!!どんな相手が来てもブッ飛ばすわよ!!ねっ!アルト様!!」
「うん!そうだね!
よし!みんな行くよ!!」
「うん!」「「はい!」」
ダンジョンに足を入れる。
一歩進んだだけなのにダンジョンの奥から禍々しい気配がバンバンと伝わってくる。
今はコウくんも居ない。
僕がしっかりしなきゃ...。
僕が、僕の魔法でみんなを守るんだ...。
僕は拳を握りしめた。
すると、
「アルトく~ん。
気合い入れるのは良いけど気負っちゃダメだよ。」
「ソーマさん...。」
「みんなを守りたい気持ちは分かるけど、みんなもアルトくん、君を守りたいんだ。
だから、みんなを信じて戦って欲しい。」
僕はリアとラテの顔を見る。
2人は僕の目を見て頷いてくる。
クラレも同じ気持ちなのを感じた。
バシッ!
僕は頬を叩いて気合いを入れ直した。
「すいません。僕は気負ってた見たいですね。もう大丈夫です。行きましょう!!」
僕達は一歩、また一歩とダンジョンを進んでいった。
しばらく歩いていると、
「止まって。
前から3体、気配察知に引っ掛かったわ。
私が先制攻撃するね。」
ラテは弓を構えた。
矢は魔法で作るため無制限に射てる。
「行きます。必中の矢。」
ラテの射った矢は肉眼では見えなくなったが奥から声が聞こえてきた。
「ぐあぁぁ。何で矢がいきなりくるんだ。」
「いてぇ。いてぇよぉ~!!」
「注意散漫すぎるぞ。
バカどもが人間の気配があるって言っただろうが。」
「お前そんなこと言って俺を盾にしやがって。」
「へっ!筋肉しか取り柄がないバカを盾にして何が悪い。俺に怒るのは筋違いだろ?
怒るなら俺じゃなくて矢を放ってきたバカな奴等にしろ。」
「ちくしょぉ。殺してやる...。殺してやるぞぉぉ!!」
一人の魔族いきり立ってがこっちに向かって走ってきた。
「来るよ!アルトくん、リア、詠唱を僕が押さえる。」
ソーマは片手剣と大きな盾を装備して魔族を迎え撃つ。詠唱している間にラテは弓を射っていた。が、ラテの弓は次々と躱わされる。
「軌道が分かればそんな矢なんか当たるか!!まずは1匹!!
オラァァ!!潰れちまいな!!」
魔族はソーマに大きなハンマーを振りかぶってた。
ガァァン!!
魔族のハンマーはソーマの盾によって弾かれた。
「潰れなくて残念だったね~。
この程度の威力じゃ何ともならないよ。
アルト!リア!」
「了解!リア!」
「かの者を縛りつけたまえ、
リアが放った魔法で魔族を縛り上げる。
「
風の刃がリアに拘束された魔族の首元を切り裂いて絶命させた。
「な...。頑丈が取り柄のアイツがあんな風の魔法一発で殺られるなんて...。」
「ウオォォ!!よくも、よくもぉぉー!」
仲間を殺されて怒った魔族が突進してくる。
「バカ!行くな!!」
制止も聞かず突進するが、
「遅いよ~。」
武器を日本刀にチェンジしたソーマが突進してきた魔族に一太刀。
斬られた魔族は崩れ落ちていった。
「残るは君だけだね~。」
「何なんだお前達は!!何なんだよ!!
糞がぁぁ!!」
なんと魔族は急に振り返り逃げ出したのだ。
それを逃すほど僕達は甘くはない。
「逃がすものか!!
ラテの放った渾身の矢が、
逃げている魔族の脳天を貫通させた。
必中の矢は必ず当たる。
見えていれば打ち落としたり簡単なのだが、
逃げている相手には効果絶大だ。
そして逃げている魔族はその場を動かなくなった。
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