第128話、新たな魔法。
帝国軍、聖騎士団と共にワイバーンの皮と骨と木材で次々とテントを建てて、そのテントの中にアルトがとって解体してくれた毛皮を敷き詰めた。
高級テントの完成に帝国軍達は喜んだ。
そして、料理も出来たのでみんなで宴会を始めていた。
一緒に同じ作業をするうちに仲良くなったんだとか。
微笑ましい光景だ。
アルトとボロックはトカレフ将軍とエジルとの会食があるのでエジルの屋敷に向かっていた。
ボロックはアルトの護衛でついて回っていた。
戻っている途中で、
「おぉ~、アルトくん。戦いは終わったかい?」
「ソーマさん!はい!とりあえず一旦は終わりました。」
「そうかそうか!良かった。...ところでなんだけど、何か食べ物ない?お腹空きすぎて死にそう...。」
「飲まず食わずで聖剣を打っていましたもんね...。これから弟の屋敷で会食をするんですけど良かったらソーマさんもどうですか?」
「マジで!!行く!死んでも行く!!
ってそれはいいんだけどコウ君の姿が見えないんだけどどこに居るんだい?」
「コウくんは帝国軍の中に居ますよ。」
「そっか!なら連れていくわ!教えたい魔法もあるし!」
「わかりました。では屋敷で待っていますね。」
「オッケー!!
ソーマは魔法を唱えるとその場から姿を消した。
「何度見てもいい魔法だなぁ。僕も覚えたいよ...。」
「アルト様なら覚えられますよ。」
「覚えられるように頑張るよ。」
「その意気です。」
「じゃあ、行こうか。」「はい。」
アルトとボロックはエジルの屋敷に向かって歩き始めた。
▼▼▼
俺は帝国兵と聖騎士団が仲良くしているのを椅子に座って微笑ましく見ていた。
すると、
「バアァ!!」
「ウオッ!!」
俺は驚いて椅子ごとひっくり返った。
「アハハハハ!!コウ君ウケる!
ナイスなリアクションだね!!
ウオッ!だって!アハハハハ!!ヤバイ笑い過ぎてお腹いたい!」
ソーマは笑い転げている。
「急に現れたら誰だって驚くだろ!!」
「でも、でも、ウオッ!!って....。
アハハハハ!!ヤバイ!ツボった!」
「笑いすぎだ!ってか何しに来たんだよ!腹立つな!」
「何しにって...。あれ?なんだっけ?
笑い過ぎて忘れた!アハハハハ!コウ君の顔が...。顔が...。アハハハハ!」
するとヴォイスが真剣な顔で、
「何しにって言うより、どうやって来たのか?の方が正しいのでは....?....プププ。」
ヴォイスは必死に笑いを堪えている。
「お兄さん!ナイスリアクションだね!」
「ドッキリの才能...アリなの。」
アスタとリスクは俺を見て親指を立ててグーサインをしている。
「....おまえらな。いい加減にしろぉぉ!!」
「まぁまぁ、コウ君。そんなにカリカリしないの。」
「誰のせいだ。誰の。」
「ヴォイスが言ってくれて思い出したよ。
今僕が急に出てきただろ?」
「あぁ。気配察知にも反応がなかったから本当にビックリした。」
「それはそうだよ。僕はここに転移して来たんだから。」
「転移!?」
「うん。転移。スゴいでしょ!?
だから皆がここに来るのも予定よりだいぶ早かったんだよ。」
「ソーマがそんなにスゴい魔法を使えたなんて...。」
「もっと僕を褒めてもいいんだよ~!
ホラ!ホラ!」
「なんだろう...。このすこぶる殴りたい気持ちは。」
「そんな事言っていいのかなぁ~?
僕はこの魔法をコウ君に教えにきたのに。」
ソーマは得意気に言ってくる。
「はぁ~。ソーマは凄いよ。ソーマが居なかったら今回の戦いどうなってたか、わからなかった...。ありがとう。」
「そんな風に言われると調子狂っちゃうな...。
なんか変なものでも食べた?」
「食べるか!?
俺だって凄いなって純粋に思うときもあるさ。」
「そっか。そう思ってくれるなら嬉しいな。
早速教えるっていうか転移するけどここはもう大丈夫?」
「あぁ。テントも出来たし、料理もあるから後は聖騎士団の皆が上手くやるだろ。」
「じゃあ、行こうか。目印は...っと。
居た。
アルト君で。[
ソーマが転移の魔法を唱えると一瞬、時空のようなものが見えた。そしてすぐに視界が変わった。
「うわぁぁっ!!」「うおぉぉっ!!」
目の前を見るとアルトとボロックが驚きのあまり凄い顔をしながら転んだ。
「アハハハハ!!どうだい!コウ君!!
面白いだろう!?」
「アハハハ!!これは確かに面白いわ!!
アルトとボロックの顔!!いい顔だ!!」
「コウくん!酷いよぉ~!」
「酷いですぞぉ!コウ殿!
...痛っ!!
腰が...。ビックリしすぎて腰が抜けた。」
腰が抜けて動けなくなったボロックを見てみんな大笑いをした。
俺のステータスにはしっかりとミヨウミマネされて[転移]の魔法が刻まれていたのだった。
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