第96話、レッツクッキング!!



しばらく飛んでいると、冒険者のアバドンが見えてきた。

さすがに空の移動は速いな。

障害物が無いからな...。

ただワイバーンの群れにはビビった...。

浮かれてて空にも危険があるのを忘れていた。


まぁワイバーンは竜種でも下位のモンスターだから相手にはならなかったが、上位のドラゴンだったらヤバかったかもな...。

次からは気を付けて飛ばないと。


アバドンの俺達の家の目の前に着陸した。


(お兄さん、もう人化して良い...?)

(剣の姿...窮屈...)


あぁ...。いいぞ。

元々聖剣なのに窮屈って...。

まぁ解放されたばっかりだから色々見たいんだろうな...。


(マスター。私も良いですか?

アバドンはマスターの中でしか見ていなかったので直に見てみたいなと...。)


おぅ。良いぞ!

ヴォイス、アスタ、リスクを人化させる。

キャッキャッ!とはしゃぐアスタとリスク。

それと違ってヴォイスはゴングが作ったパーティーの家を見て感動してた。


「ヴォイス...。どうした?」


「い、いや。ここに自分の足で居る事が感慨深くて。」


「そうだよな...。

アバドンに居たときはまだ人化出来なかったし、そうだ家に行ってみようぜ!」


「でも時間が...。」


「予定より早く着いたから少し位のんびりしても大丈夫だよ。」


「本当ですか!?やったぁ~!」


嬉しそうなヴォイスの顔を見ているとこっちまで嬉しくなる。

アスタとリスクも呼んで自分の家に入った。

家の中に入るとすごく綺麗にされてた。

俺たちがいない間、

ゴングとアニーが手入れしてくれたのだろう。

本当にありがたい。


「そうだ!!久し振りにご飯でも作ろうかな?」


「お兄さんが作るの?」

「...お腹空いた。」


「私も食べた事ありませんがマスターの料理は一流レストランよりも美味しいらしいのですよ!!」


「ホントに!?」

「...スゴい楽しみ。」


ちょっとヴォイスさん...。

ハードルを上げないでくれ...。

まぁでも楽しみにしてくれるのは嬉しいな。


「今日は時間も無いし、簡単に外でバーベキューにしよう!」


「バーベキュー?」


「外でお肉を焼いて食べるんだよ!

ちょうどさっき倒したワイバーンの肉もあるしね。」


「バーベキュー楽しそう!!」

「...楽しみ。」


「マスター何でも言ってください。手伝いますから!!」


「じゃぁ、とりあえず野菜を買ってきてもらおうかな!量は多目で!

アスタとリスクもヴォイスに付いていってくれ!

美味しそうなのあったら好きなだけ買って良いぞ!!」


「やったぁ!お兄さんありがと~!」

「...ありがと。」

「それでは行ってきますね!!」


3人は仲良く手を繋いで買い物に出掛けた。

仲の良い3人に俺はホッコリする。

見送った後に俺はゴングの家に行った。


「あら、コウ様。お久しぶりです。」


「アニー、久しぶり!夫婦生活はどう?仲良くやってる?」


「えぇ!毎日楽しく過ごしてますよ!」


「それは良かった!ゴングは?」


「夫はソーマ様の所に居ます。

今はソーマ様の弟子になって毎日鉄を叩いています。

夫は、楽しんでいますね!!」


「そっか!それじゃこれからソーマの所に行こうかな?これから家でバーベキューするから来てくれ!」


「わかりました。私も何か作っていきますね!」


「あぁ。悪いな!じゃ後で!」


俺はゴングの家を出てソーマの店に向かう。

その道中、師匠デュークの家もあるが人の気配が無い。

帰っては来てないんだろうな...。

師匠の家を通り越してソーマの店[ノースフォックス武具店]のドアを開ける。


「おーい!ソーマ!居るかぁ~?」


「....コウくん?」


「おう。久しぶり!」


「コウくんだぁ~!!久し振りだね~!いつ帰って来たのさ?」


「今さっきな。ゴングも居るんだろ?」


「うん!居るよ!おぉ~い!ゴング!

作業止めてこっちに来て!」


「んだ。ソーマさんどうしただ?今良い所だっ....。

兄貴ィィィ!!!

おらは夢でも見ているんだか!?

幻覚か!?」


「ゴングは相変わらず大袈裟だな。

今ちょっと帰ってきたんだよ!

元気そうで良かった。」


「おら、めちゃめちゃ元気だよ!

今ソーマさんに武具の作り方を教えて貰ってただ!」


「うん。さっきここに来る前にゴングの家に行ったときにアニーに聞いたよ!

毎日楽しそうでアニーも嬉しいってさ。

相変わらずラブラブだな!羨ましいぞコノヤロー!」


「あ、兄貴。照れるだよ...。所で兄貴は急に来てどうしたんだか?」


「ソーマに用があってさ!」


「僕に?何だい、その用って言うのは?」


「まぁここで言うのも何だからこれから俺んちの庭でバーベキューするからそこで話すさ!」


「コウくんが作るの?」


「あぁ。鉄板みたいなのはあるかな?」


「うん!あるよぉ!ゴング持ってきて!」


「わかっただ!」


俺はゴングから大きな鉄板を受けとると収納魔法に納めた。


「じゃあ、借りていくな!後30分位したら家に来てくれ。準備しておくから!」


「うん!コウくんの料理楽しみだな~!」


「おらも楽しみだよ!」


俺はソーマのお店を出て家に帰って厨房に行った。


とりあえず、ワイバーンを解体していくか。

俺は収納からワイバーン一体取り出して、手際良く一口大の大きさに切り分けていく。

ロース、ヒレ、サーロイン、レバーにハツ。

どの部位も油ノリが良くて旨そうだ。

塩、コショウを振り味付けをする。

骨はスープにするために残っている血後を良く取り除き、水の張った寸胴に放り込んで火を掛けた所でヴォイス達が帰って来た。


「マスター。野菜とかその他もろもろ買って来ました。」


「おう、ありがとう。ここに置いてくれ!

置いたら皆でお風呂でも入ってくると良い!」


「マスターだけにやらせるのは...。」


「気にしなくて良いぞ。俺は好きで料理してるんだしな。」


「遠慮なく入らせて頂きます。アスタ、リスク!お風呂行きますわよ!!」


「お風呂~!!」

「...行く。」



さてと、俺は野菜を適当なサイズに切って串に肉と野菜を刺していく。

そして余った野菜でサラダとスープに使う。


「お、こんなのも今は売っているのか...。

企業努力だな。バーベキューって言ったらこれだよな!」


ヴォイスは本当に気が利く。

まぁ俺の中に居たから俺の事を知り尽くしているから当たり前なのだが、こういうのが嬉しい。


よし!食材の準備は出来た。

後は庭にバーベキューの設営をしよう。

庭に行き土魔法で釜戸を作る。

その上に鉄板を敷き釜戸に薪をくべて火をつける。鉄板の上には油を敷いて、肉と野菜の刺さった串を次々と並べてった。

ジュージューって音が堪らない。

これは料理を作っている者しか分からない幸せな音。

両面にこんがりと焼けたら火を弱火に調節をして中の方にじっくりと火をいれていく。

空いたスペースにはスープの入った寸胴をおきサラダを人数分に取り分けておく。


これで準備は完成!と同時にソーマ達とヴォイス達が来る。

ナイスタイミング!!

楽しいバーベキューパーティーの始まりだ!!

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