第120話、やるせない気持ち。



(マスター、報告です。

ボロックがウリエルを倒しました。)


マジで!?

ボロックすげえな...。

どうやったんだ一体...?


(アルトが魔法で勇者オルガとウリエルを分離させてから、

ボロックとブレイブが契約を結びまして、後は聖剣ブレイブで一撃でした。)


おっふ...。やるな...。

ってかうちのパーティー聖剣持ちばっかりじゃん。

これは最強のパーティーになるのは近いな...。


(もうなっていると思いますが...。)


そうか?世界は広いからわからんぞ...。


俺は狂鬼人化してる帝国兵を相手にしながらヴォイスと念話をしてた。

その一方で、


(クソ!クソ!!なんなのアイツ!!

あんなの普通じゃないわ!!

ウリエルからも連絡途絶えたし、本当に使えないヤツ!!

このままだと私の所まで来ちゃうのも時間の問題じゃない!?

あぁ...。どうしましょ!?)


ガブリエルは焦っていた。

絶対の自信があった狂鬼人化した帝国兵達をいとも容易く倒して行く男の存在に。

ガブリエル自身は戦闘力は高くない。

そのかわり洗脳には絶対の自信があった。

なのに男にはそれが効かない。


(もうこれしかない...。)


ガブリエルは近くに居た帝国兵にありったけの洗脳と魔力を込めた狂鬼人化帝国兵を超える、狂龍人化バーサクドラゴニュートの帝国兵を5体作った。


「アンタ達!!あの男を殺してきなさい!」


ガブリエルに命令された狂龍人化の帝国兵達は一斉にコウに向かっていった。


「力を使いすぎた...。

この隙に私は帝国に戻らしてもらうわ...。

帝国にいるアイツにまた何か言われるんだろうけど、命の方が大事ですもの...。」


ガブリエルは逃走しだした。


(マスター。黒幕らしい女が逃げ出しています。)


マジか...。

そっちで何とか出来ないのか?


(今ラテに弓矢で攻撃させますけど、どうでしょうか?)


多分、効かないだろうな...。

そうだ!ガブリエル...いや名前は知らなかったか...。その黒幕の女にマーキングをつけれないか?

そうすればこの騒動が終わった後に一気に攻めこめる。


(わかりました。

ラテに伝えて私の魔法を付与させマーキングをさせるのでお任せください。)


わかった。

後はアルトにここの帝国兵全てに解呪の魔法を展開してくれ。


(了解です。

もうすでに解呪の詠唱に入っているので、

後数分で終わると思います。)


そうか。相変わらず仕事が早いな。

頼もしい限りだ。

それでこちらの負傷者はいるのか?


(大丈夫です。

勇者オルガが意識ないだけで私たちは無傷です。

っていいますか、

まだ帝国兵がウリエルがやられた事に動揺してこちらにたどり着いてないので私たちは何もしていません。)


そうか...。

何もなかったなら良いんだ...。

平和が一番だからな。

友好国との殺し合いなんてあまりさせたくない...。

そういうのは俺が矢面に立ってやるさ。


(マスターは本当優しいですね。

分かりました。

私たちはアルトが詠唱終わるまで、

もし帝国兵が来てもしっかり守りますから、こちらの事は安心して下さい。)


あぁ...。そっちの事は全て頼む...。


(分かりました。)


俺はヴォイスとの念話を切って、

今戦っている帝国兵より格段に強いヤツが向かってくる奴らに集中した。


アスタ。リスク。まだ大丈夫か?


(お兄さん!何言っているの!?大丈夫に決まっているじゃん!!)

(身体からエネルギーが溢れているの。

まだ戦いたいの。)


そうか。

ならアイツらを倒すぞ!!


(了解!)(なの!)


俺は狂鬼人化した帝国兵を大方ぶっ飛ばし、

後ろから来た奴らと対峙した。

俺は奴らの[鑑定]を始める。

レベルは今までとは違い遥かに高かった。

俺よりもかなり高い...。

だが基礎のステータスが違いすぎる為、俺の敵ではないが...。

しかし、気になったのはもう人間に戻れないと鑑定に出ていた。

アルトが解呪の魔法をしても戻れないのだろう...。


俺はやるせない気持ちになった。

彼らは戦いたくなかったのかもしれない...。

帝国に残る家族が居るのかもしれない...。

それなのに操られて戦わされて...。

自分の意思じゃないのに....。


しかし、俺にも待っててくれる人がいる。


申し訳ないが、俺はお前達を倒さなきゃいけない。

お前達の恨みや悲しみ無念は全部俺が受け止める。


「さぁ!かかってこぉぉいぃぃ!!」


俺は声を出して気合いを入れ、

ガブリエルに狂龍人化された帝国兵との戦いが始まった。


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