第61話、推薦状



この地に生を落として300年。

長かった...

本当に長かった...

その長かった生活もこれで終わる。

待っている生活に...


???「やっと逢える...。」


そう呟く黒髪の少女は王都に向かって歩いていた。





2ヶ月後。

俺たちは宿場町や野宿をして、王都にたどり着いた。


「本当に遠かったな...。

しかも退屈すぎて死にそうだったし...」


「そんなこと言って、

コウ君ずっとモンスター狩ったり、剣技磨いたりしてたからまだ良いじゃないか!!

僕なんてずっと瞑想だよ!」


「そうか?そんなこと言う割りにこそこそ影でラテとイチャイチャしてたの知ってるんだぞ!」


「イ、イチャイチャ何てしてないやい...」


アルトは顔をトマト見たいに真っ赤にしてた。

相変わらず可愛い奴だ。

そんなこと言ってるうちに王都の門を潜り抜ける。


「流石にでかいな...。さすが王都。」


見える範囲全てが石畳に道路は整備されていて、立派な建物が並んでいる。

アバドンの街の5倍位はありそうだ。


「僕も久しぶりに帰って来たけど、こう見ると本当にでかいね。」


「そうね。

私も久しぶりに来たけど、結構町並みが変わったわね。

取り合えず馬車を置かなきゃだから冒険者ギルドに寄るわね。」


そう言ってラテは王都の冒険者ギルドに馬車を走らせた。

着いて見るとアバドンの冒険者ギルドより大きくて何か小綺麗だった。


中に入ると冒険者達が居るのだが、小綺麗すぎて馴染めない感じがあった。

ここは冒険者の集まりって言うより貴族の社交場の様だ。

ラテは受付嬢をやっていた経験もあり、テキパキと書類を書いていた。


「アバドンと全然違うな。

何か凄く冒険者らしくなくて嫌な感じだな...」


「そうだね...。

僕もここはあんまり好きになれそうもないや...。」


アルトも感じたのだろう。

ここには冒険者特有の何かが無いことに。


「申請終わったわよ。

取り合えず宿をとってコロシアムに行って剣武祭のエントリーしてこよう。」


「さっさと行きましょ!ワタシここの感じ嫌だわ!」


リアも苦手らしい...


「あぁ。行こう。」


俺たちは足早にギルドを出て宿に向かった。

宿は手頃な所をラテが知ってるってことでラテについて行き部屋を取った。

俺に気を使ったらしく3部屋取ってた。

別に今さら気を使わなくていいのに...


そして、コロシアムに向かう途中の噴水前。


「ここを右に真っ直ぐ行くとコロシアムだから、

僕たちは王立魔法図書館に行って明日からの入館手続きをしてくるからここで待ち合わせね。」


「あぁ。俺もエントリー終わったらここで待ってるな。」


そして、3人は反対方向に歩いて行った。

結局、俺一人かい!!


(マスター。ワタシが居ますよ!)


そうだったな。

ありがとう。ヴォイス。

じゃぁ、一緒に行こう。


(はい!)


俺はコロシアムに向かった。

コロシアムに着くとスタジアム位の大きさがあり、大きすぎてちょっとビビる。


「おい!お前!こんなところで何をしている!ここは関係者以外立ち入り禁止だ!」


コロシアムの警備兵が駆け寄ってくる。


「あっ!すいません!剣武祭のエントリーで来たんですけど...」


「お前みたいなヒヨッコがか?ムリムリ!出場するだけ無駄だ!怪我しないうちに帰るんだ。」


「推薦状あるんですけど...」


俺は警備兵に師匠からの推薦状を渡した。


「推薦状?

どれどれ......


け!剣聖デューク様からの推薦状!!!

あわわわわわ!!

知らずとは言え、すいませんでした!!」


「良いですよ。

僕もこんな見た目ですからね。

もし良かったら、受付まで案内してくれませんか?」


「もも、もちろんです!!」


急にかしこまった警備兵に受付を案内されて受付の人に推薦状を見せた。


「けけけ、剣聖デューク様からの推薦状!!」


ここでも驚かせてしまったらしい。

目が飛び出そうなほどだった。

師匠は本当にスゴい偉大な方なんだなと改めて思い知った。


「それで僕は出場出来ますか?」


「もちろんです!!

ここの用紙に名前とギルドに所属しているならばランクをお書きください。」


出された用紙に名前とランクを書いて渡した。


「これがエントリーの札です。無くさずに持っていてください。」


俺は1320と書かれた札を受け取った。


「予選は明後日からです。明後日の朝8時にここに来てください!遅刻は失格となりますのでお願いします。」


俺はペコリと挨拶をしてその場から離れた。


そして、アルト達との待ち合わせ場所である噴水前に着くと1人の黒髪の少女と目があった。


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