第147話、アルト一行。その3。
「ぼ、僕はラテさんと....。
結婚を前提に付き合わせていただいてる、アルト・フォン・レオンハートと申します!」
アルトのその言葉に大部屋が静まり返った。
「えっ...。あの...?皆様...?」
アルトが困惑していると、ラテの父親が口を開いた。
「き、貴様今何て言った?」
「い、いやだからラテさんとは結婚を前提に...。」
「そこじゃない...。お前の名前の事だ。」
「名前?アルト・フォン・レオンハートですが...。」
「聞き間違いじゃない。あ、貴方はお、王族なのですか?」
「は、はい。一応、第三王子ですけど...。
それが何か...?」
「うおぉぉぉ!!
王族の方が助けに来てくださったぁぁ!!
これでこの村は安泰じゃぁ!!」
「えっ?ちょ、ちょっと待ってください。
話が見えないんですけど...。」
「またまた、ご冗談を...。
手紙を見て救援に来てくれたんですよね?」
アルトは全然話が見えなくて困惑している。
するとラテが、
「お父さん!急にそんなこと言われても私達はわからないわよ!
私達はスノーフリーデンから来たのよ!」
「え?王都から救援の為に来てくれたんじゃないのか...。」
ラテの父親は肩をガックリと落とす。
「お父さん、何があったの?
私達で良ければ力になるから。」
「お前達が来たくらいで解決なんて出来ない。はぁ~。これでは村はいつまでもつか...。」
「ちょっと!お父さん!
私達はこれでもSランクの冒険者なのよ!
数々の事件も解決してきたわ!」
「Sランク?
お前がか?そんな嘘でぬか喜びさせたって嬉しくなんかないぞ。」
ラテの父親が言った言葉でアルトが少し怒った。
「お言葉ですけど、私達はSランク冒険者ですよ。ラテさんは嘘を言ってはいない。
見ますか?ギルドカードを。」
アルト達はギルドカードをラテの父親に見せた。
「ほ、本当にSランク...。疑ってすいませんでした。」
「ちなみに、この子はギルドカードはありません。
何故なら聖剣ですから。」
「はい。私は聖剣クラレント。アルト様専属の聖剣です。今は人化してますからこの様な形ですが...。」
そう言うと、クラレントは聖剣に形を変えてアルトの手に収まった。
その姿を見てラテの父親および家族達がアルトの前に行き膝をつく。
「アルト様、数々の非礼を申し訳ございません。」
「い、いや、僕は...。」
「アルト様!失礼を承知で申します。
是非ともこの村を救って頂きたい。」
「はい。僕たちが力になれることなら、是非!その話を詳しく教えていただけますか?」
ラテの父親は話をする。
何でもつい先日急に世界樹の裏にダンジョンが出来てそこからモンスターが溢れだしたらしい。
普通のダンジョンならモンスターが外に出ることはそうないのだが、
その違和感にダンジョンの中の様子を見に行った村で最強の獣人とエルフのパーティーがボロボロで帰ってきてそこには魔族が沢山居たという話を聞かされた。
「わかりました。僕達がそのダンジョンに行って魔族達を殲滅してきます。」
「ええ。そうね。私ももちろん行くわ。」
「当たり前じゃない!アルト様が行くなら私も行くわ!」
「おぉぉ。ありがとうございます!
本当にありがとうございます!!」
ラテの家族達は涙を泣きながら感謝をした。
その中リアが口を開く。
「アナタ達は私達が帰ってくるまでの間、
アルト様との結婚式パーティーの準備でもしておきなさい!
もちろんアタシとクラレの分のドレスも準備しなさいね!
アタシ達もアルト様と結婚するんだから!」
その言葉にラテの家族達がまたも固まった。
「え?今なんと?」
「聞こえなかったの?アタシとクラレもアルト様と結婚するの!」
「ラ、ラテ。そうなのか?」
「うん。そうだよ。皆、納得しているしアルト君もみんなを幸せにするって約束してくれた。」
「そ、そうか。それなら私達は何も言わない。父上達もそれでいいよな。」
「可愛い孫のラテちゃんが幸せならワシから何も言うことはない...。」
「そうじゃな、ワシも言うことはないぞ...。」
ラテの祖父達は泣きそうになりながらも孫の幸せの為と涙を飲んだ。
「ありがとうございます!ラテさんは責任もって幸せにします。」
アルトはラテの家族に一礼をする。
「では僕達はこれから準備して早速向かおうと思います。」
「来たばかりで大丈夫ですか?
一日くらい休んでも...。」
「いや、いつ魔族がダンジョンから出てくるかわからないので早い方がいいでしょう。
魔力も十分にあるし、魔力の回復ポーションも沢山あるし大丈夫です。」
「それならば早速、世界樹の裏のダンジョンまで案内します。いいですか?」
「はい。」
アルト達はラテの家を出て世界樹に向かって歩き出した。
「あれ?なんか忘れている気がするんだけど...。」
「そうかな?ポーションとかは確認したし、何もないと思うよ。」
「ん~。」
アルトが考え込んでいると、
「ちょちょ、ちょっと待ってよぉ~!
置いていくなんて酷いじゃないか...。」
忘れていたのはソーマだった。
ダンジョンに向かう途中ずっと置いていかれた愚痴を吐いていた。
あまりのしつこさにパーティーの士気が少し下がったのだった。
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