第112話、激おこじゃん!?そんなに怒ると血圧あがりますよ~。



...........でかすぎじゃね?


俺は聖剣ブレイブの巨体に驚いた...。

そして、ブレイブは俺に片膝を付いて、


「コウ殿、魔力を分けていただいて申し訳ない...。私の名はブレイブ。」


「あぁ...。それはいいんだけど...。

もう少し小さくなれない?

ブレイブさんが大きすぎて片膝ついてても、

俺見上げる体勢で首がスゴい疲れるんだけど...。」


「それは失礼した...。」


そういうとドンドン縮んで行き、180センチ位なった。


「このくらいならどうだ?」


「あぁ、ありがとう。これなら全然大丈夫。」


周囲は驚いて静まっている。

ネモもエジルもダラダラと冷や汗を流し逃げ出したそうにしていた。

逃げたら殺されるんじゃないか?という恐怖で逃げ出したりはしないが...。

ちなみに両隣に座っていた女子達は一目散に逃げた。

こんな状況普通は怖いわな...。


「ところで、ブレイブさん。どうして貴方はネモの所にいたのですか?」


「コウ殿...。出来れば普通に話してほしい...。

恩人に敬語で話されると困ってしまう...。」


「わかった。これからは普通に話すよ。」


「ありがたい。それでどうして私がネモの元に居るかだったな...?」


「あぁ。」


「それは、ネモの親の勇者アルフレッドが契約を解除してネモの所に送ったのだ。」


「勇者が...?なんで?」


「数ヵ月前から各地で魔の者と呼ばれる黒い軍団が現れて解決していった時の事だった。

一人の禍々しい魔力を持った黒い羽の人間が現れて戦った。」


「黒い羽を持った人間...。」


(マスター...。それって...。)


あぁ...。十中八九奴らだ...。


「相手も強く戦いは、平行線のまま三日三晩続いた。

四日目になったときアルフレッドの魔力の異変を感じた。

禍々しい魔力がアルフレッドの体内に入ってきたのだ。

私は必死に抵抗していたが徐々にアルフレッドを蝕んでいった。

そして、アルフレッドは言った。

「息子を頼む」と。

そう言った瞬間、契約は解除されアルフレッドの残された魔力でネモの元に送られたって訳だ...。」


「なるほどな...。それで勇者アルフレッドは今は?」


「わからない...。

契約を解除した事で繋がりが切れてしまった。」


「そうか...。大変だったな...。」


俺がそう言うとブレイブが立ち上がりネモを見て怒鳴り声をあげた。


「あぁ!!そうだ!!

ネモコイツの側に来てからというもの、糞みたいな生活を毎日見せつけられて俺は怒りでどうにかなりそうだった!!」


そう言いながらブレイブはネモを睨み付ける。


「ひぃぃぃ~!!」


あまりの恐怖に腰を抜かしているネモのネモらへんがビッショリと濡れた。

完全に漏らしたな...。


「まぁまぁ、落ち着けって。」


「これが落ち着いてられますか!?

毎日毎日違う女性を抱き、

挙げ句の果てには旅の資金が尽きそうになったら、この私を売ろうとまでしていましたから!!

聖剣のこの私を!!」


「マジか...。コイツは筋金入りのバカ息子だな...。」


「そうでしょう!!アルフレッドの頼みで今まで力を貸していましたが、もう限界だ!!

このままネモコイツと一緒に居たら私が殺してしまいそうだ!!」


「いやいや、それじゃ本末転倒だろ。」


「そこでどうだろう?

アルフレッドを見つけるまでコウ殿の側に置いてはくれないか?」


「俺はいいけど...。いいのか?

ネモを守るって言う約束は?」


「そんなの聞いてられるか!!

私はアルフレッドを1発殴らないと気がすまん!!

大体アイツが甘やかして育てたからこんな糞野郎に育ったんだ!

