第103話、親友って言われると恥ずかしいよね。
「私はこの国を!
国民みんなを守っていくことをここに誓おう!この言葉を持って新しく王となった。
ウィリアム・フォン・レオンハートの挨拶を終わらしてもらう。」
ウィリアムがそう言うと、広場に集まった民衆の熱気が爆発したかの様な声援を新王に向けられた。
スゴいな...。
演説一つでここまでなるとは...。
「続いては、我が弟。第3王子に復帰となったアルト・フォン・レオンハートから一言挨拶をもらう。」
「そ、そんな!?兄さん聞いてないよ!」
急なフリに驚き困っているアルト、対してウィリアムは、
「あっはっはっ!サプライズと言うヤツだよ!」
楽しそうに笑っている。
ウィリアム...。
楽しくなる気持ちわかるぞ!
アルトは可愛いリアクションするもんな!
恥ずかしそうに前に出るアルト。
「しょ、紹介に預かりました。
この度この国レオンハートの第3王子に復帰したアルトです。」
すると女性陣が色めき出す。
「キャァーアルト様可愛い!!」
「はにかむ笑顔が可愛すぎる!」
「私を嫁に貰って~!!」
ってドンだけ女子人気があるんだよ...。
ちょっと腹が立ってきた...。
確かにイケメンだし、ちょっと頼りない感じが心をくすぐるのは分かるけども...。
俺のアルトへの嫉妬とは裏腹にアルトは真剣な顔で語り始める。
「僕が今ここに立てているのは、決して僕だけの力ではありません。
ここに居る大事なパーティーメンバーと僕たちに関わって良くしてくれた皆様や家族。
そしてかけがえのない
皆様にも家族や仲間が居ると思います。
どうか大事にしてください。
困っていたら手を差し伸べて下さい。
それでもダメなときは王城に来て兄上を頼ってください。
きっとなんとかします。
僕も....いや僕たちも手伝います。
この国の皆様一人一人、僕にとっても、レオンハート家にとっても大事な家族なのですから....。」
いつの間にか辺りは静寂に包まれていた。
俺はアルトの話に泣いていた。
俺の事を親友だと力強く言ってくれて本当に嬉しい。
そして民衆のみんなも涙ぐむ声が聞こえる。
俺が拍手をする。
パチパチ....。
すると一斉に拍手と声援が王都中に響いた。
「アルト様最高!!」
「俺、一生付いていきます!!」
「男だけど抱いてくれ!!」
男のファンが増えただけでなく、
「キャァー!もう最高アルト様大好き!!
ファンクラブ作りましょ!!」
「そうね!作ると決まったら皆に声かけまくりましょう!!アルト様命のタオルも作らなきゃ!!」
「もう一生アルト様に付いていくわ!!」
俺の感動の涙は国民の黄色い声援と熱気で乾ききってしまった。
感動の涙を返せ!バッキャロォォ~!!
演説が終わり馬車に乗り込む時にさりげなく俺も座った。
「コウ君お帰り!」
「お、おう....。」
アルトに親友と言われてちょっと恥ずかしくしてると
「マスターはアルトに親友と言われて恥ずかしくなっているのですよ。」
「ちょ、おまっ...。」
「そうなんだぁ。以外にコウ君はそう言うのに弱いんだね。」
「う、うるせ~。あんなに直に言われたことなかったから恥ずかしかっただけだい!」
「あははは!コウ君可愛いね~!
いつものお返しだよ!」
屈託の無いアルトの笑顔に少しドキッとしてしまった。
「マスター...。やっぱりそっちのけがあるのでは...?」
冷めた顔でヴォイスは言ってくる!
「あるかぁ~!!一番わかってるくせに...。」
「フフフ。冗談ですよ。」
「あぁ~!もう!みんなでバカにして!」
「いつものお返しです。」
そう言われると何も言えない...。
「そう言えばコウくん泣いていたよね~!
私目がいいから泣いてるの見ちゃったんだよね!」
「何アンタ!泣いてたの?だっさー!!」
ラテとリアが畳み掛けてくる。
「な、泣いてなんかないやい...。」
「思いっきり動揺してるじゃん!」
「アンタ本当にダサダサね!!」
もういじめないでくれ...。
イジメダメ!絶対!
ボロックは....。
めっちゃ泣いてるやん...。
演説から少し時間たってるけどまだ泣いてるやん...。
「アルト様がこんなに立派になられて...。
私は涙が止まらんのです!!」
「ボロック...。いい加減泣き止もうよ。
そんなに泣かれると恥ずかしいよ...。」
アルトは頬をかきながら言う。
「ちょっと待て!!
なんでボロックが泣くのは良くて俺が泣くとこんなに責められなきゃならないんだ!?
理不尽だ!陰謀だ!」
「マスターの日頃の行いが悪いからじゃないですか?」
ヴォイスの言葉にみんな頷く。
何故かボロックも頷いてた。
俺、
ボロックには何もしてないと思うんだけどなぁ...。
もういい...。
俺がいじけているとウィリアムが話しかけてきた。
「コウ殿、いじけている所悪いんだけど...。」
「ふん!いじけて何かないやい!!」
「あ、あぁ...。護衛中なんかあったかなと...。」
「何か?...あぁ、あったよ。
アークダイとチゴーヤっていう貴族を引っ捕らえたぞ。」
「アークダイ殿とチゴーヤ殿を!?何故に!?」
「いやなに、ウィリアムを暗殺するとか話してたから気絶させて騎士団員に渡してきた。」
「私を暗殺...。」
「アークダイはウィリアムに替わって王になりたかったみたいだ。
後、騎士団員達にアークダイとチゴーヤの屋敷を家宅捜索させた。
きっと、面白いものが出てくるぞ。
あっ!
ウィリアム王の命令って事になってるから、
宜しく~!」
「わ、わかった。
それにしてもこんな短時間で...コウ殿は本当に凄いな...。」
「それほどでもあるね。」
「マスター。自信を持つことは良い事だと思いますが調子に乗るといつかしっぺ返しが来ますよ。」
「ヴォイス...。少し位は調子こかせてくれよぉ~。」
「ダメです。
そんなんじゃいつまでたってもモテませんよ~。(どんなことをしてもモテることはこの先ありませんが...。)」
「そうか...。
少しでもモテてファンが増えるように自重する。」
モテることが無いと知らないコウを乗せた馬車は、大勢の民衆に見送られて王城に入るのだった。
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