第113話、お肉は最高のごちそうだよね!p



俺達は今、聖女ノエルの部屋でこの街の領主であるエジルの屋敷での事を話した。


「ありがと~!!

いやぁ、アイツの泣きっ面が見れなくて残念だけど、話聞いててスッキリしたぁ。

さすがコウだね!

ミアにもお礼言っとかないと!」


「ノエル様。それには及びません。私が事の全てをミア様に伝えているので。」


「ヴォイスちゃん。それじゃダメなんだよ。」


「なぜですか?」


「感謝っていうのは自分の口で言うから伝わるものなんだ。人から感謝を述べられても心に来ないだろ。人間ってそういう生き物なんだよ。」


「そうなんですね。勉強になります。」


「うんうん。日々勉強だね。」


「はい。」


「ところで、コウ!」


急にノエルが睨んできた。


「なんだよ...。ちゃんと言われたことをやってきただろ。」


「やってない!私は求婚してくるのを止めろって言わなかったっけ?」


「言われたかな...?そんな事わかんねーよ。」


「マスター...。

確かにノエル様は言ってましたね。

「もやし野郎がクネクネしてきて愛をささやいてくるから制裁を加えて止めさせろ。」っと。」


「ヴォイス...。

そんな細かく覚えているならその時に言ってくれよ。」


「いや...。マスターがエジルに恥ずかしい事を言ってたので、雰囲気壊しちゃマズイかなと思いまして言わなかったのですよ。」


「えっ!?なになに??その恥ずかしい事って?」


ノエルが興味津々に前のめりでヴォイスに聞く。

「俺、そんな恥ずかしい事を言った覚えはないぞ...。」


「いやいや、マスターは、

「エジル...。本当の友達とは楽ばかりじゃない。苦労も共にするのが本当の友達だ。」

なんて恥ずかしい言葉を自信満々で言ってたじゃないですか?」


「ぷぷーー!!くっさ!!そして、恥ずかしすぎる!!ギャーッハハハ!!

腹痛い!!笑い死ぬ!!アハハハハ!!」


えっ!?

そんなに恥ずかしい事なの?

うそ!?


俺はみんなを見渡すがみんな笑いを堪えている。

ブレイブまで笑いを耐えていた。

せめて、お前は俺の味方であれ...。


「と、とにかくエジルは俺の名前を出せば言うこと聞くから安心しろ!!」


「はぁ~~!笑った!

コウがそう言うならわかったよ!

ありがとう!」


「まだ礼を言うには早いけどな...。

とりあえず今後の話だ。食料問題はもうしばらくは大丈夫だと思う。

後は、教皇と帝国軍か...。」


「その事についても進展があったわ!

教皇が2日後に帝国に話をしてくるらしい。

多分、そのまま寝返るんだと思う。

だからコウは教皇を尾行して首謀者を倒して欲しいの。」


「それはいいんだが、この街の守りはどうする?

結界が3日しか持たないんだったら、残りは1日だけど。

もし俺が時間かかったら?」


「そのときは私たち聖騎士団がこの街を守る!!どんなことがあっても!!」


クラリスが覚悟を決めた顔で言ってくる。


「そうね...。この街の戦える者を集めてコウが帰ってくるまで守るわ。

さっきの話だとエジルと勇者も参戦してくれるだろうし。」


「マスター。私もここに残ります。

私ならマスターとの連絡役にもなれますし、魔法で手助けができるので。」


「そうか。わかった。ヴォイス!

みんなを頼む。何か起きたらすぐに連絡するように。」


「はい!お任せください。」


「ブレイブ。お前はどうする?」


「私もここに残って助けようと思う。

現状コウ殿に付いていっても役には立たないからな...。」


「そうだな...。わかった。街を頼む。

アスタとリスクは俺と共に行くぞ。」


「わかった!」

「なの...。」


「作戦は決まったな。決行は2日後。

俺は教皇を尾行して接触があった黒幕を始末す。で、その間みんなはこの街を守ること。

これでいいな?」


みんな頷いた。

よし、後は2日後まで待つだけだ。


「そうだ!そういえばここの神殿に調理場はあるか?」


「あぁ、あるがどうしたのだ?」


「差し入れだよ。騎士団員もお腹いっぱいにしてやらないといざという時戦えないだろう?」


「で、でもそんな食料なんかどこに...?」


クラリスは不思議そうな顔をしている。


「俺は収納魔法があるんだぜ。

そこに肉がたんまりある。クラリス案内を頼む。」


「りょ、了解した。」


俺はクラリスの後をついていき調理場についた。

そこには専用料理人などは居なく新人騎士団員が調理をしていた。


「だ、団長殿!こんな所にどうして!?

