第59話、修行終了。そして決意。




今日は修行の最終日。

師匠に緊急の任務が入った為だ。

Sランク冒険者はそれだけ多忙らしい...。

今日はラテとリアも参加している。



「よし、二人とも修行の成果を見せてみろ。

まず、アルト!」


「は、はい!」


「ラテに聖魔法を付与してみろ。そしてリアとの複合魔法使って出来たら合格だ。」


「分かりました。」


アルトは少し緊張した面持ちで杖を構えた。


「大丈夫。アルト君なら出来るよ!」


「そうよ!アルト様に出来ない事なんて無いんだから!」


「ありがとう。2人とも!」


俺も何か言った方がいいのかな....?


(マスター...それは野暮ってもんじゃないですか?)


だよな...

そっと見守る事にします...



アルトの杖に聖魔法のオーラが集まってくる。

そして、


聖魔功防向上セイドリックアップ!」


そう唱えるとラテの身体が聖のオーラで包まれた。

これでラテは一時的に聖の属性になり、弓での攻撃にも聖の魔力が付属出来るようになった。


「よし、合格だ。次はリアとの複合魔法だな。あの藁人形をモンスターに見立てて放ってみろ!」


20メートル先に藁人形が複数体立っていた。


「アルト様行くよ!」


「う、うん。」


リアは水の精霊だから水魔法と聖魔法の組み合わせか...

楽しみだな!

もちろん、さっきのアルトが使った魔法はしっかりとミヨウミマネで登録されました。


リアが魔力を込めると辺りの空気が冷たくなってくる...

それに合わせてアルトの聖の魔法で包まれていく。

うまくは表現できないが雪山の山頂着いた感じかな..

寒いのに暖かい感じ...


「「聖魔絶対零度セイドリックノヴァ!」」


放たれた瞬間、複数体の藁人形が凍った。

ただ凍っただけじゃない。

藁人形は何の曇りもないクリスタルのように光輝いて凍っていた。


「アルト!良くやった!合格だ!」


「やったね!アルト君!」


「アルト様なら当然よ!」


「ありがとう2人とも!」


仲良し3人組だな...

俺このパーティーにいるのかな...?

最近、疑問におもう...


(マスターは本当に心配性なんだから...

安心してください!大丈夫ですよ!)


ありがとう...


「よし、次はコウだな!コウには聖光気を纏って俺が教えた剣技を順番に放ってくれ!」


「はい!」


「コウ君頑張って!!」


アルトの声援が聞こえる。

ハブられてないと実感出来た瞬間だった。

よし、頑張ろう。


(マスターファイト!!)


俺は集中する。

聖のオーラを集めて一気に爆発させる。


聖光気セイドリックオーラ!!」


今までで一番大きな聖のオーラが身体に覆われる。

ここから師匠に教わった剣技を次々に放っていく。

川のせせらぎの様に、爆発する火山の様に、

凍てつく氷山の様に、荒ぶる波のように、

全てを吹き飛ばさんとする暴風の様に..

.

そして、全ての剣技が終わると、辺りはシーンとしてた。


「あ、あの...師匠?終わりましたけど...」


師匠もポカーンとしていた。


「あ、ああ...何と言うかコウが凄すぎてな...

俺が教えた以上に出来ていたからビックリしたぞ。文句は一切無い。合格だ。

というか既に俺を完全に越えている...」


「えっ...またまたご冗談を...」


「本当だぞ...俺でもそんなにスムーズに出来ない。俺は教えられて誇らしいぞ!」


「ありがとうございます。」


「後は剣だな。

聖光気を存分に発揮できる剣が無ければコウの剣技も威力は俺以上は出ないだろうな...」


「ソーマに頼んで見ましょうか?」


「腕は認めるが、ソーマ頼んでも素材がSランクの素材かそれ以上になるから早く出来ても数年は掛かるだろうな...」


「そ、そんな...」


「そこでどうだろう?

2ヶ月後に行われる王国剣武祭に出ると言うのは?」


「王国剣武祭?」


「あぁ。

王都で4年に1回開催される大会で色んな流派の剣士が集まる大会だ。

そこで優勝すると、聖剣が授与されるんだ。」


「聖剣って何本もあるんですか?」


「今この世の中に確認されてる聖剣は全部で4本。

俺の大剣エクスカリバー、

勇者が持つ片手剣ブレイブソード、

王都の国王が持つ片手長剣クラレント、

最後に優勝者に渡るとされている双剣アスタリスク。

双剣の扱いが難しく使い手が現れなかった為に今回の優勝者に渡ることになったらしい。

コウにはもってこいの剣じゃないのか?」


「そうですね!王都か...」


俺はアルトをチラッと見る。

難しい顔をしている。

それはそうか、元とは言え第三王子だもんな...

俺だったら行きたくは無い...


「アルト。無理して行くこと...」


「僕も行くよ!!」


俺の会話を遮るようにアルトが言い放った。


「でもお前は追い出された身じゃ...」


「そうなんだけど、

実際僕の事を認識している人なんてそうは居ないし。

居たとしても家族と僕の護衛してくれてた数名しか居ないから大丈夫。

それに僕も王都に用があるんだ。」


「用って?」


「王立魔法図書館に行ってもう少し魔法について知りたい。

いや、知らなきゃコウ君の背中やラテさんやリアは守れない!」


アルトは決意を決めた目をしている。

俺の剣技を見て更なる高みに行きたいと語った。


「なら決まりだな。次の目的地は王都。俺は王国剣武祭で優勝すること!」


「僕は王立魔法図書館で魔法の知識を高めてレベルアップすること!」


俺とアルトはお互い握手をした。

新たな旅立ちが始まろうとしていた。

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