第149話、驚くのは一日3回未満が好ましい。
あぁ~。
それにしても本当に天気いいなぁ。
このまま昼寝でも...。
と考えたが、そんな事していたのがバレたらヴォイスに何言われるか分からないのでそそくさと冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドに入るとすぎに受付嬢が近づいてくる。
また変な案件でもあるのだろうと咄嗟に思う。
「コウ様。ギルドマスターがお呼びです。」
やっぱりか...。
最近ギルドに来る度にギルドマスターに呼ばれている気がする。
いいんだよ。いいんだけどね...。
俺は慣れた様子でギルドマスターの部屋にノックして入る。
「おお。来てくれたか。
こちらからお前さんに使いを出そうかとしていた所だったんだ。それにしても今日は一人なんだな。」
「たまには、一人で依頼でもこなそうかと思って来たんだがな...。
毎度、毎度。
俺を呼びすぎじゃないか?」
俺がそう言うとギルドマスターのイカロスは頭をポリポリ掻きながら、
「しょうがないだろう...。
これでもお前さんの依頼はたんまり来とるんだが、負担を掛けないように俺だって気をつかって減らしているんだぞ。」
俺が怠けてたせいでなかなか苦労しているみたいだな。イカロスには悪いことをした。
「それはなんというか申し訳ない...。
それで次の依頼はなんだ?魔族関連か?」
「あぁ。今回の依頼は王都からだ。
王都の近くにまたダンジョンが出来たらしい。モンスターは騎士団と王都の冒険者が対応しているが、ダンジョン内の魔族に手を焼いているんだとか。
そこでお前さんに白羽の矢が立ったって訳だ。」
「そうか。規模はどれくらいなんだ?」
「それはまだ分からないが相当な数らしい。
前のダンジョンと同等位か...。」
それなら俺だけでも大丈夫だな。
「直ぐに行っていいか?」
「コウ。お前さん一人で行くのか?
さすがに心配なのだが...。」
「大丈夫、大丈夫。
最近怠けてたから、ここら辺で俺も一人でも出来るんだぞ!って威厳を見せないといけないんだ。」
「そ、そうか...。お前さんも大変なんだな。
コウ、お前さんがそこまで言うならいいが...。
それでは頼む。
行く前にレオンハートの王様に挨拶しておけよ。」
「わかってるって。じゃあ行ってくる。」
そう言って俺は転移の魔法でレオンハートの王城前まで転移した。
「相変わらずこの城はでかいな...。」
そう言いながらお城の衛兵に王家の証とギルドカードを見せる。
「Sランク冒険者のコウ・タカサキ様ですね。」
「ああ。ウィリアム王に会わせて貰いたいのだが。」
「少々お待ちください。」
そう言うと衛兵がトランシーバーみたいなのを出して、
「Sランク冒険者のコウ・タカサキ様が王と謁見したいそうなのですが...。
えぇ。はい。わかりました。
では案内致します。はい、失礼します。」
衛兵はトランシーバーみたいなのを切りこちらを向いた。
「では、コウ様案内します。」
「は、はい。」
俺は衛兵に付いていき謁見の間に通された。
そこで玉座に座っているアルトの兄、ウィリアム王が立ち上がる。
「おぉ、コウ殿。来てくれましたか。
本当にありがとう。
コウ殿達が来てくれれば100人力です。」
「すいません...。ウィリアム王。
今日は俺一人なんですよ。なんかすいません...。」
「そうなのか...。コウ殿一人で大丈夫なのか?」
ウィリアムも不安そうな顔で聞いてくる。
俺ってそんなに信用ないのか...。
そう思うと悲しくなる。
「....大丈夫だと思います。
この前もアバドンの近くに出来たダンジョンに魔族がいっぱい居たのですが、
思ったより簡単に倒せたし心配しなくてもいいと思うんですけど...。」
「あぁ。コウ殿の実力は知っているから心配はしていないんだ。
ただ...アルトがこの場に居ないのが心配で。」
なんだ...。アルトの心配か。
まあ、いつも一緒に居たから依頼だせば一緒に来ると思っていたのかな。
「アルトなら心配ないと思いますよ。
彼女...いや婚約者の実家に挨拶に行くとか言ってましたし。」
「おぉ~!そういう事でしたか!
それはめでたいことですな!
次に帰ってきたときは結婚式でも挙げる準備をしないと。
その為にもコウ殿!!
ダンジョンの魔族をどうにかしていただきたい!!お願いします!」
「ウィリアム王。頭を上げてください。
その願い私が叶えましょう。任していてください。」
俺がそう言うとホッとした顔をするウィリアム。
「ウィリアム王、質問なんですけど...。」
「コウ殿、どうした?何でも聞いてくれ。」
「あの衛兵の方が使っていた通信の魔道具はなんなのですか?
他の街では見たことないのですが...。」
「あぁ~。これの事か。」
ウィリアムはおもむろに取り出して見せてくれた。
「これはな、遥か西から来たと言う行商人が持ってきた物でな。
何でも遠くに離れた人にも連絡を取ることが出来るのだ。」
「そんな便利な物があるのですね。」
「あぁ。ただしまだまだ試作品らしくて魔力持ち出ないと使うことが出来ないんだ。」
魔力を使っての連絡手段か...。
本当に便利だな。
それにしても行商人か。
つい先程、俺も会ったけどただの偶然だろうか...。
「して、その魔道具の名前はなんて言うんですか?」
「あぁ、確か[ケータイ]とか言ってたな。」
「エエェェェーー!!」
「うおっ!?ビックリしたぁ。
コウ殿、急に大きな声を出さないでもらいたい。心臓に悪い。」
「すすす、すいません。」
ビックリしない方がおかしいだろ。
ケータイなんて単語この世界で生まれないと思うし...。
転生した人間が俺とミアの他にもいるのか?
落ち着いたらこの魔道具の出所を突き止めるみるか...。
「どうだろうか。この件が終わったらこの魔道具をアルトに渡してくれないか?
もちろん、コウ殿の分もある。」
「ぜ、是非受け取らせてもらいます。
して新しく出来たダンジョンの場所はどこなのですか?」
「レオンハートから西に行ったところだ。
馬車で半日の所にあるのだが、コウ殿なら細かい場所を言わなくてもわかるだろ?」
「そうですね。空を飛んで行きますし、探知の魔法もありますから大丈夫です。
早速これから行ってきますね。」
「あぁ。よろしく頼む。」
俺は王城を後にして西のダンジョンに向かった。
途中、モンスターと戦う王国の騎士や冒険者達の姿が見える。
モンスターの方が数が多く苦戦していた。
俺は探知の魔法でモンスターを把握、マーキングして魔力を練る。
「
雷と風の応用魔法だ。
もし仕留められなくてもモンスターは痺れるし、その間に冒険者や騎士の人達が倒してくれるだろう。そう思っていた。
だが俺の思惑とは違い、想定の10分の1の威力しか出ずモンスター達は軽く痺れて動きを鈍くしただけだった。
なぜだ?
俺がダラダラ怠けているうちにこんなにも弱くなってしまったのか?
いやいや、そんなはずはない。
訳が分からないまま俺は再度魔力をためる。
威力はさっきの10倍。
余裕をかましている場合ではない...。
「行くぞ...。
マーキングをした全てのモンスターに直撃をした。数匹辛うじて生きているがほぼ全滅させた。
天から降ってきた雷に驚きつつも、王国騎士や冒険者は空を見上げた。そして、
「おぉ、あの空を飛んでいる人はSランク冒険者のコウ殿だ!!英雄様が助けてくれた!!」
「英雄様。流石だぜ!!」
「ありがとう!!英雄様!」
冒険者や王国騎士団の人達は俺に気付き歓声を上げた。
俺は手を振りながらその場を後にしてダンジョンを探した。
それにしてもダルい...。俺の魔力が減っているのか?
ここ最近ではこんな事は...。
ダンジョンを探しながら、俺は自分のステータスを確認した。
「な、なんだこれは!?」
俺はステータスの変化に驚愕した。
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