第53話、諦めないで
俺は本気をだしたルシフェルと対峙していた。
「クックック。行きますよ。」
ルシフェルが動き出す。
ゆらっと揺れるように動くとフッと消えた。
俺は視界に頼らずに気配察知でルシフェルを追った。
「ここだ！」
キィィィン！
キィィィン！！
剣と刀の当たるとすさまじい衝撃波と火花が周囲に飛び散る。
もう少しアルト達から距離を取らないと被害が出てしまうかもしれない...
俺は徐々にアルト達から離すべく応戦していた。
「楽しいですね...しかし、あちらが気になっている様子ですか....仕方ないですね。
もう少しあっちの方でしますか...
付いてきてください。
私は本気の貴方と戦ってみたい。」
ルシフェルはそう言うとアルト達から離れて行く。
俺はルシフェルの後を付いていった。
「ここなら思う存分戦えるかな？
コウ・タカサキ。」
「あぁ...覚悟しろよ。
その余裕の面を剥がしてやる。」
「余裕？そう見えますか？
私は本気出してますよ。
しかし、貴方はまだ何かを隠している...
それが見たいから彼等と距離を離したんですよ。」
「お前も
「そうですね。戦いとは素晴らしい！
生きてるって感じがするんですよ！」
ルシフェルは嬉しそうに語る。
「その気持ちは分かるが、
それでも俺は俺の仲間を殺そうとしたお前を許せない。」
「良いですね。
その憎しみを力に変えて私にぶつけてください。」
「ドMのクソ野郎が...後悔しやがれ。」
俺は破邪の双剣からドラゴンの双剣に変えた。
（マスター...まさか...）
あぁ...闇纏いを発動させる...
（
ヴォイス...
出来る出来ないの話じゃないんだ...
やるんだよ。
俺がやらなきゃ、俺とヴォイスだけじゃない。
パーティーの皆殺られてしまう。
力の全てを使わないで後悔はしたくないんだ...
もう２度と後悔はしない。
（わかりました。ワタシも覚悟を決めます。マスター！どこまでも一緒ですからね！）
あぁ！
どこまでも一緒だ！
覚悟を決めた俺たちは発動した。
「闇纏い！！」
怒髪天で全ての能力を３倍しているだけあって、闇の力の量が半端ない...
「素晴らしい！その闇の力！
我が主も喜ばれることでしょう！！
是が非でも貴方を連れて帰りますよ！」
「五月蝿い...」
気を抜くと何かに心を乗っ取られそうだ...
早くルシフェルを始末しないと...
俺は闇を展開する。
その闇がルシフェルをも巻き込みコウとルシフェルは闇の結界の中に引きずり込まれた。
「ここは俺の領域だ。
もう
「それはどうでしょうか？
暗黒闘気とは相性がいいですからね。」
「言ってろ...」
この結界内だと全てが手に取る様にわかる...
ズシャッ！！ズシャッ！！
ズシャッ！！ズシャッ！！
俺は闇と同化しルシフェルを斬り刻んでいく。
「本当に素晴らしいですね...
どこから攻撃されているのか全くわかりません... ですが...ワタシも闇の力は得意なんですよ。」
ルシフェルが意味深な事を言う...
「強がりを言いやがって...」
とその頃治療に当たっているアルト達。
「傷が全然塞がらないよ！」
「なんなのよ！これ！？
こんな呪い見たこともないわ！」
アルトとリアはゴングの傷が塞がらない事に焦っていた。
「ゴング様...神よお願いします。
ゴング様を救いたまえ。」
アニーは必死に祈っていた。
「こんな時にエルフの秘薬があれば...」
ラテも絶望している...
「せ、先生...皆...もういいだよ...兄貴を助けてやってくれ。」
「何言ってるんだ！ゴンさん！！
僕はコウ君に任せられたんだ！
絶対 ゴンさんを助ける！！」
「そうよ！アンタが諦めてどうするのよ！
このバカ！」
「だども、おらはもう限界が...」
「ダメです！！ゴング様！諦めないで下さい！」
「アニーの言う通りよ！諦めちゃダメ！」
「み、みんな...ありがとうだ...」
「とは言うものどうすれば...」
とその時一人の男が近づいてきた。
「ありゃ？強い気配があると思って来てみればどうなってるの？」
大きな大剣を背負っている一人の冒険者が近づいてくる。
「誰？近づかないで！！それ以上近づいたらこの矢で貴方を撃つわよ！！」
ラテは男に威嚇をする。
「その声は、受付嬢のラテちゃん？
あぁ～！やっぱりそうだ！久しぶりだね！」
「あ、貴方は...剣聖デューク様！」
「覚えててくれてた？良かったよ！
忘れられてたらおじさんショックで立ち直れなかったかも....なんてね！
ところでその子ちょっと見せてくれるかな？」
デュークはゴングに近づいて傷口を見る...
「なるほど...これは暗黒の呪いだな...
これならなんとかなりそうだ。」
「本当ですか？お願いします！大事な仲間なんです！」
「了解！君の名前は？」
「アルトです。」
「よし！アルトはこのまま回復魔法をかけ続けてくれ！
そして俺が解呪の魔法を唱えたら一気に魔法力を上げて回復するんだ。いいね？」
「はい。」
「いい返事だ！よし！行くぞ！
光の神よ。この者にかかっている暗黒の呪いを浄化し、光の祝福を与えたまえ！
デュークが魔法を唱えるとゴングの傷口に覆っている黒い物が浄化されていく。
そして、消えた瞬間。
アルトが魔法力を一気に上げて、
「
と、唱えると傷口が塞がった。
「や、やった。よかったぁ。
デューク様、本当にありがとうございます！」
「全然いいよ！よかったね！お仲間が救えてさ！」
みんな、剣聖デュークにお礼を言った。
「ところでなんだけど、何があったか教えてほしい...」
アルト達はここまであった事をデュークに話した。
「なるほどね。
あっちに禍々しい大きな気が二つあるのがそうか...
ちょっと行ってくる。
もうモンスターも粗方片付いているからここで休んでて平気だから君たちのリーダーを連れて帰ってくるよ！」
「お願いします！デューク様！
コウ君を助けて下さい！」
「了解！」
そう言うとデュークは闇の結界の方へ向かって言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます