第45話、帰還。そして酒場にて




オーガキングに辛くも勝ち、俺は地面に倒れ天を仰いだ。


「コウ君~!」


皆俺の側に駆け寄ってくれた。


「すごいよ!一人でS級のオーガキングを倒すなんて...まるで英雄だ!すごい!スゴすぎる!」


アルトは興奮が冷めやらぬ感じである。


「あぁ...悪いアルト...ヒール掛けてくれないか...MPがスッカラカンでさ...」


「ごめん...興奮してて気づかなくて...

ヒール!!」


アルトのヒールでだいぶ身体が動くようになってきた。


「コウ君ゴメン!僕もMPが少なくてここまでしか回復してあげられなかった...」


「ありがとう。身体が楽になったよ。」


とはいえ、ちょっとフラフラする...。


「兄貴おらがおぶろうか?」


「いや、それはいい...恥ずかしいからな...

肩を貸してくれ。」


「分かっただ。」


ゴングに肩を借りながら、

オーガキングとジェネラルの死体を回収して、ダンジョン報酬の宝箱も収納で回収した。


おっと...

本格的にヤバイな...

運動能力向上×5フィジカルバーストと「闇纏い」の反動は今までにないくらい身体がだるい...


(マスター...大丈夫ですか?本当に心配です。)


何言ってるんだ...?

ヴォイスが制御してくれてなかったら、今も一歩も動けなかったぞ...

ヴォイス...ありがとう...


(はい...いつでもマスターの為に頑張ります。)


しかし立ってもいられない位フラフラする...


と倒れそうになった所に暖かい温もりを感じた。


ゴングがおんぶをしたのだった。


その広い背中に、前世の記憶がよみがえる...


「父さん...」


俺はそのまま意識を失った...


(!?)


「「!?」」


みんなコウの発した言葉に驚いた。





「ん...。ここは...。」


「おぉ...兄貴気付いただか。ここはノラ猫亭の兄貴の借りてる部屋だ。」


「俺は気を失っていたんだな...。」


「あれだけの激闘だったんだ、いくら兄貴でも疲れるべ。」


「ずっと付き添いしてくれたのか...ありがとう。」


「滅相もねえべ。ちょっと前までみんな居たんだけんど、お腹すいたとか言って下の食堂に行っただ。」


ゴングは起きるまで待っててくれたんだ...

本当に良い奴だな...


「俺たちも下に行ってご飯食べよう!

お腹すいただ。」


「あはは!兄貴。おらの訛り移ってるだよ。」


「あはは!んだな!下にいくべ。」


俺とゴングは部屋を出て食堂に行った。


....。


..........。


なんだこれは?

なんの騒ぎだ...。

食堂は冒険者でごった返していた。


「おぉ~!来た来た!本日の主役が!」


ラテがこっちを向いて言っている。

みんな俺に注目をしていた。


「コウ!こっちおいで!」


俺は言われるがままラテの方に行くと、アルトが真っ赤な顔して寝ていた。

ラテやリアにお酒で潰されたのだろう...。

ナミアムダブツ...。


「この子が単独でSランクのオーガキングを倒した、コウ・タカサキである!」


オォー!英雄だ!

英雄様!万歳!

とか周囲はメチャメチャ盛り上がってる...。


俺の寝てる間に騒ぎになっていた...。


「ゴング...。これはなんだ...?」


「兄貴...すまなんだ。おらには止められなくて...兄貴の所で避難してただよ...。」


お前....さっきずっと寄り添ってた見たいな事言ってなかったか?

このヤロウ...感動を返せ!


(プププッ!さすがマスターですね!

人望が無さすぎ!

あはははは!笑いすぎてお腹痛い!ははは!)


うるせー....泣くぞ...マジで...

ってヴォイスはお腹無いだろ...


悲しい気持ちになっていると、酔っぱらってるラテとリアが隣に座って来た。


「ほら!英雄様!ジャンジャン飲みなよ!」


「そうよ!ワタシが注いであげるんだから感謝しなさいよね!」


「えぇ...」


気乗りしなかったが、俺は言われるがまま飲んた。


ゴクッ!ゴクッ!ゴクッ!


「プハーッ!!旨い!!ダンジョン終わりはやっぱこれだよな!!」


キンキンに冷えたエールが五臓六腑に染み渡る。


「オカミさん!ジャンジャン持ってきて!みんな飲むぞ!今日は俺の奢りだ!!」


「さすが!英雄様!」

「英雄様は器がでかいね!」


周りの冒険者達は俺を誉めてくれた!

メチャメチャ気分が良い...

異世界最高!!


(始まったか...すぐに調子に乗るんだから...バカ!)


お酒が入った俺にはヴォイス声が届かなかった...


「みんなお酒は届いたか?行くぞ!!乾杯!!」


「「乾杯!!」」


宴は盛り上がった!

とにかく、盛り上がった!





次第に記憶が無くなり....。






そして....





夜が明けた...。

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