第78話準々決勝3




「それでは準々決勝3試合目を始めたいと思います。

近衛騎士カマエル・クロノス選手!!」


キャァーー!!

クロノス様ァーー!!


相変わらず女性人気がスゴいな...

余裕の笑みで手を振っているカマエルがなんかムカつく...

完全なる嫉妬だな...俺ってダッサ...


「続きまして、第二騎士団、団長バスクトン・ホーガン選手!!」


オォォー!!

騎士団長ファイトォォ!!

あんなすかした奴ボコボコにしてください!!


こっちは騎士団達からの支持がスゴいな...。

男だらけの声援だけどな...。

俺はバスクトンを断然応援するぞ!


「第二騎士団長はハッキリ言って強い。優勝候補の1人と言われてたんだ。」


「そうなんだ。ボロックは手合わせとかしたことはあるのか?」


「新人の時にな...もちろんボコボコにされたな...。

今思い出すだけで恐怖で手に汗をかくよ...。」


ボロックがこれだけ恐怖する位強いならカマエルの隠した力を出すかも知れない。

俺はそこに期待して、モニターを凝視した。



「準備は良いですね?準々決勝第3試合始め!!」


カァーン!!


ゴングと同時にバスクトンが大剣を構えてカマエルに突進する。

バスクトンは自分の大きさと同じくらいの大剣を使っている。

2メートル位の大剣を使うなんてどんだけ力があるのだろう。

バスクトンは大剣の射程距離に入ると力いっぱい振りかぶった。

それに対してカマエルは動かない。

そして、振りかぶった大剣がカマエルに当たる


瞬間。


驚愕の事が起こった。


なんと、カマエルは大剣を片手で受け止めたのだ。

バスクトンはもちろん観客も驚いてる。

しかし、俺は見逃さなかった。

大剣が当たる瞬間。カマエルはルシフェルが使っていた[悪黒纏いダークマター]をてのひらまとわせてたのを。


(マスター。今のって...)


ヴォイス...気づいたか...。

ヤツはルシフェルの仲間だ...


(そうですね。ってことはあの器の人は...。)


死んでるだろう...

それか殺して器として使っているのか、どっちかだな...。

カマエルは洗脳が出来るからな...。

厄介な相手だ。

アイツの目的はなんだ?

この国の乗っとり?聖剣を奪うこと?


(その両方じゃないのでしょうか?)


やっぱりか...

明日はこの剣舞祭の最終日、仕掛けてくるならば明日の可能性が高い...。


(何でですか?)


明日の決勝は王族や国の重鎮連中が全員、見に来るだろ...


(そこを狙うと...)


あぁ...アルトに伝えるためにリアに念話で伝えておいてくれ。


(わかりました。マスター。気を付けてくださいね。)


わかった...


俺はヴォイスとの念話切ってモニターに集中した。

大剣を受け止められた。

バスクトンは一旦距離を取った。

冷や汗がダラダラ出ている。

その様子を見たカマエルはニヤニヤ笑いながら、バスクトンに歩きながら近づく。


バスクトンからの焦りがモニターにも伝わってくる。


「あれは、かなり焦っているな。」


「そうだな...。

バスクトン殿のあんな表情を俺は見たことがない。」


歩きながら近づいて来るカマエルに恐怖を感じたのか何も考えずに突っ込んでいくバスクトン。

型も何もない位にバラバラな剣技が通用する訳もなく全てかわされて手刀で首元を


トンッ!!


叩かれたバスクトンは意識を切らせた。

意識を切らしたバスクトンはその場に崩れ落ちた。


「試合終了ォォ!!勝者カマエル選手!」


キャーー!!クロノス様!!

たまんない!!抱いてぇ!!


女性の声援が止まらない...。

俺はそんなことよりもカマエルの行動に腹が立った。


あの野郎...。

俺がザンスの意識を途切れさした時と同じ事しやがった。

お前に出来るのは俺にも出来るんだよと言わんばかりに...。

完全に俺を敵としてみているな...。


カマエルが控え室に入ってきた。

それと交代でヘンリーが無表情で闘技場に向かっていく。

その瞬間、小声でヘンリーに何かを言った。

何を言ったかはわからなかった。

そう言った後は、近くのベンチに座って瞑想し始めた。


俺はカマエルを気にしつつ、モニターを見た。


「準々決勝最終試合を始めます!!

第三騎士団長セルバンデス・ソール選手!!」


オォォーー!!

団長!!頑張ってくれぇぇーー!!


ザンス以外の騎士団長は人気があるんだな...。

少しザンスが可哀想に思えた。

人望は大事だ。


「続きまして、第二王子ヘンリー・フォン・レオンハート選手!!」


パチパチ....。

拍手もまばらだ。

昨日の試合で残酷な倒し方を見てしまったから人気が急降下してるのだろう。


「それでは、準々決勝最終試合!始め!」


カーンとなった瞬間。


セルバンデスが倒れた。

その側にはヘンリーが立っている。


「え?え?何!?」


リングアナウンサーも戸惑っている。

会場もざわざわしていた。


「えっ?はい!今モニターの方で何が起きたかスローで見てもらいます。」


俺はしっかり見た。

ゴングが鳴った瞬間に瞬歩見たいな技を出してセルバンデスに近づき、手刀で首元を叩く姿が...。


さっきカマエルが何かを言ってたのは、この事だったのか...。

カマエルアイツ相当性格悪いな...


「試合終了!勝者ヘンリー王子!!

これから20分休憩を挟んで準決勝を始めたいと思います。」


そのアナウンスを書き消すくらい会場はどよめいていたのだった。

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