第130話、誰でも気付くでしょ。
次の日の夜、俺たちは再びエジルの館に集まった。
帝国に乗り込むのは、俺とヴォイス、聖剣アスタリスク、アルトと聖剣クラレント、ボロックと聖剣ブレイブだ。
準備は十分にしてきた。
「マスター。あのマーキングした女が帝国に着くまで後10分程ですね。」
「もうすぐか...。アルト、ボロック。ヤツが着いたらすぐ戦闘になるが大丈夫か?」
「うん。僕の方は大丈夫。」
「私の方も大丈夫だ。」
2人共気合いに満ちている顔している。
「アルト様。気を付けてくださいね。」
「アルト君。無事で帰ってきてね。」
リアとラテは心配そうにアルトに話しかける。
「うん。二人ともそんな顔しないで。
ちゃんと2人の元に帰ってくるから。
帰って来たらお腹空いてると思うからご飯とか作って待ってて欲しい。」
「わかったわ。アルト君の為に頑張って作るから。」
「私も手伝うんだから!アルト様に食べてもらいたいもん!」
「2人ともありがとう。期待しているね。」
アルトが笑顔で言うとリアもラテも顔を赤くしてモジモジしていた。
青春だねぇ...。若いっていいわ...。
(マスターも一応は同い年の設定なんですけどね。)
俺の中身は中年だからな...。
って自分で言ってて悲しくなるよ...。
(マスター...。ドンマイ。
いや...。ド~ンマ~イケル!)
古っ!?
(コホン!一応、マスターの年代に合わせたギャグなんですけどね...。)
...なんか気を使わせてごめん。
そんな事をヴォイスと念話をしているとボロックの方にも動きが、
「ボロック様。気を付けて行ってきてくださいね。」
「あ、あぁ...。ノエル様。私ごときに心配してくれてありがとうございます。」
「いえ、ボロック様だからこそ心配しているのです。私はこんなにもボロック様の事が...。
ハッ!
これから戦いに行く殿方の前でこんなことを言うなんて....。」
「ノエル様。ありがとうございます。
ちゃんと勝って帰ってきますよ。安心してください。」
「はい。あのボロック様、帰って来たら少し時間を頂いけませんか?伝えたいことがありますので...。」
「それは構いませんが...。お話なら今でも...。」
ノエルは顔を真っ赤にして、
「いやいや!帰って来たらでいいのです!
帰って来たらで!!お願いします!!」
「...??はぁ、分かりました。」
ボロックは不思議そうな顔をしていた。
えっ!?
ボロックのヤツ気づいてないのか?
(多分、気づいてはないでしょうね...。)
あそこまでアプローチされたら普通は気付きそうなものだけどな...。
(ボロックは騎士団にずっと居ましたし、真面目ですから女心とかわからないのでしょうね...。)
難儀なヤツだな...。
帰ってくる前にアドバイスでもするか...。
この恋愛マスターが...。
(全裸で死んだ変態マスターの間違いでは?)
それは言わない約束でしょーが!!
(そんな約束していません。)
念話で良かった...。
こんな話を普通に聞かれていたらドン引きで戦いどころではなくなってしまう...。
俺が安堵していると、トカレフ将軍が近づいてくる。
「なにとぞ帝国の方をお願いします。」
「あぁ。任せろ。昨日も言ったが覚悟だけはしておいてくれ。」
「分かりました。御武運を。」
「あぁ...。」
「マスター。ターゲットの動きが止まりました。そろそろ...。」
「あぁ。アルト、ボロック。行くぞ!!」
「うん!」「わかった!」
「
俺たちはヴォイスがつけたガブリエルのマークの所まで転移した。
ソーマはコウ達が転移したのを確認して動き出した。
「さてと、リア、ラテちゃん。そして、勇者の子孫のネモ君。後1人...。聖女ノエル様。
僕に付いてきて欲しい。」
「ソーマ兄ちゃんどうしたの?急に?」
「ん?君たちに聖剣を作ろうかなと思ってさ。」
「「せ、聖剣ーー!?」」
名前を呼ばれた一同はビックリして声をあげた。
「昨日の会食の後に聖剣のブレイブ君に頼まれてね~
。リアとラテちゃんにも聖剣を作ってやってくれって。ご丁寧に聖剣の種子もくれたんだ。」
「それで、何で僕にも聖剣を?」
「私も...。何で?」
「それはね。ブレイブ君の種子が大きくて余分に作れそうだからかな。
まぁ、ネモ君は勇者の子孫だから聖剣を持つのに血統的には相応しいし、
ノエル様はこの戦いが終わったらボロック君に告白するでしょ?
そうなったら自動的にコウ君のパーティーに入ることになるから聖剣を持ってても良いのかなってさ。」
「ここここ、告白って!!なななな、何でアナタそんな事知っているの!?」
ノエルは思いっきり動揺した。
「いや、さっきのやり取り見てたら誰でも気付くでしょ...!?気づいてないのはボロック君だけだと思うよ~。」
みんな、ウンウンと頷く。
「えぇーー!?皆気づいていたの!?」
「ボロックさんと後一人を抜かして気づいていたと思うよ...。
ドンマイ、エジル。」
ネモは衝撃的なノエルの発言に放心したエジルの肩を軽く叩いた。
エジルは本当にノエルの事が好きだったのでショックがでかかったのだ...。
「まぁ、そんな感じで聖剣を作るに当たってこの結晶に魔力を込めて欲しい。」
ソーマは光輝く結晶を4人に渡した。
「これが種子...。綺麗。」
「魔力を限界まで込めたら工房まで持ってきて欲しい。エジル君工房を借りるよ。」
「........。」
「エジル君?」
「......ハイ。」
エジルは死にそうな声で返事をした。
「まあ、許可は取れたし。これから聖剣作るからそれぞれの武器を借りるよ。
ラテちゃんの武器は弓だから、聖弓だね。
リアとノエル様は杖だね。
そして、ネモの武器は剣なんだけど、君のは剣から打たなきゃダメだから1番最後かな。
それじゃ、精一杯限界まで魔力を込めてね。
限界までしないと意味が無いから、よろしく!!」
そう言ってソーマは工房へ歩いていった。
スノーフリーデンでは聖剣作りが始まったのだった。
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