第60話、王都へ
王都行きの決めたその夜の事、
俺達と緊急任務でしばらく離れる師匠デューク、ソーマ、ゴング夫妻で宴会をした。
もちろん料理は全て俺が作った。
皆が期待してくれるんだもん...
張り切っちゃうよね!
「兄貴~!先生~!師匠~!どうしても離れてしまうだか~?」
「泣くなよゴング!離れるって言っても俺たちは半年位だぜ!剣武祭で優勝したらすぐ戻ってくるからさ!」
「そうだよ!ゴンさん。泣かないで...そんなに泣かれると僕も...ボグモ...」
「いや、アルトも泣くんかい!」
「いいねぇ~!熱い男の友情は!そうだ!コウくん。優勝して戻ってきたら聖剣アスタリスクを見せてね!」
「あぁ!良いぞ!もし改良とか出来たらしてくれ!」
「えっ!?いいの?やったー!ありがとう!コウくん!!僕の夢の一つが叶いそうだよ!」
ソーマは子供の様にはしゃいでいる。
嬉しそうで何よりだ。
「コウ。これは剣武祭の出場の推薦状だ。お前が優勝するのは揺るぎ無いとおもう。
それでだが、優勝したら速攻王都を離れろ。」
「何でですか?」
「貴族達に目を付けられるからだ。
俺もそうだった...。
平民が優勝するなどあってはならん!とか言って暗殺者とか雇って殺しに来るぞ...。」
「マジですか...?」
「マジだ。俺の時で30人位の暗殺者が来たかな...まぁ、全部返り討ちにしたがな。
でもそれは、俺が一人だったからすぐ雲隠れ出来たが...
今のお前達はパーティーで動いている。
何があってもいいように脱出の経路は確保しておけよ!」
「は、はい。分かりました。」
貴族達って面倒くさいんだな...
アルトは本当に大変だったとおもうと俺も何か泣けてくる。
(マスター...そうですね。
しかし、マスターがしっかりと守れば大丈夫です!)
そうだよな...
王都に行ったら気合い入れないとな!
(はい!ワタシも精一杯サポートしますから!)
あぁ...
頼りにしているからな。
「アンタ達いい雰囲気ね!
アルト様の事はワタシにドーンと任せなさい!」
リアが小さい身体で大きな事を言っているのが少し可笑しくもある。
「まぁ、そうね。アルト君の事は任せて、コウはガツンと優勝してきなさい!
帰りの馬車の手配とかはギルドに話を付けてこっちでするから!」
「あぁ、ありがとう!ラテ!」
皆頼もしい!
俺は何を恐れていたんだろうか...?
俺は俺のやることをやろう!
そう言えば剣武祭では女性の観客も多いだろうからひょっとしてモテるんじゃないか...?
ムフフ...
俄然やる気が出てきた!
(マスター...
ハニートラップって言葉知ってますか?
優勝して近寄ってきた女に殺されますよ!
確実に!
ってか今殺したい気分です!!)
「アンタまたよこしまな考えしてヴォイスをイジメてるんでしょ!?
イジメたら凍らしてす巻きにして沈めるからね。」
「そ、そんな...」
(リアには本当に感謝しないとです!
ワタシの代わりに殺ってもらいましょう!
さぁマスター凍らされましょう!!)
本当によこしまな考えをしてすいませんでした...
俺はその場でジャンピング土下座をしてヴォイスに謝った。
「コウ君?何してるの?」
「い、いや...これはだなぁ...」
「アルト様。あんなのは見てはいけません!
バカが移りますから。バカが...。」
2度言わなくても...
そんなに大切な言葉ではないですよ...
リアがギロッと睨む。
すいません...
余計な事は言いません、もしくは思いません!
これどうにかなんないのかな...
このままだと心に思ったことが筒抜けで普段の生活ままならないよ...
(分かればいいのです。ちなみに念話はのオンオフは自分でコントロール出来ますからね!
今まではワタシのタイミングでオンオフを切り返してましたけど。)
じゃぁ今までの事は全てヴォイスの...
(そうなりますね!マスターがイジメるから...)
そうか...
気を付けます...
落ち込む俺に師匠が声をかけてくれた。
「とりあえず飲もうぜ!コウ!王都で強くなってこいよ!」
「はい!師匠!」
楽しかった。
しかし、俺はその後お酒を飲みすぎて案の定潰れてしまった。
次の日...
「イタタタ...頭がガンガンする....」
久しぶりの二日酔いに頭を押さえる。
起きたくは無いが今日は王都に出発する日である。俺は
そして、お風呂から上がるともうみんな出発の準備を始めてたので俺も急いで準備を始めた。
なんとか支度を間に合わせ俺たちは馬車に乗った。
師匠は朝早くに任務出掛けたらしい。
見送りはゴングとアニーとソーマがしてくれた。
初めての王都。
何が待ち受けているんだろうとドキドキ心を震わせながら、向かうのだった。
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