第49話、モンスター大行進
俺たちは急いでギルド前に向かった。
ギルドの周りは冒険者で溢れ返っていた。
「それにしてもすごい数の冒険者だな...。
さすが、冒険者の街だ。」
「それは、そうだよ。この街の半分の人が冒険者何だもん。でも、高ランクの冒険者が少ないみたいだけど...」
「高ランク冒険者はもっと稼げる王都や大きい街に行くんだもん。」
それはそうだよな...
もっと高みを目指すなら大きい街に行くよな...
俺たちもそのうちは行きたいが。
大半の冒険者が集まったところで、ギルド長のイカロスが一段高いところから呼び掛けた。
「今、このアバドンに大量のモンスターの大群が進行している。その数少なく見積もっておよそ5万!」
「ご、5万だって!」
周囲の冒険者はザワザワしている。
「静粛に!今この街に滞在しているCランク以下の冒険者は街の守りを固めろ!
指示は受付嬢達がするから従うように!
それ以上のランクの冒険者はギルドの中に来い!
会議をする!以上!解散!」
低ランク冒険者達は受付嬢達の指示の元動き出した。
「えっと、俺たちはCランク...じゃなかった今はBランクになったんだっけ?」
「兄貴...ボケてるだか?」
「いや、ギルドカード更新した時ハブられてると思って上の空だったからさ...アハハ...」
「ほら!アンタたちさっさと行くわよ!」
リアに促されて俺たちはギルドに入った。
辺りを見渡すと約20組の冒険者パーティーが集まっていた。
俺は鑑定で見てみるが、平均レベル60位と思ってるほどレベルもステータスも高くない冒険者が多くて若干の不安を覚える。
「ここの連中で大丈夫か...?」
「しょうがないでしょ...
普通のBランク冒険者はこんなものなのよ...
私たちはあり得ないモンスターと戦ってたからランクはBだけど、実力的にはAランク中位から上位に入る戦闘力はあるわね。
その分、パーティー結成してから日が浅いから連携の部分では圧倒的に他の冒険者パーティーの方が取れてるわよ。」
なるほど...
普通Bランクに上がるまでは順調でも3年はかかると言われているが俺たちは、約1ヶ月でBランクだもんな...
それは連携では負けるか...
(マスターならどんな連携があろうと1人でこの場の冒険者全員を倒せますけどね...)
ヴォイス...流石に過大評価しすぎじゃない....
(いえ、冷静に分析した結果100%です。
5分と掛からずこの場に居る全ての冒険者を制圧出来ます。)
マジか...化け物じゃん...
(それだけ強いモンスターと戦ってきたんですよ。)
そっか...確かに強かったもんな...
「よし、Bランク諸君みんな集まったな...
今この街ではAランク、Sランク冒険者は居ない...
要請は出したが、来るのに時間が掛かるだろう...
そこで、お前達Bランク冒険者が主軸になって戦ってもらう!」
「マジか...」「そんな大量のモンスター相手に自信ないよ..」
とか、周りの冒険者は嘆きを漏らしていた。
「高ランク冒険者が来るまでの時間稼ぎだ。
それ位出来なくてどうする!?
そこで、3つのパーティーを1組にまとめてモンスターと戦ってもらう。
コウ!お前達のパーティーは組まなくていいぞ!実力的にはここらの冒険者の遥か上を行ってるからな!
逆に足手まといになるだろう...」
「あれが噂の英雄パーティーか...」
「装備から違うぜ...」
など、周りは憧れの目線で俺たちを見ていた...
「めちゃめちゃ注目されてないか...?」
「それは、コウ君が一人でSランクモンスターを倒した事は、この街では知らないものは居ないよ。」
「コウ達のパーティーを先頭で暴れてくれ!
他の冒険者は後方から討ち漏らしを確実に仕留めて行ってくれ!
作戦は以上だ!」
以上だ!ってなんだ!
その作戦、異常だよ!
(それだけ期待されてるって事ですよ!
それにメリットもあるじゃないですか!
素材取り放題!レベル上げ放題!
マスターに取って良いこと尽くし!)
俺を戦闘狂見たいに言わないでくれ...
(えっ?違いました?
ワタシはてっきりマスターは
確かに強敵と戦ってるときはアドレナリンが出まくってるけどさ....
(あの姿を見てる者はみんな
戦ってるとき口元にやけてますし...)
マジで...
(マジです...)
気を付けよう...
俺は格好良く戦ってたつもりなんだけどな...
(男子には格好良く見えますけど、女子はドン引きでしょうね...ププッ。)
マジか...
今回は口元を閉めて戦おう...
(いやいや...最前線で戦うから誰もそこまで見てないと思いますけど...まぁいいか...)
「俺たちのパーティーはいつも通り俺が戦闘を突っ切るゴングはアルト達を守りつつ、敵を排除。アルト達は後方から敵を排除してくれ!」
「「了解!!」」
作戦が決まり、俺たちBランク冒険者は街の外に出てモンスターが来るのを待った。
「なんなの?全然来ないじゃないの!?」
「いや...来てるぞ...。気配察知でモンスターが近づいているのを感じる...。」
「なんキロ先なのよ。肉眼じゃ全然....」
リアが文句を言ってると、ドドドドッと地響きがなり始めた。
「あの数は...なんなのよ...」
黒い塊が波のように遠くから押し寄せてきた。
モンスターの大行進だ。
「大丈夫だ!俺たちは強い!数は多いけど大したことはない!アルト、リア詠唱を頼む!
開戦の合図としてど派手な魔法をぶちかましてやれ!!」
「うん!やるよ、リア!」
「わかったわ!アルト様!」
リアとアルトは詠唱を始めた。
俺は破邪の剣を装備してアルト達を待つ。
ドンドンモンスター達も近づいてくる。
その距離1キロ。
「準備完了したよ!」
「5秒後に放ってくれ!」
「わかった!」
5...
「やがて訪れる破滅の終焉...
長き時を迎える...」
4...
「人々は繰り返す...
暴力と愛...」
3...
「神は想う...
こんな世界ならいっそのこと...」
2...
「滅んでしまえばいいと...」
1...
「我は願う。破壊からの再生を!」
0...
「「合体魔法!
アルトとリアが魔法を唱えると、
モンスターの大群のちょうど中間の真上に大きな魔方陣が現れ、光る玉状の物が落ちた。
その瞬間....
ドゴォォォォォォォォォン!!!
と大きな爆発と共に、爆風でこちらまで熱気が伝わった。
「アルト!リア!お前らすごいよ!敵の数も5000から10000は減っているぞ!」
「MPを多く使うから連発はできないけどね...」
「アンタがド派手になんて言うから張り切ったわよ!」
「あぁ!ほんとにすごいぞ!後ろの冒険者達も今ので俄然やる気が出たみたいだ!この戦い行けるぞ!」
後ろの冒険者達も今の魔法を見て士気を上げている。
「私だって負けないわよ!リアには絶対!
アルト君に良いところ見せるんだから!」
動機は不純だが、やる気があるのは良いことだ!
「おらも頑張るだよ!みんなを守るだ!」
純粋なゴングを見習わないと!
「よし、俺が一番目立ってモテモテライフじゃ!」
(オイ!一番動機が不純じゃねーか!!
マジでゴングを見習え!)
「アンタ!くだらない事ばっかり考えてないでさっさと先陣切って行ってこい!」
冗談だよ...冗談...
ヴォイスもリアも冗談が通じないんだから...
「じゃぁ行ってくる!」
「コウ君気を付けてね!」
「おう!」
こうして俺はモンスターの大進行するど真ん中を突き進むのであった。
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