なぜか俺だけモテない異世界転生記。

第52話、怒髪天

「初めまして。そして、さようなら。」

そう言った瞬間、姿が消えた。

気配察知が反応したのは後ろだった。

俺は瞬時に反転して、攻撃を防いだ。

は、速い...

今までのどんな敵より速いぞ...

「おっ！今のを防ぎますか...？いいですね。

少しは楽しめそうです。ｸｸｸｯ。」

余裕だな...この野郎...

そのへらず口を黙らしてやる！

「身体能力向上×５倍（フィジカルバースト）！！」

俺は能力を底上げして、迫った。

「一閃乱舞！！」

世界がスローモーションがかる...

この速度なら奴もついてこれないだろう....

俺はそう思っていた。

しかし、俺の剣撃はことごとく弾きかえされた。

「これはこれは、良いですね。思った以上ですよ。コウ・タカサキ。」

「お前何で俺の名前知っているんだ....」

「あれ？おかしいですね...

貴方の中にいる裏切り者に聞いてませんでした？」

「裏切り者？何の話だ？」

「そうですか...聞いてなかったんですね...

自己紹介遅れました。

私の名前はルシフェル。

偉大なる我が主の眷属の一人でございます。

以後お見知りおきを...」

そう言うとルシフェル貴族の様には軽く一礼をした。

「それで、何でヴォイスが裏切り者なんだ？」

「ヴォイス？今はそんな名前になってるんですね...

汚らわしい...理由はその裏切り者に聞けばいい...

私はコウ・タカサキ。

貴方が我が主の器として相応しく育ってるか見に来たのですよ。」

「こんなに大勢のモンスターを引き連れてか？」

「あぁ...あれは言わば、ボーナス見たいな物ですよ！レベル上がったでしょ？

あんな程度で死ぬようなら我が主の器にも相応しくないですから。貴方は合格です。」

「偉そうに上からモノ言いやがって...」

「それにしてもあの後ろの貧弱な者達は貴方のパーティーですか？」

「だったらなんだ...」

「我が主には必要ないですね。殺しますか...」

「な！？」

そう言うとルシフェルが俺の前から高速でアルト達の方に向かった。

「みんな逃げろ！！！」

俺の大声よりも早くルシフェルはアルトの前にたった。

突然の事で身動きが取れないアルト達...

俺が瞬歩で後を追うが...

それよりも早くルシフェルが動いた。

「それではさようなら。」

ルシフェルの手刀がアルトを襲う。

このままじゃ間に合わない...

アルトが殺られる....

そう思った瞬間。

突然アルトの前に大きな男が割り込んできた。

ブシュッッ！！

血の鮮血が辺りに散っていく...

「ど、どうして？」

「何言ってるだ....先生達を守るのがおらの役目だからな...」

割り込んで入ってきたのはゴングだった。

ゴングのお腹にルシフェルの手刀が貫通している。

「殺す順番が変わってしまいましたね...まぁいいでしょう...」

そう言うとルシフェルはゴングの身体から腕を抜いた。

その場に、ゴングが倒れる。

俺はルシフェルに追いつくとルシフェルは距離を取った。

「あ、兄貴...すまねぇだ...」

「喋るな！ゴング！アルト早くゴングに回復を！！」

アルトはゴングがやられた同様でパニックになっていた。

「アルト！！！！」

俺の怒鳴り声でハッと意識を取り戻したアルトは、急いでゴングの治療にあたった。

「完全回復（フルリカバリー）！！ゴンさん死なないで！！」

傷口の回復が遅い...

アルトの魔法力なら普段ならすぐ回復するのに...

「クックック。無駄ですよ。

私の攻撃は呪いが付与されてますからね。

その男はもって１０分って所でしょう。

すぐに貴方達も殺してあげますから...」

「ふざけんな！！ゴングは死なねえし、他の仲間も殺させねえ！

アルト！死ぬ気で回復しろ、リアもラテもアニーもアルトを手伝ってやれ！」

「「わかった！」」「わかりました！」

俺はルシフェルに視線を戻す。

許さねえ...

俺の仲間によくも...

怒りでどうにかなりそうだった。

（マスター...すいません...）

ヴォイス後でちゃんと話してくれるか？

（はい...包み隠さず全てお話します...）

わかった。

俺はどんな時でもヴォイスを信じてるから安心してくれ...

（マスター...はい！）

あのクソ野郎をぶちのめすのに手伝ってくれるか？

（もちろんです！！）

俺はこれから怒髪天を試す！

俺の自我を壊されないようにコントロールしてくれるか？

（はい。任せてください！）

よし！

行くぞ！！

「怒髪天！！」

身体能力向上×５（フィジカルバースト）した身体に怒髪天で全ての能力を３倍に上げた。

身体がギシギシ軋むが怒りで痛みがない。

これは行ける。

瞬歩でルシフェルに近づく...

ルシフェルに動く気配がない...

「一閃！！」

反応出来ないルシフェルの腕を斬り飛ばした。

「な、なんだその速度は...今までとは比べ物にならない...」

ルシフェルは驚いていた...

俺は次々と斬撃を繰り返し、手、足、首の全てを切り離した。

「クックック。ここまでやるとは、私も本気出さなきゃ行けませんね...」

「全て切り離したのに何故喋れる...？」

「私は元々人間ではないのでね...

核を破壊しない限り消滅はしないんですよ。」

「弱点を言っても良いのか？」

「全然問題ありません。私は負けないので...

そろそろ反撃しますか...

悪黒纏い（ダークマター）。」

そう言うとルシフェルのバラバラにされた部位が完全に元の身体に戻る...

そして、暗黒の闘気を纏いその持つ手には刀が装備されていた。

「これが私の本気です。」

先程までと比べ物にならない位の重圧（プレッシャー）が俺を襲った。

冷や汗が止まらないが、ひよってる場合じゃない...

俺がやるんだ...

ルシフェルとの第二戦が始まった...。