第69話、剣舞祭1日目。



無事に、ボロックもバトルロワイヤルを制し、決勝トーナメントに出場が決まった。

勝ち続け行けば準決勝で当たる事になる。

そして、すべてのバトルロワイヤルが終了したのは夕暮れだった。

その中でも別格に目を引いたのは、最終Hブロックの第二王子メルセデスだった。

剣技が研ぎ澄まされていて隙がない感じだった。


このトーナメントは色々と楽しみだな...。

俺はそう思いながらコロシアムを後にした。

歩いていると、ヴォイスから念話がきた。


(マスター。終わりましたか?)


あぁ...

終わったぞ。明日から決勝トーナメントだ。


(勝ったんですね!!良かったです!

私達も一区切り着きましたので、噴水前で待ち合わせしませんか?)


あぁ。

待ってるよ。


(はい!待っててください!)


ヴォイスは嬉しそうに念話を切った。

俺は噴水の前で待つこと10分。

タッタッタッ走って来る足音が聞こえた。


「マスター!すいません!!待たせてしまいましたよね!」


「全然。今来たとこだよ。」


これは待ち合わせの時の定番の挨拶だ。

いくら待とうが男は待った事を悟らせない。

これはモテる男としての礼儀である...


「ウフフ。ホントは待ってた癖に...。」


「何か言ったか?」


「言ってないですよ~!」


夕日に照らされてヴォイスの顔が赤くなっている気がした。


「そう言えばアルト達は?」


「もう少し掛かるそうですよ。

聖属性の上級魔法はなかなか難読で、

理解するのに時間かかっている見たいです。」


「ヤッパリ難しいんだな。

上級は俺にも分からないかも知れないな。

ところで、ヴォイスは何の魔法を覚えに行ってるんだ?」


「それは後のお楽しみです!だから今は言いませんよ!」


「気になるなぁ...」


「ウフフ!気にしないで下さい!」


ヴォイスが最近良く笑ってくれる。

この笑顔に俺は癒されてるな...

おっとダメだダメだ!!

心までヴォイスに言ったらミアが悲しむじゃないか!!


「今ミア様の事考えていましたね...。

その心配なら大丈夫ですよ!

私とミア様は感覚共有もしてますので、

いつもミア様に情報は伝わっていますし、

ベッドでの事も...」


「ちょ、ちょっと待て!

こんな人通りの多い所でそんな恥ずかしい話をしないでくれ。とりあえず、どこかのお店に入ってアルト達を待とうぜ。」


「マスターは恥ずかしがり屋さんですね。

そんな所も可愛いです...。」


「ん?」


「何でもありません。リアに念話で伝えますね!」


「あぁ。」


こうして、俺達は適当なレストランに入った。

お勧めを頼んで料理を待っていると、


「おう。明日は期待してるからな!頑張ってくれよ!!」

「僕は、コウさんを憧れます!!頑張ってください!!」

「僕は騎士団に所属してますけど、あのクソ騎士団長をスカッと倒してください!!期待してます!!」

「おぉ。英雄様!俺はアンタに全財産賭けるからな!期待してるぜ!!」


と、色んな男から声を掛けられた。


「ウフフ。マスター大人気ですね!」


「男からな...。」


「でも、人気あるだけ良いじゃないですか。」


「男ばっかりだけどな...。

それにしても賭けって何の事だ?」


「さぁ、私にはわからないですけど...」


すると、後ろの方から足音と声が聞こえた。


「このコロシアムの決勝トーナメントはお金を賭けてもいい事になっているんだよ!

祭りだからね!」


「アルト!お疲れさま!一区切りついたんだな。」


「うん、頭使いすぎてパンクする所だったよ。」


「英知の書を使っても難しいんだな...」


「そうだね...

僕が覚えようとしているのは最上級...」


「アルト様!それは内緒でしょ!?」


「そうよ!台無しにする気なの?」


リアとラテがアルトの話に割って入ってきた。

皆、内緒とか疎外感感じるんですけど...


(マスター。安心してください。

みんな成長してマスターを驚かしたいだけなんですから。)


なら良いんだけどさ...


(私はお部屋で見せますね。)


あぁ...楽しみにしてる。ムフフ...。


(ちなみにいやらしい事では無いので...)


わ、わ、わかってりゅわい...


(噛んでますよ...)


「アンタ達!念話で変な会話してないでご飯食べるわよ!」


「「はい...。」」


リアも念話使えることをすっかり忘れてた。

俺とヴォイスは顔を真っ赤にさせてご飯を食べ始めた。


「それでなんだけどコウ君。勝てる自信はある?」


「弱すぎて勝てない方がおかしいと思うレベルだぞ。」


「そっか!それを聞いて安心した!」


「どういう事だ?」


「僕たちの全財産をコウ君に掛けるよ!」


「えっ!?」


「これからドンドン強くなる為にお金はどうしても、必要だからね。

良いものを食べてモチベーションあげたり、女の子が多いから色々とお金はかかるしさ!

コウ君が勝てるなら莫大なお金になると思うよ。」


「それは良いけど...何か詐欺みたいだな...でも賭けるのは準決勝まででいいか?

もしかしたら、直ぐにこの場から離れなきゃ行け無くなるかも知れないからな...」


「...師匠の様に暗殺者が送られるって奴ね...」


「そうだ...。決勝は出立の支度をして皆で来てくれ。そうすれば王都から離れるときにはぐれなくて済むしな。」


「了解...」


「アルト。そう気を落とすな...何も無かったらそれはそれでいいんだから。」


「そうだね。何も無いことを祈るよ。」


こうして、剣舞祭1日目が終わった。

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