第71話、決勝トーナメント開始。
選手の紹介を全て終えた。
俺は犯人探しに躍起になっていて他の参加者の紹介を全然聞いていなかった。
「全選手の紹介を終えたので、国王様からお言葉を頂きたいと思います!
国王様、お願いします!」
すると、国賓のVIPの席から風格ある佇まいをしている男が現れた。
「我はこの国の王。
オーガイ・フォン・レオンハートである。」
あれがアルトの父親か...
いかにも厳格で我儘な感じがするな...
しかし、流石のステータスだな。
騎士団長クラスより強いとは...
これは剣に固執するのは、分かる気がする...
「我が国は剣に愛された国である。
剣で自分自身の力を証明してみろ。
優勝者には我が国にある聖剣アスタリスクを授けようぞ!!戦え!強き者よ!!」
オォォォォー!!
国王の演説で観客は凄い歓声を上げて会場の熱気がピークに達していた。
「国王様。ありがとうございます。
それでは、10分後に第1試合を始めます。
ここで第1試合のオッズの方を発表したいと思います。
ムサシ・コジロウ選手2.3倍!
ハルク・ホーガン選手5.7倍!
オッズに差がついたのは、経験の差でしょうか!?
試合開始までに賭け終えてくださいね!!
それでは、選手の方は控え室にお戻り下さい。」
リングアナウンサーに促されてみんな控え室に戻っていく。
俺はボロックの隣を歩き、
「やっと始まるな。ボロック緊張しているのか?控え室でも全然話してくれなかったから寂しかったよ...。」
「コウ...。私も緊張してて話しかけられなかったんだ。すまない。
控え室には第1から第3までの騎士団長が居て、
あんまり話すとコウが目をつけられてしまうんじゃないかと思ってさ。
それにしても、剣聖デューク様と知り合いだったんだな...。
嫌でも目立つから私の心配は無用だったな。」
「あはは...そうだな...。
俺もまさかあそこで発表されるとは思わなかった...。」
俺達は喋りながら控え室に入ると、やはり異様な空気が漂っていた。
誰が首謀者なのか?
そしてこの中に首謀者は居るのか?
そんな考えが思考を駆け巡る...
「ボロック...この大会何か起こるかも知れないから気を付けてくれ。」
「どうしたんだ急に...。」
「理由は今は言えない...。ただ気を付けろとしか...」
「あぁ...。わかった。
何かは分からないが、コウの言う通り気を付ける事にするよ。」
ボロックに注意を促して俺は辺りを鑑定で見てみたが、ヘンリー王子とザンスだけ洗脳を受けていて後は至って普通に過ごしている。
ただ、何か違和感を感じる。
何か見落としている気がする...。
俺が何かを探っていると、第一試合のアナウンスが流れた。
そして、二人は闘技場に向かっていく。
この二人はシロだな...。
直感だが...。
そして、二人は対峙した。
東洋の流浪人ってだけあって、ムサシ・コジロウは刀の二刀流だった。
これはあれだな...
宮本ムサシと佐々木コジロウが混ざってるな。
ムサシが木刀でコジロウが二刀流だったきがする。
あの有名な漫画バカ○ンドでしか知らないけども...
二刀流なら俺にも何か使える技があるかも知れない。
対するハルク・ホーガンは曲刀の大剣だ。
力自慢なのであろう。ブンブン振り回している。試合前からあんな動きをしていたら疲れるだろうに...
多分、脳筋だな...
俺が分析していると、
「それでは、第一試合!始め!!」
カーン!!
試合開始のゴングが鳴らされた。
先に動いたのは脳筋ハルク。
ムサシに一直線に走り大降りで大剣を振る。
ムサシはそれをなんなく避ける。
その後もハルクの怒濤の大振りコンボで攻めるがムサシには当たる気配が一向に無い。
モンスター相手なら大振りでも当たるだろうが、対人戦に置いては隙だらけなのだがムサシは攻撃を出さない。
って言うか刀さえ抜いていない...
相手にならないと言うことだろうか...
それにしてもムサシの身のこなしは流石だ。
落ち葉のようにゆらゆら揺れて掴み所がない。
そして、勝負はあっという間に着いた。
一瞬の出来事だった。
「抜刀真空刃。」
ムサシが刀を抜いた刀の風圧でハルクは場外まで吹っ飛ばされたのである。
「ハルク選手、リングアウトォォ!!
勝者ムサシ・コジロウ選手!!」
ステータスでは2人は五分五分だったのだが、
経験の差と修練の差でここまで変わるのかと思い知らされた試合だった。
剣の世界も奥が深い。
「それでは、第二試合のオッズ開票をします。
ザンス・アブブ選手300倍!
コウ・タカサキ選手1.5倍!
この差は剣聖からの推薦状と言う効力のせいか!?
圧倒的なオッズになっております!
これより試合開始までの時間に賭け終えてください。
それでは、これより10分間の休憩に入ります。」
おいおいおい!!
賭けの倍率めっちゃ低くないか?
これはリアにめちゃめちゃ文句言われそう...
アンタ何やってんのよ!!このヘボ!とかね...
あぁ...憂鬱だ..
すると、ヴォイスから念話が飛んできた。
(マスター。今大丈夫ですか?)
あぁ。大丈夫だけど、どうした?
(オッズの件何ですけど...)
まさか、もう何か言われるとは思いませんでした。すいません...
(そうじゃなくて、この試合は仕方ないんですけど次の試合のオッズを下げる為にわざと苦戦してくれませんか?)
え?
(今ラテとリアと話した結果。
今日は仕方ないんですけど、
明日からバーンと儲けるために苦戦しろと、
リアとラテが念を押して言って来るんですよ。
危機迫った感じで...
私、怖くて...ラテは顔で威圧してくるし、
リアは念話でドスの聞いた声で摘めてくるんです...。
マスター!お願いします!)
あぁ...。ヴォイス...辛い思いさせてごめんな...
わかった!精一杯苦戦する演技をしてくる!
任せてくれ!
(マスター!ありがとうございます!)
俺はヴォイスとの念話を切り、プランを考えた。
グラビティでいつもより動きを鈍くさせて、戦おう。
これくらいしか思い付かん。
試合開始まであと1分。
時間無いから後は戦いながら考えよう。
その時、ヴォイスは...
「ラテさん上手くいきました。
これで明日のオッズはだいぶ下がると思いますよ!!」
「よしよし、ヴォイスは偉いな!これもコウの為だからね。いっぱい稼いで皆で美味しいものをたっぷり食べましょう!!」
「はい!!本当に楽しみです!マスター頑張れ!」
リアとラテのいっぱい稼いで、美味しいもの沢山食べると言う作戦にまんまと掛かるコウだった。
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