第142話、ボロック一行。その1。
私の名前はボロック。
少し強引な彼女?婚約者?の聖女ノエルさんと聖剣のブレイブとパーティーのリーダーが居るアバドンに向けて旅をしていた。
ノエルさんは少し強引だ。
強引で破天荒で最初のイメージとはかけ離れているのだがそれが私の心には心地がいい。
自分に正直だからだ。
好きなものは好き。嫌いなものは嫌い。
とハッキリ言う、そういう所に惹かれたんだろうな...。
私はノエルさんの横顔見ながら歩く。
「ねえ、ボロック。」
「ん?ノエルさんどうしたの?」
「どうしたの?じゃないって。
そんなジッと見られたら気になっちゃうよ!
まさか私に見とれてたとか?」
「はい。今日も可愛いなって思ってみてました。」
ボロックがそう言うとノエルの顔がトマトの様に真っ赤になった。
「もうボロックのバカ!!恥ずかしいじゃん!」
「だって本当の事です。私は嘘は言いませんよ。」
「もぉぉぉ~!!ボロックも格好いいよ!
世界で一番格好いい!!」
「ノエルさん止めてくださいよ!
は、恥ずかしいですよ!」
ボロックも茹でたタコ見たいに顔を真っ赤にしてた。
ただ一人、聖剣のブレイブは2人のやり取りを冷めた目で見ていた。
「2人ともそのやり取り、もう何回目だと思っているんだ。」
「何回目だっけ?」
「数えてないんでわからないですね。」
「82回目だ。毎日毎日、飽きもせず同じ事を繰り返して恥ずかしくないのか!?」
「え?いいじゃん!!毎日愛を感じたいんだもん!ね?ボロック。」
「は、はい!」
「ボロック...。お主もお主だ...。
何でこんなじゃじゃ馬みたいな小娘を気に入ったんだか...。」
「ブレイブ!!ノエルさんの文句は俺が許さんぞ!」
「ボロック止めて!!私の為にケンカしないで!」
「ノエルさん。ごめんなさい。
ノエルさんに文句を言っているのが許せなくて。」
「いいの!私たちには私たちの世界があるでしょ?その世界で生きていきましょ!」
「はい!ずっと一緒に居ます!」
2人のバカラブな光景を見てブレイブの頭痛が止まらなかった。
「何でボロックと契約なんかしたんだろうか...。スノーフリーデンでの戦いの時は勇者を感じたんだがな...。
この先が不安だ...。はぁ~...。」
肩を落とすブレイブに、
「ほら!ブレイブ!そんなトボトボして歩いていると置いていくからね~!!」
ノエルの元気がいい声で益々やるせない気持ちになるブレイブだった。
それから一週間ボロック一行は、
歩いたり馬車に乗ったりしてのんびり旅をしてアバドンまで後半分の所まで来ていた。
「ボロック、ブレイブ。平和だね~。
本当争いなんかどこにも起きてない感じがするよ。」
ノエルは呑気に歩いている。
「ノエルさん。
それはね、商人もよく通る街道だから結界の札とかモンスター避けの花とかを街道に沿って張ってあるんですって。」
「そうなんだ~。
って言うかボロック!!
もういい加減、敬語とさん付け止めない?
他人行儀っぽくて私は嫌だよ!!
私は何!?婚約者でしょ!?」
あぁ~。また始まった...。とブレイブは呆れた顔で少し後ろに下がる。
「で、でも呼び捨てなんで私には...。」
「じゃあ、結婚しても敬語なの!?
私は嫌だよ!!ボロックには気を使わないで欲しいの!!
私からのお願い!!聞いて欲しいな...。
ダメかな...?」
「わかった...。
そこまで言われたら私も直すように頑張るよ...。」
「じゃあ私の名前を呼んで。
もちろんさん付けはダメだよ。」
覚悟を決めたボロックだったが、尋常じゃ無いくらい汗が止まらなくなっていた。
「ノ、ノ、ノ、ノエル。」
「もう一回!」
「ノ、ノ、ノエル。」
「声をもっと大きく!!」
「ノエルゥゥ!!」
すると、ノエルは振り返り可愛らしい笑顔で、
「なぁに?」
その瞬間、ボロックはノエルのとんでもなく可愛い笑顔を見て身体中に稲妻が走った。
そして、心の声を思いっきり叫んだ。
「好きだぁぁぁ!!」
すると、ノエルは勢いよくボロックに抱きつき、
「私もぉぉ!ボロック、だぁぁい好き~!!」
二人は強く抱き合った。
その様子を氷河よりも冷めた目でブレイブは見ていた。
「一生やってろ...。
はぁぁぁぁぁ~....。
何やってるんだ...。
本当に俺は人選を間違ったのかもしれない...。」
聖剣ブレイブがこの人生ならぬ剣生で、一番後悔したと思った瞬間だった。
2人のラブラブはこれから数時間続いたのだった。
そして夕暮れが近づいた時、ブレイブは何かを感じた。
この感じは...。
いや、しかし、なんだ?
違和感がすごい...。
「ボロック、ノエル。
ノロケは止めて集中しろ。何かが近づいてくる。」
「わかっているわ!変な感じなのは私も感じた。」
何かを感じ取ったらしく、さっきまでのデレデレなノエルはそこにはもう居なかった。
さすがは聖女か...と感心するブレイブだったが、
「ん?ん?どうしたんだ?」
一人わかってないボロックを見てブレイブは、俺の人選は本当に間違ったんじゃないか...?とまた一段と思ったのであった。
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