第104話、ちょっとドキッとしただけだし。べ、別に変な意味なんてねーし。p


王城に戻ってきた俺達一同は、

新王誕生のパーティーに参加するべく広間に集まっていた。


そこには新王派の貴族がたくさん集まっていた。

次々と俺達に挨拶してくる。

数が多すぎて誰が誰だか全く覚えてない。

俺は貴族には興味がないのでどうでも良かったが、アルト王子は挨拶回りに翻弄してた。


そこに綺麗な3人組の女性が来た。


誰だあれ?

...なんか神々しいオーラを身にまとっている。

こっちに向かって歩いてくるんだけど...。

どうしよう...?

俺がドキドキして胸が高鳴っている中近づいてくる。


「お兄さん、お腹すいた~!」

「...お腹空きすぎて倒れそうなの。」


....ん?

この声は...。


「まさか...アスタとリスクか?」


「お兄さん、何言ってんの?」

「...酔ってる?」


「お酒飲んでないから酔ってないよ...。

それにしてもその姿は?

全然違うんだけど...?」


「パパに強化してもらったからなのかな?」

「...私達は良く分からないの。ただ...。」


「ただ...?」


「....力が溢れてくるの。」

「そうだね...。パパに強化されてるときには記憶無かったから気づかなかったけどそんなに見た目違うかな?」


「全然違うよ...。凄く綺麗になってたからビックリした。」


「...お兄さん。それセクハラだよ?」

「...変態なの。」


「ち、違うっ!ほ、本当に誤解だから!

俺はそんな目で見ているわけじゃなく...」


俺が冷や汗をかきながら必死に弁解しようとしていると、

アスタとリスクは可愛い笑顔で、


「冗談だよ!

私達はお兄さんの事好きだから綺麗なんて言われて嬉しいよ~。」

「...お茶目な冗談なの。」


屈託のない笑顔で言われたら怒る気にもならなかった。


「ところで、後ろにいるお姉さまは...クラレント?」


「えぇ。お父さんに強化して頂いて...。

これでアルト様を守れる。」


「そ、そうか...。アルトに挨拶してきたら?」


「そうしたいんですけど、忙しそうですし...。」


アルトの方を見ると大勢の貴族達に囲まれていて、忙しそうにしていた。


「大丈夫だろ?こんなに美人な人が歩いて行ったら、貴族達も腰が引けて道が開くと思うぞ。」


「そ、そうかしら...。」


「自信もって行ってくるといい。」


俺がそう言うとクラレはアルトの元へ歩いていった。

俺の予想通りアルトを囲んでいた貴族達は、

クラレに見惚れて次々と道を開けていった。


そのクラレの変わりようにアルトも驚いていた。

そして、顔を真っ赤にしてた。


アルトもまだまだウブよのう...。


俺がアルトの様子を見ていると、


「お兄さんお腹すいた~。」

「...ペコペコなの。」


「あ、あぁ...。好きなだけ食べてきなさい。」


「やったぁ~!行こっ!リスク!」

「...行くの。」


アスタとリスクは一目散に料理の並んでるテーブルに走っていった。


少し大人びたかなと思ってたが、2人はまだまだ子供だな...。


パーティーは何事もなく無事に行われた。

新王ウィリアムの長ったらしい演説。

そして、第三王子に復帰したアルトの話。

貴族へ向けての話だったから退屈でしょうがなかった。

面白かった事といえば、

アスタとリスクがどちらがいっぱい食べれるか競争になり、

王宮の料理人達が半泣きになりながら次々と料理を作らされてた事だ。

作っても作っても秒で2人に食い尽くされる。

本当に料理人が可哀想だった...。

トラウマになってやめなければいいが....。

結果は料理人がギブアップしたためドロー。

ほんと...。

聖剣ってご飯食べる必要あるのかな...?

謎だ。


パーティーが終わり俺たちは王宮の客室に泊めてもらうことになった。

ふかふかなベッドに俺はウトウトする。

隣にはヴォイス。

なぜかアスタとリスクもいる。

これじゃヴォイス手が出せないじゃないか!とも思ったが、

今日は色々あってなにげに疲れてたのですぐに眠りに誘われた。



しばらく寝ていると、


「コウ!コウ起きて!!」


「ん...。後5分....ムニャムニャ。」


「コウのバカァァ!!起きろぉぉ!」


「ん...。」


その声に目を開けるとヴォイスが泣きながら俺を見ていた...。

いやいや、ヴォイスじゃない...。


「ミア...か?」


「そうよ!やっと起きた...。

本当コウって寝たら起きないよね...。

これで何度ケンカしたか...ってそんな話をしている場合じゃなかった!

コウ!助けて欲しいの!!」


こうして早朝に起こされた俺の、

新たな冒険が始まろうとしていた。

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