全面的にアルフレッドが悪い!!」


「わかった。

わかったからちょっとは落ち着けよ...。

アスタもリスクも怯えちゃってんじゃん。」


「ブレイブおじちゃんちょっと怖いよ...。」

「....なの。」


アスタとリスクは互いを抱き合いながら震えていた。


「すまん。取り乱した...。

コウ殿これからよろしく頼む。」


「あぁ。わかった。そういえば契約とかしなくていいのか?」


「コウ殿。申し訳ないんだが、コウ殿とは契約は出来ない。もうコウ殿には聖剣アスタリスクと契約をしているからな。

1人の人間が聖剣を何本も契約することは禁じられている。もし破れば....。」


「破れば...?」


「死ぬ。と言われている...。

実際試したことはないのだが、我々が意思を持ったときから禁止事項が刻まれておるのだ...。」


「そっか。なら仕方ない。

俺のパーティーにも聖剣と契約していないヤツも居るからもし気に入ったヤツが居たらしてくれ。」


「わかった。そうしよう。

アルフレッドを殴るためなら何でもする。」


よっぽど恨みが溜まっているんだな...。

っていうか聖剣が恨んでいいのか?

聖なる剣だぞ...。


(マスター。細かい事は気にしないでください。それぞれが色々事情があるものなんですよ。)


そんなものか...。

まぁいいけど...。

さてと。


俺はお漏らしをしながら失神しているネモの横を通りすぎエジルの前に来た。


「さてさて、どうしたもんかね...。」


「お、お前。ぼ、僕に手を出したら父上が黙ってないぞ!!」


「いやいや、その父上と新国王のウィリアムの頼みでここに来たのだが...?」


俺は再度、王家の証をエジルに見せつけた。


「エジル。お前はこの街の領主として戦う覚悟はあるのか?」


「ひっ!?た、戦う!?ムリムリムリ~!!」


「ほう。

この街の領民の為に戦う気はないと...?

散々好き放題をして領民が苦しんでいるのに、贅沢三昧をしているお前が戦えないと?」


「だって私は戦った事なんてないんだ。

戦い方もわからないし...。」


「俺が聞きたいのはそういう事じゃない。

戦う気はあるのか?ないのか?聞いているんだ。

ちゃんと考えて発言をしろよ...。

俺の言葉はこの国の王と同じ権限を持つんだからな。」


俺がそういうとエジルはダラダラと冷や汗をかきながら黙りこむ。


俺は黙ってジッとエジルを見つめる。


ここがエジルの分岐点だな...。

領民を捨てるような阿呆なら、俺が粛清をしてアルト達には悪いけど、犯罪者としてこの先一生過ごしてもらう。

もし、戦う事を選ぶなら....。


「.....う。」


エジルがぼそっと呟く。


「聞こえないぞ。ハッキリ喋ったらどうだ!!」


俺の叱責に、


「た、戦う!!

戦えばいいんだろ!!

コンチクショォォーー!!」


泣きながらエジルは叫んだ。

おぉ...。

さすが[ペテンの戯言]会話の誘導が上手くできた。

こんなに上手く行くとは...。

親友の弟を犯罪者にしなくてよかった...。

俺はホッと胸を撫でる。


「よく言った!!エジルよ!!

その心意気に免じて今回の不始末なかったことにしてやる。

そして俺が全面的に助けてやる。」


「ひっぐ。ちくしょう...。」


「そこで最初の命令だ。」


「こ、これ以上何を...?」


「この屋敷にある食べ物を領民に公平に配り与えよ。」


「そ、それは...。」


「言ったハズだ。これは命令だと...。」


「わ、わかった...。」


「エジル...。

俺はお前にとってこの先、この領地の主としての生き方を叩き込む。

それが、お前の両親や兄達を安心させることになるんだ。

わかったら迅速に動け!!」


「...はい。わ、わかりました。」


「後、ネモはエジルの護衛にさせるから着替えさせろよ。

友達の股間が濡れたままだと可哀想だろ?」


「...友達?....コイツが?」


「俺にはそう見えたぞ。

気が合うから一緒に居たんだろ?

友達は大切にするもんだ...。」


「友達...。そうか...、これが友達。

確かに一緒に居てすごく楽しかった...。」


「そうだ。

楽だけじゃなくて苦労も分かち合うのが友達ってもんだ。」


「そ、そうか。...そうですね。」


友達と初めて認識をしたエジルの顔から、笑みがこぼれた瞬間だった。


よし、ここは大丈夫だな....。

この結果を伝えに聖女様の所に行くか...。

俺たちは神殿に向かった。

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