第51話、バルスって言いたくなるよね?





ゴングに春が来てる事なんて全然知らない俺は、モンスターを鼻唄交じりで討伐していた。


ダンジョンと違い解放感があり、気分がいいな...


(解放感って...

めちゃめちゃモンスターに囲まれてますけど...)


それでも青空の元に居るってだけでいい気持ちになるもんだ!っと...

俺はモンスターを倒しながらヴォイスと話していた。

それにしても、こんなに簡単だと流石に飽きてくるな...


(なら、アルトとリアがやった魔法使ってみればいいんじゃないですか?

何でしたっけ?

アナザーデメッションでしたっけ?)


いやいや、それは某セイントのアニメの敵の技だよ...

エクスプロージョンだろ。

俺がやって大丈夫...?

威力が強すぎて地形変わったりとかしないかな...?


(大丈夫!大丈夫!誰も気にしませんよ!

もし何か言われたらモンスターのせいにしましょ!)


本当かよ...


俺は気配察知を最大に広げて人が居ないことを確認する。

そして、空高くジャンプした。


「おぉ~!景色がいいな!」


(そうですね!いい眺めです。)


俺は風の魔法を応用してホバーリングさせ空中に浮いたままにさせた。

詠唱は出来ないので、ミヨウミマネで魔力を貯めて発動させた。


「エクスプロージョン!」



アルトとリアと同じ様に敵の群れのど真ん中に魔方陣が浮かび上がる。


ちょっと....

規模がでかくないか...?


その瞬間。


アルト達より2回りもでかい光の玉状の物が落ちた.....




......



..........



ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!



放った魔法の威力が高すぎて3万は居たモンスター達はほぼ壊滅状態になっていた。



いやいやいや.....

威力ヤバすぎでしょ...

これは洒落にならないって....


(ハハハハ!マスター見てみて!

モンスターがゴミの様だ!)


それ!某天空の城のヤツだから!!

バルスなんて言わせねーよ!

ヴォイス...

まさかとは思うけど、それが言いたかったが為に俺にこの魔法使わせたんじゃ無いだろうな...


(テヘ!!)


テヘ!じゃねーよ!

街でこんな魔法をもし使ったら一瞬で滅ぶわ!


(失礼な!ワタシもそこはちゃんと考慮してますよ!)


本当かなぁ...

怪しい...


最愛の人女房を疑うなんてヒドイ!」


そう言われると言葉を返せないのが辛い...

ってかヴォイス俺の記憶を勝手に見てるだろ?


(さて?何の事でしょう?)


今さらとぼけてもムダだろ...

おかしいとは思ってたんだよ。


メイドをやってみたり、アニメの台詞を言ってみたり...


(だって、マスターの事、もっと知りたかったんだもん...)


そう言われたら怒れないだろ...

本当に俺の事をよくわかってるな...


(はい!マスターの最愛の人女房ですから!)


だよな...

とりあえず下に降りるか...


俺は地上に降りてその惨状を目の当たりにした。

これはヒドイ...


(マスターがヤったんですけどね...)


確かに口車に乗せられた俺が悪いが...


ちょっと感傷に浸っていると、妙な気配のヤツが近づいてきた。


なんだアイツ...

あの大爆発の中を平然と居たってことだろ...

とりあえず、見てみるか...



鑑定・全!





悪の??の眷属LV???


HP???

MP???


スキル???





えっ?

鑑定できない...

ヴォイスあれはなんだ!?


(ま、まさか...そ、そんなハズわ...)


ヴォイスは動揺で俺の声が聞こえていないようだった...

俺も謎な奴のプレッシャーで冷や汗が止まらない...

そんな中、


「コウ君~!スゴい魔法だったね!」


アルト達が俺に駆け寄ってくる。


「来るな!!アルト!

すぐにパーティー全体に防御力向上プロテクションを掛けろ!!」


「えっ!わ、わかった!プロテクション!」


「ゴング、アルト!みんなを守ってくれ!

そして、隙があったら後退してくれ!

こいつはヤバイ!」


「兄貴が言うほどって...わかっただ!」


ヴォイス大丈夫か...?


(...........。)


応えられないほどのヤツってことなのか...


俺は破邪の双剣を構えて、黒い何かに向かって行った。

瞬歩で近づき、


「一閃!」


ガン!


鈍い音がした。

攻撃を当てた俺の方が痺れている。


「ナンダ。コノコウゲキハ...?

ワレヲナメテイルノカ?」


黒い何かが喋った。


「シャベリニクイナ...

アソコニチョウドイイノガアルナ。」


黒い何かが何かを見付けたらしくこの場を離れる。

そして、たどり着いた先には人間の死体があった。


「リ、リーダーの死体が...」


リーダー?

ってかこの子誰?

いつの間にパーティーに入ってるの?


「アンタうるさいわね!こっちにも色々あったのよ!名前はアニー。あの死体の人と同じパーティーだったヒーラーよ!わかった?」


リアが心を読んでくれて答えてくれた。

俺が前線にいる間に色々あったんだな...

それにしても、可愛い子だ...


「こんな時にくだらない事ばっかり考えてないでよね!

この変態!!」


変態って...

念話嫌い....


俺がリアに変態扱いされてへこんでいると、


「コウ君!アイツみて!」


黒い何かは死体を丸飲みにした。

そして、


バキッ!ゴキッ!ガキッ!と異様な音と共に身体を再構築して人型に変形したのだった。


「これが人間の身体か....素晴らしい!!」


人型になった者は俺の方をみて言った。


「初めまして。そして、さようなら。」

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