第152話、銀翼の翼の実力。
ダンジョンを下に降りれば降りるほど巡回している魔族が増えていったが、
レベルが順調に上がり続けている俺には相手にならなかった。
それを後ろから付いてきている[銀翼の翼]のメンバーは、
「魔族って実際弱いんじゃないか?
あんな簡単に殺られるわけないだろ。」
「いやいや、
「それでもあんな簡単に魔族が殺られるか?」
「なんかインチキをしてるに決まってる!」
「そうだ、そうだ!!」
などと勝手な事を言っているのが聞こえてくる。
インチキなんてしてないっつーの...。
そうだ...。
一応、Aランク冒険者なんだから魔族の1人位倒せるだろ...。
そう思いながら進んでいると、
大きな扉の前を守る様に魔族達が10人程居た。
あの扉の奥が親玉が居る部屋だな...。
「ラウル。
これから俺が突っ込んで魔族の一人を誘導して
「えっ!?兄貴、そんな事したらあの冒険者達死ぬんじゃないの?」
「そこでだ、もし
「いいけど...。何でそんな事をするんだい?
あいつらは兄貴の事を嫌っていただろ?
なら放っておいてもいいんじゃないかな?」
「そうなんだけど、それでも知り合った奴が死ぬところはあんまり見たくはないかな。
それに、これは
俺達は強いと驕っているからいい薬ってところだな。
冒険者として一皮剥けるのに避けて通れない道ってヤツだよ。」
「ふーん。まあ、兄貴が良いならオイラは従うさ!兄貴は案外優しいんだな!」
「案外ってなんだよ。
俺の半分は優しさで出来てるんだぜ。」
「....そ、そっか。よく分かんないけど分かった!」
ラウルに気を使われた...。
ヴォイスならちゃんとツッコんでくれるのに...。
俺は少し寂しくなりつつ、
「じゃあ、ラウル頼むな!」
「うん!任せて兄貴!」
俺は魔族に向かって歩いて行った。
今回は奇襲じゃなく正攻法で行くから鉄の剣に風の魔法を付与させて魔族達の真っ正面に立った。
「誰だお前は!?
ここに来るまでに巡回してた我ら同胞は何をして居るんだ!!」
「巡回してたやつらは皆倒したぞ。」
「ば、バカな!?
たかが人間にそんな事出来るハズがない!!」
「お前らは皆同じ事を言うんだな。
俺がここに来たのが証拠だろうに。」
「うるさい!!お前ら殺ってしまえ!!」
喋ってる奴以外の魔族が一斉に俺に襲いかかってくる。
俺は
案外動きが遅いな...。
さてと、どの魔族にしようかな?
[銀翼の翼]でもギリギリ倒せそうな魔族は...と。
俺は鑑定をしながら魔族を選んでいた。
コイツかな?
レベル120なら[銀翼の翼]のメンバーでも戦えるだろ。
俺は1人の魔族に狙いを定めて[瞬歩]で近づき[銀翼の翼]を目掛けて蹴りつけた。
蹴られた魔族は一直線に[銀翼の翼]の近くまで吹っ飛んでいった。
よし、狙い通り。
後はコイツらを適当に相手をして[銀翼の翼]の戦いを観てみるか。
本当に危なくなったら俺が助ければいいし。
俺は他の魔族と戦いながら[銀翼の翼]の戦いを観ることにした。
~銀翼の翼~
「魔族がこっちに吹っ飛んでくるぞ!!
皆退避!!」
銀翼の翼のパーティー達は飛んでくる魔族をそれぞれかわした。
ドゴォォォン...。
「何だって
「本当に嫌な奴ね...。危なかったわ。」
銀翼の翼の面々はコウに愚痴を漏らしていた。
その時、
「くそ...。いってぇぇなぁぁ。あのくそ人間がぁぁ。」
「ま、魔族がまだ生きて...。」
銀翼の翼のパーティーが魔族に怯んでいると、リーダーのリバーグが声を上げる。
「お前らボーッとするな!戦闘態勢を取れ!!」
その声に我に変えったパーティー達は即時にフォーメーションをとって魔族と対峙した。
魔族は首を鳴らしながら、
「あ?なんだ...。
人間がこんな所に居やがる。
クックック。これはついてる。
人間を殺せば俺も幹部に昇進出来るぜ!!
行くぞぉぉ!オラァァ!!」
魔族は銀翼の翼に向かって走っていく。
「ケール!!前で防御態勢!
アレッタ!!攻撃魔法の詠唱!
カリン!!俺たち全員に補助魔法!!
ギーマ!!弓で狙え!!
俺は隙を見て攻撃する!!」
「「了解!!」」
パーティーはリバーグの指示通りに動く!!
走ってくる魔族にギーマが弓を放つ。
「
数十の矢が風の魔法を付与し、魔族に一直線に飛んでいく。
が、魔族は避けない。避けるの程威力ではなかったのだ。
「きゃーははは!!何だコレは?
むず痒いぞ!!」
魔族は矢の雨をくらいながら無視して突っ込んでくる。
「皆受け取って!
カリンの補助魔法で銀翼の翼の全員の能力が上がる。すると、さっきまで弾いてたギーマの弓矢が少し刺さった。
「チッ!うざってぇな!!
魔族が放った極大の黒炎が弓を打っているギーマを襲う。
「うわぁぁ!!」
ギーマは腰を抜かして動けない。
「ばか野郎!!
ケールとギーマとの位置が一瞬で替わる。
「鉄壁!!」
ケールは魔力をフルに使い黒炎を防ぐ。
しかし、黒炎の威力は予想以上に凄まじくケールは一瞬でボロボロになった。
「キャハハ!!まずは1匹~!!」
「この糞がぁぁ!!」
仲間がやられて頭に血が上ったリバーグは魔族に向かった。
「人間を舐めるなぁぁ!!エレメンタルスラッシュ!!」
精霊の力を剣に乗せた一撃を放つ。
魔族は防御の姿勢もとらずにリバーグの一撃をくらった。
剣の衝撃で砂ぼこりが舞う。
「どうだ。糞野郎が!!」
砂ぼこりが晴れると魔族は片膝をついていた。
「....。少し舐めすぎてたか。
おい。人間...。どうやって死にたい?」
魔族は起き上がりリバーグを見下ろす。
「あ、アレを食らって無傷だと...。」
「無傷じゃねえよ。少し痛かったわ。
俺に傷をつけたご褒美だ。
どうやって死にたいか選ばせてやる。
首を切られたいか?それとも燃やされたいか?どうしたい?」
リバーグは恐怖で足が震えだした。
もう終わりだ。俺はここで死ぬ。
言葉も出せず絶望に飲み込まれていった。
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