第57話、決意と修行



歓喜に湧いた食卓を終えて、皆が帰り食器を洗って俺は部屋に入った。


(楽しそうで良かったですね。)


あぁ...

本当に楽しかったな。

こんな日が続くようにもっと頑張らないとな...。


(そうですね...。マスター...





話さないと行けない事があります...。)


ルシフェルが言ってた事か...


(はい...)


あの時ルシフェルは言ってた裏切り者と黒幕についての話か...?


(そうです...。

まず、今回の黒幕は神の1部だと思われます。

元々、神は善悪と言う感情はもっていませんでした。

しかし、長い...本当に長い間...

人間を見ていた事により善悪の感情が芽生えてしまったのです。

そこにマスターがやって来て、ワタシを授けた。

ワタシはこれ以上、神が係わるとマスターに危害が出ると考えて神との分離させました。

結果は成功しました。

しかし...その時にマスターの身体から神から悪の部分だけが外に出てしまったのです。

形もなく真っ黒な部分だけが出たのですが...)


それがルシフェルの主ってことか...


(おそらく...)


それで悪の部分の神はヴォイスを裏切り者と...


(はい....)


ふざけんな...

俺はどんなことしても守る。

ヴォイスもアルト達も俺に関わってくれた人達全て!

神を倒すことになっても!

ヴォイス手伝ってくれ!


(はい!どこまでもマスターに付いていきます!)


俺達は決意を新たにした。





翌朝、俺とアルトはデューク師匠に聖魔法教わるべく、早起きして朝食を食べて師匠の家に向かった。

と言ってもお向かいさんだが。


コンコン!


「師匠!おはようございます!」


しばらくすると玄関が開き、


「あぁ。おはよう...。お前ら早いな...ちょっと待ってろ。すぐ仕度してくる。」


ボサボサの髪でお腹をポリポリと掻いてデュークは起きてきた。

本当に剣聖なのか?と疑いたくなる格好だ。


待つこと10分。


「待たせたな。こんなに早く来るとは思わなかったぜ!とりあえずお腹空いたな...」


「そう言うと思ってコウ君がこれ用意してくれました。」


「これは?」


「携帯食のサンドイッチです。パンに野菜とオークの肉の照り焼きを挟んだ物ですね。」


「気が利くな!サンキュー!早速一口...」


パクッ。



モグモグ。



「.....旨い!!なんじゃコリャ!!

コウ!お前さ...冒険者辞めて料理人になった方が良くない?これ売ったら儲かるぞ!!」


真剣な表情で語る師匠が怖いわ...

まぁ、でも歳を重ねてのセカンドライフにはいいかも...


「ご馳走さま!美味しかった。」


「お粗末様でした。それで師匠。今日はどちらで聖魔法教えてくれるんですか?」


「どこでって言われてもな?そこら辺の空き地でいいんじゃないか?民家から離れてるし、迷惑掛からないと思うし。まぁ達人は場所を選ばないって言うしな。」


「まぁそうですけども...」


そんな適当で本当に大丈夫なのか?


「アルトはこれを読んで聖魔法の知識を深めてくれ。読み終わったら聖魔法のコツを教える。」


そう言ってアルトにレポート見たいのを、渡す。

「はい!師匠。」


「俺はどうすれば...?」


「コウは俺と模擬戦だな。ミヨウミマネのスキルで盗んでくれ。とりあえず俺を鑑定しろ。じゃないとスキル発動しないだろ?」


「は、はい。じゃぁ、失礼します....。


鑑定・全。」


俺は師匠を鑑定した。驚愕のステータスの高さだった。



デューク・オストラル(33)LV130


職業  剣聖


HP12200

MP9800


ユニークスキル


「ソードマスター」


スキル

・鑑定大・聖剣術・聖光気

魔法

・聖魔法・炎魔法・回復魔法





俺は気になったユニークスキルの「ソードマスター」の説明文を見て見る。


ソードマスター


・この世界に存在するあらゆる剣を使いこなすことが出来る。そして、その剣の効果を最大限引き出す事が出来る。唯一の者。

この世界で一人しか存在しない神から与えられた最強のスキル。


いやいやいや...俺が見ちゃったら二人目になっちゃうけど良いのかな....?

最初は劣化版だからいいのか?

わからんな...


(いいんじゃないんですか?

こういうのって神の気まぐれ見たいな所ありますから。)


そう言うもんかね....



「見たか?」


「は、はい...いいのですか?俺に見せても...」


「減るもんじゃないし、良いだろう!それに俺も後継者が出来て嬉しいしな。」


「そうですか...」


「じゃぁ、これを!」


そう言うと師匠は刃の潰れた剣を渡してきた。


「実践方式で行くから。気を抜くなよ!」


「はい!お願いします!」


こうして、師匠と俺達の地獄の修行は始まった。

地獄を味わうのは主に俺だけとはこの時は知る由も無かった。

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