第46話、俺ハブられたの?
頭が痛い....
ガンガンする...
(そりゃあれだけ飲めばそうなるでしょうね...フン!)
ヴォイスの機嫌がすこぶる悪い...
俺は
楽になった...
毎度毎度この苦痛を味わうのは本当に嫌だな...
(なら、禁酒すればいいじゃないですか...
無理だと思いますけど!)
ヴォイス、ゴメンて...
(毎回毎回何度謝れば気が済むんですか?
それよりももう昼過ぎてますよ。
オカミさんに支払い行かないとですよ。)
えっ?
支払い?
(あんだけの人数に奢って高い酒をジャンジャン頼んで会計はいくらなんでしょうね?)
マジで...
(マジです...。調子に乗りすぎ!)
すいません!!
(ワタシに謝るんじゃなくてパーティーに謝ったらどうですか?)
あぁ...
俺はとりあえず会計を済ましに部屋を出てオカミさんの居る食堂に行った。
「あら、今起きたの?昨日はいっぱい飲んだもんね!」
「あの...会計をしたいんですけど...」
「とりあえずご飯食べて!その後に請求書持ってくるから!」
請求書...
なんだか異世界で聞きなれない言葉でドキドキする。
オカミさんがご飯を持ってきてくれたが全然進まない....
早く清算してスッキリしたい...
「全然食が進んでないわね...これ請求書ね。」
オカミさんから請求書を受けとると白金貨5枚ってなってた。
....マジで!?
現世だと500万円!
おいおいおい...
本当に何やってるんだよ、俺は...
「昨日飲みに来てた冒険者の方々の全ての会計を俺が持つって言って、高いお酒を結構頼まれてたのでこの値段になりました。」
俺は収納から白金貨を5枚オカミさんに渡した。
「まいどおあり!さすが英雄様だね!」
「ははは....」
愛想笑いしか出てこない...
「他のパーティーメンバーはどこ行ったか分かります?」
「みんな朝早く出ていったんで分かんないですね...」
えっ?
まさか逃げられた?
(そこまで人望が無いんですね。本当に可哀想に...ププ!)
笑い事じゃないよ...
あいつらどこに行ったんだろ...
俺はノラ猫亭を後にしてギルドに向かった。
その道中に、
「おっ!英雄様!昨日はご馳走さま!また飲もうぜ!」
「英雄様!今度は俺らに奢らせてくれよ!」
など、すれ違う冒険者達が次々と声を掛けてくれた。
俺は「また飲みましょう!」なんて他人行儀をかましながら、足早にギルドに向かう。
どれだけの冒険者に奢ったんだか...
あんまり目立ちたくないのだが...
(もう遅いと思いますけど...)
ギルドに着いて受付嬢に他のメンバーが来てないか訊ねた。
「あぁ~。ラテさん達はお仲間さんのランクを上げてダンジョンに潜って行きましたよ。
なんだか強くなるって意気込んで居ましたね。
後、ゴングさんは大工の手伝いをするなんて言ってましたよ。」
「そうですか...」
完全にハブられてるな...俺...
ソーマの所にでも行くか...
「あ、あの...ランクアップの申請しても宜しいですか...?」
「あ...あぁ...」
俺はハブられたショックで気が抜けてた...
ギルドカードを受け取りトボトボとソーマのお店に向かった。
「やぁ!どうしたの?そんな暗い顔して。」
「いや、なに...パーティーメンバーにハブられてちょっと落ち込んでたんだ...」
「あはは!そんな事気にしてたんだ。気にしなくて大丈夫だよ!」
「気にするなって言われても...」
「コウが単独でSランクのモンスターを倒しただろう?それで、みんなコウのパーティーとして恥ずかしくないように強くなりに行ってるだけだよ!」
「俺はそんな事を気にしてないのに...」
「少しは彼らの事を気にしてあげなよ。
お荷物って思われたくないんだよ!」
「そうだったんだ。なんでソーマはそんな事を知ってるんだ?」
「朝早くここに来て防具の新調していったからさ。ゴングは僕の手伝いで裏庭で作業中だけどね。」
「なんの作業してるんだ?」
「作業部屋を作ってもらってるんだ。本当は自分で作ろうと思ってたけどコウ達の武器を作ってて暇がなくてね...」
「ゴングに大工なんて出来るのか?」
「えっ?コウは知らないの?ゴングはドワーフの末裔だから物作りはめちゃめちゃ得意なんだよ!」
「全然知らなかった...俺はみんなの事全然知らなかったんだな...」
「ちなみに、僕もドワーフの末裔だよ!エルフとのハーフだけど!」
「そうなんだ。ってかソーマに聞きたかったんだけど、ソーマって転生者なのか?」
「なんでそう思うの?」
「いや、店の名前がノースフォックスだから。俺の住んでた所だとキタキツネって動物の意味なんだ。」
「キタキツネ...そうなんだ...実はね。
僕の両親が転生者だよ。
普通はドワーフとエルフが結婚するなんてあり得ないからね。
それで人里に降りてきて暮らしてたんだけど流行り病でこの店だけ残して亡くなったんだ。」
「そうだったんだ...なんかごめんな...」
「気にしなくていいよ。もうだいぶ昔の事だからさ!」
それからソーマと他愛もない会話をした。
「おっ!兄貴来てたんだか!?おらは一区切り付いたから休憩しにきたでよ!」
「ゴングはスゴいな!手に職持ってて!」
「いやぁ、村に居たときに覚えたんだ。」
「俺ももし家建てるってなったらゴングにお願いしようかな?」
「任せるだ!兄貴の家なら気合い入るだ!」
「おいおい!僕んとこも気合い入れて作ってくれよ~!」
「ソーマさん!それは任してけろ!兄貴アレ見せたんですか?」
「アレ?」
「やっぱり覚えてないだか...アレだけ飲めば仕方ないな。ダンジョンから回収したオーガキングの武器だべ!メチャメチャ固いからとんでもないお宝だ!なんて言ってただよ!」
全然記憶が無い...
(でしょうね!確かに言ってましたよ!ソーマ驚くだろうな~!とか、上機嫌で...私はまだ不機嫌ですけど....)
ヴォイス...本当にごめんな...
俺は収納から3メートルはあるオーガキングの鉄のこん棒を出して床に置いた。
「これがオーガキングの....フムフム...」
ソーマがルーペの様なもの出して調べ始めた。
「こ、これは!!!」
ソーマが驚きの顔を浮かべたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます