第150話、強くなる決意。
「なんだこれは!?」
表示したステータスに俺は驚愕した。
レベルが一気に140から170に上がっていた。
それはよかったのだが、ステータスが全て10分の1になっていた。
よくステータスを見ると、武神の腕輪の影響の為と書いてあった。
「な!?どういうことだ!?
この武神の腕輪に呪いが掛かっているのか?」
(失礼な!呪いなんか掛かってないわ!
武神ヘラクレス様への侮辱と取るぞ!!)
へ!?
まさか...腕輪が喋った?
(それは喋ることくらいできるだろ。
なんたってオイラは武神ヘラクレス様の神器だからな。
お前達の鑑定位じゃ測りきれないさ。)
なんだろう...。
この腕輪の発言、ちょっとウザいんだが...。
(おい。心の声もバッチリ聞こえているんだ。ウザいとか言うなよ!!
オイラ、久しぶりに喋れる人に会えたのにそんな事言われたら泣くぞぉぉ。)
いやいや、腕輪が泣くってどういう事だよ...。
そんな事より何でステータスが下がっているんだよ。いきなりすぎてビックリしたぞ。
(それはオイラの特性なんだ。
オイラを装備するとステータスが10分の1なるのさ!)
なるのさ!じゃねーし!!
やっぱり呪いの腕輪じゃねーかよ!!
これは速攻外してどっかに捨てなければ...。
(ちょ、ちょ、ちょっと待ってよぉぉ!!)
待ちません。
俺はこれからダンジョンに魔族を倒しに行かなきゃいけないし。
お前を持っているとステータス下げたまま戦わなきゃいけなくなるし...。
(いやいやいやいや、
本当に待ってくれってぇ!!
ちゃんとその分の得られる特典もあるだって!)
特典?
本当かよ...。
(本当だってばさ!!特典はなんとぉぉ!!)
溜めなくていいから早く言えよ...。
(てっててーーん!!
経験値10倍だぁぁぁぁ!!
どうだ!すごいだろ?)
ふーん....。
(え!何!?なんなのその反応は!?
10倍だよ、10倍!!凄いでしょ!?
凄い事でしょ!?ねっ!ねっ!?)
まぁ、何となくそんな感じはしたけどな...。
レベルの上がり方が異常だったからな。
でも、強敵と戦うときに足枷になるだろ...。
(そこはオイラと契約してくれたら切り替えられるし、まだ特典もあるんだよ。)
ふーん。そうなんだ。
なら、先に特典を教えてくれ。
そしたら契約を考えてやる...。
(君って....女にモテないだろ。
そんなに強引じゃモテないんだぜ。)
イラ。
俺は腕輪を腕から外し大きく振りかぶった。
(ちょっっっと待ってくださぁぁぁい!!
本当にすいませんでしぃぃたぁぁぁぁ!!!
特典を教えるので許してくださぁぁぁい!!)
投げる直前で止めた。
ほら、聞いてやるから早く言ってみろ。
(は、はい!
契約していただくとオイラがマークした相手のステータスも10分の1に出来ます!
ですけど、もしやられてしまった場合は相手に経験値10倍入ってしまうんですけど...。)
それは同じパーティーメンバーにも出来るのか?
(は、はい!!出来ます!)
なら契約をしよう。
(ほ、本当ですか?)
あぁ、どうすればいい?
(オイラの名前を呼んでくれればこちらで契約します。オイラの名前は.....。)
わかった。
(武神ヘラクレスの名においてこの者、コウ・タカサキとの契約を契る。我の名前を。)
ラウル。
俺が腕輪の名前、ラウルと呼ぶと腕輪が光輝いた。そして10歳位の男の子に変わった。
「てへへ。兄貴!契約してくれてありがと。
兄貴なら契約してくれると思ったよ!」
ラウルはあどけない笑顔で言ってくる。
「まあな、
ラウルの能力が素晴らしいと思ってさ。
これで俺だけじゃなくてパーティーメンバーも強くできる。俺の方こそありがとな。
それとそっけない態度でごめんな。
騙されたりしたくないから、怪しいと思うとあんな態度になってしまうんだよ。」
「いやいや、兄貴が疑うのも仕方がないって!でもこうして無事にオイラと契約してくれてホッとしてるよ。
ヘラクレス様も喜んでると思うよ~!」
「何で、そのヘラクレス様が喜んでいるんだ?」
「へ?兄貴は知らないのかい?
この世界は4人の神で成り立っている世界なんだよ。
その4人の神の1人が武神ヘラクレス様。
兄貴なら知っていると思ったんだけどな~?」
「え?全然知らないんだけど...。」
「えぇ~~!!嘘でしょ!?
兄貴はどの神様からこの世界クラウディアに送られてきたんだ?」
「ん~。名前はわかんないな。
ただノリが軽い感じの神様だったけど...。」
「え....。まさか人神っすか...?」
「人神?人神だと悪いのか?」
「はい...。人神は元は生命の神だったんだけど、長い時間人を視すぎて人の善悪を持ってしまった神様なんだよ...。
だから、武神、水神、魔力の神の魔神の3名の神が封印したハズなんだ。」
「封印したハズ?」
「何かの切っ掛けでこの世界に人神の感情の悪部分が入り込んでしまって、
神様達は大慌てで対処してるって訳なんだよ...。
って、兄貴聞いてる?」
「あぁ...。それは俺のせいかも知れない。
俺が人神から送られてクラウディアに転生してきたときに俺の体内から黒いの塊が出たらしいんだ。それが人神の悪意なのかも知れない...。」
「いやいや、そうだとしても兄貴のせいでは無いよ!!
兄貴はただ利用されただけじゃん。
そもそも、封印が時間と共に緩んできたせいだと思うんだ。
だからか、オイラが兄貴の元に来たのは偶然じゃなくてそうなる様に武神様達がしたんだと思う。」
「何で俺なんだ?他にも強い奴は居るだろ?」
「それはオイラにはわからないけど、
武神ヘラクレス様は転生者の兄貴に任せたんだと思う。
転生者って
「なら俺は強くなるしかないな。
ラウル、頼りにしてるぞ!」
「任してよ!その為にオイラが居るんだから!」
俺はいずれ戦うであろう人神の悪意の塊に向けて強くなる決意を持ちダンジョンに向かった。
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