第70話、違和感。
剣舞祭1日目が終わった夜のとある場所で、
「どうでしたか?コウ・タカサキは...」
「大したことは無いですね。私だけで十分亡き者にできますね。何故、主様はあの者を気に掛けるのでしょうか?」
「そこは、私達が知るところでは無い。
お前は余計な事を考えないで与えられた使命をこなせ。」
「...御意。」
「私も主様が興味を持たれてるコウ・タカサキを一目見に行きましょうかね。」
「えっ!貴方様がわざわざ来られる程の者では無いですよ!」
「なんですか?
私が行くと何か不都合でもあるのですか?」
「い、いえ。無いですが...。」
「貴方の邪魔はしませんよ。
一目見たら私は私の任務があるので。」
「...了解しました。」
「では、剣舞祭の決勝戦辺りに行きますので。くれぐれも失敗しないように...」
「御意。」
そして、念話は途切れた。
「どうせ、私の監視だろ...。
クソが!主様のお気に入りだからって調子乗りやがって!」
コウ達が知らない所で黒い陰謀が渦巻いているのであった。
そして、朝が訪れた。
朝起きると身体が以上に軽くなっていた。
昨日の夜にヴォイスが覚えてくれた魔法、リラクゼーションとメディカルマッサージで心身共に最高の状態になった。
「マスター!おはようございます!」
「おはよう。ヴォイス。本当ありがとうな。
身体も凄い軽いし、めちゃめちゃスッキリしてるよ!」
「それは良かったです...。あの...」
ヴォイスが頭を出してモジモジしている。
俺は優しく抱き寄せて頭を撫でた。
「マスター。ありがとうございます...。」
本当に可愛いな。
このままずっと抱き寄せて居たい...
そんなこと思っていると、
トントン。
部屋のドアからノックが聞こえた。
「コウ君起きたぁ~!?」
アルトの声が聞こえた。
チッ。もう少しイチャイチャしたかったのに...
「マスター。心の声漏れてますよ。私は嬉しいですけど...。何かあったのかも知れませんよ。」
俺はドアを開けると皆が勢揃いしていた。
「皆集まってどうしたんだよ。」
「アンタ忘れてるの?
今日は全財産アンタに賭けるのに、要らない素材とか売りに行ってから行くって言ってたでしょ!?」
「そんな話してたっけな?」
「マスターは疲れてたので聞いてなかったんですよ。確かに話してましたよ。」
「そうなんだ。ちょっと準備するから下で待っててくれ!」
「早くしなさいよ!」
相変わらずリアは一言多い...。
俺は直ぐに着替えをして顔を洗い下に向かった。
そして、冒険者ギルドに要らない素材を全部売った。
流石、王都のギルド。
かなりの金額なのだが即金で払ってくれた。
そして、コロシアムに向かう途中。
アルトは元王子なので賭博がばれると大変なのでリアと一緒に魔法図書館に行った。
俺はヴォイスとラテに全財産を預けてコロシアムの控え室に向かった。
控え室に入るとトーナメントに出る選手の人達が集中していた。
流石にボロックも今日は話しかけては来ない。
他の騎士団の人達や第二王子が居るからだろう...
俺も集中してアナウンスが流れるのを待った。
「それでは、出場する皆様は決勝トーナメントが始まる前に選手紹介と国王様の挨拶の為に会場に向かってください。着いたらA~Hの順に並んでください。それではお願いします。」
スタッフに促されてみんなが会場に向かう。
俺もつられて後を追う。
会場に着くと異様な熱気に包まれていた。
「それでは選手の皆様が揃ったようなので早速選手紹介して行きたいと思います!!」
オォォォォー!!
会場は割れんばかりの歓声が上がった。
「まず第1試合。Aブロックから、
東洋の流浪人。ムサシ・コジロウ選手。
相手は第2騎士団所属。ハルク・ホーガン選手。」
2人は手を振り、会場のお客に手を降っている。
なるほど。ああ言う立ち振舞いをすればいいのか...
「次は第2試合。
第1騎士団長。ザンス・アブブ選手。」
まばらな拍手が送られている。
それは昨日あんなショボい試合してればな...
なんて思いながら次は俺の番だ。
「その対戦相手。
Bランク冒険者であの剣聖デューク様より推薦状を頂いて参加してきた。
コウ・タカサキ!!」
オォォォォー!!
割れんばかりの歓声が俺に向けられた。
俺は手を振り会場の客に挨拶をする。
一方、ザンスは無気力にボーッとしている。
俺は違和感を感じ鑑定をしてみる。
すると、洗脳状態になっていた。
誰が、何の為に?
俺は他の選手を1人づつ鑑定してみた。
すると、Hブロックにいる第二王子ヘンリー・フォン・レオンハートが洗脳状態になっていた。
第二王子が洗脳状態になるってどういう事だ!?
この大会は思ったほど闇が深いのかも知れない...
警戒心が一段と高まるコウだった。
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