第79話、準決勝
「コウ!見たか。私は残像し見えなかったぞ...。」
「あぁ。確かに速かったな。
ただこれは試合だからな。
王子相手でセルバンデスは気でも抜いてたのだろう。
警戒してしてなかったのは不味かったな...。」
「そうか...。
次はコウと戦うが私は気を抜かないからな。」
「あぁ。
それに俺はあんな試合はしないぞ。
ボロックとはちゃんと力で戦いたいしな!」
「私もだ!正々堂々戦おう!」
「あぁ!」
俺とボロックは握手をしてお互い精神統一をするために離れた。
しばらくするとヘンリーが控え室に戻ってくる。
今は俺とボロック、カマエルとヘンリー4人が対角に座っている状態で妙な緊張感が走る。
もし今攻められたら?とか考えていたが...
「それでは準決勝の準備が出来ましたので選手は入場してください!!」
アナウンスが流れて俺とボロックは控え室を後にした。
闘技場に歩く俺達に言葉は要らなかった。
そして、闘技場の中央に立ちボロックと対峙する。
闘志に満ちているボロックは一段と大きく見えた。
「ただ今より準決勝第一試合を始めます!
Bランク冒険者コウ・タカサキ選手!」
歓声が沸き上がる中、女性の声が聞こえた。
とうとう俺にも女性のファンが...
と思ったのも束の間....
声の主は、ラテとヴォイスだった。
しかも、
「コウ!!あんたに全財産賭けているんだからね!!負けたら承知しないよ!!」
「マスター!!頑張って下さい!
フレフレ!マスター!」
まだ賭けてたのね...。
倍率も聞いてなかったし、ラテはキャラ変わってるし...
アルトが見たら悲しむぞ...
それにしてもヴォイスの必死の応援は可愛いな...。
念話でも良いのに声を出して応援されたら頑張るしかないね!
他に女子の声は....うん。しないね。
わかってたさ...うん。本当だよ?
俺は自問自答して、言い聞かしていた。
「続きまして、騎士団唯一の準決勝進出者!!
ボロック・ゴンザレス選手!!」
オォォー!!ボロック!騎士団の誇りを見せろ!!
と騎士団が声を荒げて応援する中、
キャー!ボロック様!頑張って!!
その大きい身体で私を包んでー!!
女性のファンがあちらこちらで聞こえる。
グヌヌヌ...。許せん!
俺は女性の声援なんて受け取ってないのに、ボロックばっかり...
俺は別な意味でもメラメラ闘志が燃えていたのであった。
「それでは.....試合開始!」
カーン!!
俺は2本の剣を構えて、ジリジリとボロックに近づいた。
ボロックもこれまでとの試合とは違いジリジリと俺に近付いてくる。
そして互いに射程距離に入った。
ボロックが動く。
この動きは
俺はボロックの攻撃に対して真っ正面からぶつかっていく。
「剣聖。ニノ剣。不動明王」
俺はボロックの攻撃を受け止める。
さすがのパワーだな。
普通の剣だったなら粉々に粉砕されて俺も無事ではいられない。
だけどね...
俺はボロックの攻撃を跳ね返した。
[
・山の如し力で来る攻撃を受け止めて、倍の力で返すカウンターの剣技。
ボロックはまさか跳ね返されるとは思ってなかったのだろう。
大きな巨体が宙に舞った。
そして、受け身を取れずに倒れた。
しかしまだ闘技場の中だ。
追撃して場外に落とせば試合終了だが、それでは面白くない...
俺はボロックと約束した。
正々堂々と戦うと!
ボロックは立った。
不意に反撃を食らって受け身も取れなかったのに、すぐさま立ってくる。
その根性に俺はますます惹かれた。
「ボロック!!こんなもんじゃ無いだろう!
まだやれるよな!!」
「当たり前だ!ハァハァ。」
そう言ってるボロックの足元がふらついている。
「
ボロックは魔法を使った。
「魔法も使えるのかよ!」
そういえばボロックをちゃんと鑑定してなかったな...。
単純に俺のミスだな。
鑑定・全
ボロック・ゴンザレス(17)LV83
王国騎士団
職・聖騎士
HP7600MP3200
スキル・大盾剣術・光魔術(中級)・回復術(中級)
なるほど...。
ボロックは
それなら魔法も使えるのは納得だわ...
このステータスなら騎士団長より全然強いはずなんだけど...
そこは貴族社会のしがらみってヤツだろうな...。
「そろそろ、2ラウンド目を開始しようか?」
「あぁ...。待たして申し訳ない。」
「ボロック!お前の全てを見せてみろ!」
「言われるまでもない!行くぞ!」
ボロックがこちらに向かってくる。
ただ向かってくるなんて事は無いだろう。
何か策があるハズ?
ボロックは大盾を構えつつ剣で攻撃してきた。
剣技は中々の物だ。
しかも大盾の特性を生かして自分に攻撃が当たらないように立ち回っている。
剣聖に会う前じゃなければ、剣技だけだとかなり苦戦してただろう。
でも
なんて考えてると、
「フラッシュ!」
いきなりボロックの大盾が眩いくらいに光を放った。
俺はあまりの眩しさに視界を奪われる。
考えている隙をつかれてしまった。
「断罪のギロチン!!」
俺は嫌な予感がしてサイドに瞬歩で避ける。
ドガァァーン!!!!
会場一帯に響くでかい音。
そして避けてなお風圧が押し寄せてくる。
「
瞬時に視界を正常に戻す。
するとボロックの目の前の床にバカでかい亀裂が闘技場の端まで入っていた。
もろに喰らってたらマジで危なかった...
舐めてたのは俺だったかも知れない。
俺は気を引き締め直して、ボロックに向かって行く。
ボロックに有効だと思う剣技を思い付いた。
「岩砕剣。」
これはゴングの技の剣バージョンだ。
表層の防御力が高い相手にもってこいだ。
岩砕剣はボロックにとても有効だった。
大盾に何度か当てると持っている手の内部まで攻撃が伝わる為に痺れて、
ボロックは大盾を手から離してしまった。
そして、残った剣で何回か受けたら剣までも持てなくなってしまったのだ。
武器も大盾も無くなったボロックはなす術が無くなった。
「ま、参った。」
試合が決まったのだった。
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