第132話、帝国の戦い2。
「
アルトの魔法がアズライールを襲う。
「ウォォォォォォーーーー!!」
聖なる光に包まれているアズライールは悶えている様に見える。
(マスター...。残念ながら効いていないと思います。もうシェイクナー王は...。)
だよな...。
俺もそうだと思っていた。
「おい。効いてないんだろう...。
三文芝居は止めろ...。」
するとアズライールは悶えているフリを止めてにやけた顔で俺に、
「な~んだ。バレバレかよ。つまんね~な。
お前らの期待する顔から一変して絶望した顔を見たかったのになぁ~。」
「お前...。シェイクナー王はどうした?」
「そんなつまらねぇ事聞くなよ...。
あんなヤツ速攻食ったに決まってんだろ??
最後まで息子には何もしないでくれって叫んでいたぜ...。傑作だったな。キャハハハ!!」
「ゲス野郎が...。」
「まぁ、そう言うなよ。俺は約束を守って息子には何もしてないんだからさ。
俺って優しい~!キャハハ!!
お前らを殺したらそのついでに殺すわ。」
「俺がお前に負けると思ってんのか?
お前みたいなゲス野郎には絶対負けねーよ。
[
俺はアズライールを睨みながら魔法を唱えた。
そして、アルトも全員に[身体能力向上]、
[防御力向上]、[魔法抵抗力向上]を掛けた。
「いいねぇ~!やっとしびれる戦いができそうだ。キャハハハ!!行くぞ!!」
戦闘体勢に入ったアズライールは笑いながら俺に向かって来た。
俺は見切りの構えをとる。
俺の身体能力が向上したお陰でアズライールの動きが手に取るように分かる。
「剣聖第二奥義、[流受閃]。」
アズライールの全ての攻撃を受け流し、最高のタイミングでカウンターの一撃を食らわせた。
「グハァ!!痛てぇ!!なんだコレ!?
血!?この俺様が血を流すだと...。」
胴体を真っ二つにしたつもりだったが、浅かったか...。
アズライールはコウの攻撃を食らう寸前に本能的にバックステップをして致命傷を避けていた。
初めて血を流したアズライールはコウに恐怖を感じた...。
「....お前は強いよ。ただ後ろの2人はどうかな!?」
俺には勝てないと踏んだアズライールはボロックとアルトにターゲットを変えて猛スピードで襲いかかった。
「アズライール...。お前、2人を舐めすぎだ。」
俺の横をすり抜けてアズライールは突っ込む。
アズライールが向かってくる中、ボロックは目を瞑り聖剣ブレイブと同調し、力を溜め込んでいる。
アズライールがボロックを斬りかかりに剣を振りかぶった瞬間。
「
ガキンッッ!!
「な、なにい!?」
ボロックの前に現れた透明な壁がアズライールの攻撃を弾いた。
アルトの新しい魔法だ。
攻撃を弾かれて動揺したアズライールに隙が出来た。
その一瞬をボロックが見逃すわけがなかった。
「聖剣技....。[
ボロックが振りかぶった大剣は太陽の輝きを放ちアズライールに一太刀を入れた。
その切り口から白銀の炎が巻き上がり、アズライールを燃やしていく。
「グオォォォ....。お、俺が。この俺様がこんなところで...。」
アズライールが燃えていく中、不意に気配を感じた。
「とと様?」
そこに現れたのは短剣を持った10歳くらいの男の子だった。
この子は...。
シェイクナー王の息子のラウド王子か!?
ヤバイ!!
「ぐひひひ...。まだ俺にもツキがあるみたいだな。」
アズライールはシェイクナー王の体を捨てて、黒い塊になり、ラウド王子を襲った。
「ヤバイ!!ラウド王子!!逃げろ!!」
俺は声を上げたが、ラウド王子は恐怖の為に動けなかった。
「モウオソイ!!キャハハ...。ヘッ?」
アズライールがラウド王子を取り込もうとした瞬間、ラウド王子の持っていた短剣が光輝いた。そして、アズライールの侵入を拒んだのだ。
俺はその一瞬を見逃さなかった。
「[一閃]。」
アズライールなる黒い塊を一刀両断にした。
「....チクショウ。
オマエラノロッテ...ヤ...ル....。」
アズライールはそのまま灰になって消えていった。
一方、燃えていたはずのシェイクナー王の体は残っていた。
「私の[
ボロックは言う。
しかし、シェイクナー王の心臓の音は消えていた。アズライールが抜けた時点で死んだらしい。
ラウド王子はシェイクナー王に近づき、
「とと様、とと様ぁ~!!」
シェイクナー王の胸で泣いた。
王宮に響き渡る位、大声で泣いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます