第67話、剣舞祭の控え室にて




王国剣舞祭当日。


俺達は支度をしてホテルのレストランで朝食を取ってた。


「コウ君。いよいよだね!」


「あぁ。体調もバッチリだし大丈夫だろ。」


「マスターなら大丈夫ですよ!」


「そうね。コウなら間違いなく勝てると思うわ。」


「アンタ!負けたら恥ずかしい事をさせるから覚悟しなさい!!」


皆が応援してくれると思うと本当に頑張れる!

俺は感謝しながら、


「あぁ...俺は負けないから安心して各々新しい魔法を覚えて来てくれ。」


こうして俺達はホテルを出て俺はコロシアムに、アルト達とヴォイスは王立魔法図書館に向かった。


コロシアムに着くと大勢の参加者でごった返していた。

満員電車並みの窮屈な環境にゲッソリする...

俺は何とか受付までたどり着いて、

剣舞祭の本選に出るための予選のクジをひいた。

引いた紙にはBと書いてあった。


「貴方はBなので2試合目ですね。

すぐ始まりますので控え室に行ってください。控え室はここの通りを右に行くとありますので...」


「すいません。予選って何をするんですか?」


「あぁ... 貴方は初めて参加する方でしたか...」


「はい...」


「分かりました。説明します。

予選の方は100名によるバトル・ロワイアルです。

リングの上に最後まで立っていた2人が本選出場となります。

失格の条件としては、

リング外に出る事と殺さない事です。

もし、殺してしまったら牢屋行きになりますのでお気をつけて下さい。

それ以外なら何でもアリなので張り切って頑張ってください!!説明は以上です。」


「丁寧にありがとうございます。

早速、行ってきます。」


俺は受け付けの人に会釈して控え室に向かうとフルプレートの鎧を装備してる一際大きい男が目に入った。


でかいな...

それに、フルプレートって動きづらく無いのかな?

スゴいなと思って見てると、


「コウ!コウじゃないか!?貴殿も参加するのか!?」


「えっ!?貴殿...ってボロックか!?」


「ああ!昨日の今日で奇遇だな!私も参加するんだ!」


「そうなんだ!知ってる奴が居て良かったよ!!」


「コウはどのブロックなんだ?」


「俺はBだよ?ボロックは?」


「私はDだよ。私達が当たるとしたら決勝トーナメントだな。」


「そうだな。戦えることを楽しみにしてるよ。」


「あぁ。私も貴殿と戦えることを楽しみにしてる。」


俺達は固く握手をして、決勝トーナメントで戦うことを約束をした。

おれはボロックと別れて控え室へ入っていった。

Bブロックの100人が待機していた。

その中にボロックと同じフルプレートの装備をしている軍団が一角を占拠していた。


「なんだなんだ。このしけた連中は!!

俺が優勝で間違いないな!!がははは!!」


「そうですね!!軍団長に敵うものはいないですよ。」


「そうだろそうだろ!!がははは!!」


五月蝿い奴らだな...

王国騎士団てこんなに低脳な奴等でだいじょうぶなのか?

鑑定したけど、ステータス的にも大したことないし...

そう言えばボロックを鑑定してなかったな...

ヴォイスが居ないだけでこんなに不便なんだな...

ヴォイスの有り難みを噛み締めていると、


「おい!貴様!」


ん?

王国騎士団の奴等がこちらを見ている。

まさか、俺を呼んでいる訳じゃないよな...

俺は辺りを見渡すが俺以外周りには誰も居ない。

俺か...

何かと男に絡まれる体質を本当何とかしたい...

絡まれるなら女の子がいいな...

何でか知らないけど女の子に絡まれる何て事は絶対ないと言い切れてしまうのが悲しいが...

俺がそんな事を考えていると、


「貴様!!舐めてるのか!?呼ばれたら返事はハイだろうが!!」


「は?何で俺がお前の言うことを聞かなきゃならないんだ?

ってかアンタ誰だ?

知らない奴とは話しては行けませんって言われてるから...じゃ!」


俺はその場を去ろうとするが騎士団の部下達が俺を取り囲んで来た。

予選の前にイザコザは本当に勘弁してほしい...

こんな奴等吹っ飛ばそうと思えば簡単に出来るがそれで失格にでもなったら皆に申し訳がたたない。

俺は我慢して軍団長に向き直った。


「こんなことまでして、俺に何か用か?」


「なんだその口の聞き方は!?

俺は王国の騎士団長だぞ!!」


「俺はこの国出身では無いんでね。アンタがどんだけ偉いかは知らないが初めて喋る人に対して礼儀もないのか?騎士団長様よ...」


俺は怒りを押さえながら喋った。


「グヌヌ...。言わせておけば...。」


騎士団長は唇を噛み締めながら、怒りを堪えてるようだった。

そもそも失礼な態度を取って来て置いて自分が言われれば怒るって最低な奴だな。

部下の騎士団達もよく付いていってるよ。

俺なら殴って辞めてるな。

貴族と関わるってことはこう言う事が多発するんだろうな....

あぁ...嫌だ嫌だ...


「お前...騎士団のボロックと喋ってただろう。

アイツもろともぶっ壊してやるから覚悟しておけよ...」


そう言い残し騎士団長達は俺の目の前から去って行った。

それにしても...

ボロックよ...

一体何をした...?

俺の推測ではボロックは曲がったことが嫌いな性格をしていて、この騎士団長と揉めたんだろうな。

それでハブられてる感じか...

この大会が終わったらパーティーに誘って見ようかな...?

こんな所に居るボロックが可哀想だ。


そんな事を考えながら出番を待つコウだった。

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