み、みんな!!団長に敬礼!!」


料理を作っている手を止めて新人騎士団員達はクラリスに敬礼をした。


どんなに慌ててても包丁は置こう...。

危なっかし過ぎるだろう...。


「皆の者!!喜べ!!

この御仁が我ら騎士団員の為に肉を提供してくれる事になった。」


「おぉー!!肉なんていつぶりだろうか!!」


騎士団員達は盛り上がった。


「広い場所はあるか?

まだ解体してないからここでは置けないんだが...。」


「隣が解体部屋になっているからそこに行こう。新人騎士団員付いてこい!!」


「「はい!!」」


数名の団員を残し、俺たちは解体部屋に向かった。

結構な広さがあり、ここなら入りそうだった。

俺は収納からワイバーンを20体程出した。


「こ、この量は....。」


「足りないか?足りないなら狩ってくるけど。」


「い、いや大丈夫だ...。

我が騎士団全員で食べても1週間はもつぞ。」


「そうか。ならよかった。」


「しかも、最高級のワイバーンのお肉とは...。

コウ殿は規格外だな...。」


「まあな。これを食べて精を付けてくれ。」


「ありがとう。

野郎共!!今日は好きなだけ肉を食べれるぞ!気合いを入れて解体をしろよ!」


「「イエッサー!!」」


騎士団というより軍隊のノリだな。

俺は解体場を後にしてエジルの屋敷に向かった。


アイツらちゃんとやっているかな...?

空を飛んで屋敷に向かうと屋敷の前には大勢の領民が並んで食料を受け取っていた。


よしよし...。

ちゃんとやっているな...。

食料が足りなくなるかもしれないからもう少しモンスターでも狩ってくるか...。

アスタとリスクもお腹すかしているかも知れないしな...。


ヴォイス...。

ちょっとモンスター狩ってくるから頼むな。


(了解しました。大丈夫だと思いますが、無理はしないでくださいね。)


あぁ。

わかってるさ。

すぐ戻る。


俺は空をかけあがり結界を聖魔法ですり抜けモンスターの気配を探した。

すると、10キロ先の空中に100匹単位のモンスターの群れを感知した。


「おっ!これはワイバーンの群れだな。」


俺は光の如くスピードを上げてワイバーンの群れに近づく。


剣はないけど俺には魔法がある...。

ワイバーンなら素手でもいけそうだけど...。

とりあえず魔法を撃ってみるか...。


風の刃ウインドカッター!」


魔力がかなり上がったのか、

初級のウインドカッターとは言えない位、

大きな風の刃がワイバーンの群れに飛んでいった。




ギャォォォー!!


ワイバーンの断末魔と共に一撃で数十体のワイバーンが真っ二つになって落ちていく。


あれ?

収納されない...。

あっ!?

ヴォイスが居ないから自動収納がない...。

この死体を手動で収納していくのか...。

すげーめんどくさいじゃん...。

ヴォイス連れてくれば良かったぁぁ!?


俺は先走った自分自身に後悔をしつつ、ワイバーンを狩っていった。

仲間を殺られたワイバーンは激怒して次々と俺に襲いかかってくる。

俺はワイバーンの攻撃を避けていく。


「おっと。あぶね。弱いからって数が多いな...。こうなったらもっと強い魔法で...。」


俺はイメージをする...。

火はダメだ....。火力が強すぎて消し炭なってしまう...。

ってなると水...もダメだな...。

この辺り一帯浸水してしまう...。

やっぱり風か...。

でも血が飛び散るんだよな...。

ん~悩む...。


悩んでる間もワイバーンの怒濤の攻撃が来る。

ウザったい...。

とりあえず重力魔法で下に落とすか。

俺は魔法を[英知の書]で構築する。

そして、展開。対象は残ってる全ワイバーンに。


広範囲超重力魔法グラビティバースト。」


さすがに大量の魔力を使う。

しかし、ワイバーン達は重力魔法の重みに耐えられなく次々と墜落していった。


「よし、ワイバーン達を収納して帰るか。」


墜落したワイバーン達に止めをさして収納をし、俺はエジルの屋敷に向かったのだった。


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