第38話、救出



俺達は気配察知でラテを捜索しながらダンジョンを進んでいた。


今は8階層。

この階層も居なさそうだな...


アルトはモンスターと遭遇する度に、新しい魔法を試してるようだった。

リアはそれをサポートしている。

ゴングは毒にかかったりしながらモンスターを倒している。

もちろん、俺が解毒キュアをしたり、回復ヒールをしていた。

俺はと言うと、気配察知とサポートばっかりですこし退屈していた。


(マスター。もう少し緊張感持ちません?)


だって、モンスターが俺の所来る前にみんなが倒しちゃうんだもん...

暇になっちゃうよ...


(それだけ皆が強くなったと思えばいいじゃないですか?)


そうなんだけどさ...


(マスターは駄々っ子ですね。中身オッサンの癖に...)


オッサン言うな!


(怒ったマスターも可愛いですね!)


ヴォイス...

それは皮肉にしか聞こえないよ...


(オッサン..... ププッ!)



俺はヴォイスとの会話を楽しみ?ながら、進んだ。

「次は9階層だな。

ボス前だから今までの階層よりモンスターの数が多いと思う。気を引き締めて行こう!」


「うん!」「んだ!」「えぇ!」


(さっきまで一番ゆるゆるの人が何言ってるんだか...)


ヴォイスさん...

聞こえてますよ....


9階層に入ると気配察知が反応した。


「この先に、人の反応とそれを囲む多くのモンスターの反応があった!」


「それじゃ...」


「あぁ...そこにラテがいる!かなりの数に囲まれている!急ぐぞ!!」


俺達は反応のあるところに急いで向かった。


そこに辿り着くと、傷ついたラテが一人で懸命に戦ってた。


俺が先陣を切って行こうとしたら、アルトが俺の前に立った。


アルトの背中からは僕に任せろって言うメッセージが伝わった。


俺はアルトが男になるところを見届けることにした。


まるで親心おやごころだな....


(何が親心ですか!いいんですか?)


いいじゃないか...

惚れた女を自分の手で守りたいって思うだろ...


(そう言うもんなんですね。

ワタシもマスターに守ってもらいたいです....)


最後の方聞こえなかったけど...



ゴングも行こうとしたが俺が手で止めた。

何で?って顔したが、

俺が首を振ると何となく分かったみたいで俺の隣にきた。


アルトも準備できたみたいだ。

行ってこい!と言わんばかりに背中を押した。





暴風の結界ストームバリア




アルトが放った魔法がラテの周りを囲む。



「一体何が...」


ラテは何が起きたか分かってなかった。


モンスターがラテに攻撃をしようとしても風の結界で弾かれている。





氷刃の雨矢アイスティングレイン!!」





辺り一帯に氷の矢が降り注ぐ。

モンスターは何もできずに次々と倒れていった。




「アルトの奴いつの間にこんな魔法を...」


「兄貴は気絶してたから分かんねかもだけど、山さ降りるときにロックローチゴキブリを殲滅させた魔法ですだ。」


「そうなんだ。それにしても威力がすごいな...」


「あん時よりも段違いで威力が上がってるだ。やっぱ惚れたおなごを助けるって想いが力になってるんだべ。」


「想いの力か...」


「キィーー!!悔しい!なんであんな女の為にアルト様が!」


「リア、手伝わなかったのか?」


「一緒に行こうとしたわよ!

そしたらここで待ってろだって。

僕が一人で行くって聞かないんだもん!

もうバカ!」


... おい、そう言いながら俺を殴るのやめてくれ



そんなこと言ってる間に戦闘は終わった。



俺達はラテの側に駆け寄った。


「ラテさん大丈夫ですか?」


「アルト君!それと皆さんどうしたんですか?」


「いやなに、アルトがラテさんが心配だ!何て言って、いてもたっても居られなくなりきた感じですかね。」


「そうだったんだ。心配かけてごめんね。

そして助けてくれてありがとう...」


「全然!ラテさんが無事で良かったです!

あっ!怪我してますね!今治します!ヒール!」


アルトがラテの傷を治してる間、俺はずっとリアに殴られてた...

だから、俺に八つ当たりするなって...


「アルト君あんまり近づかないで...昨日からダンジョンに潜りっぱなしだから、お風呂入ってなくて...」


「僕は全然大丈夫ですよ。」


「アルト、そういう事いうなって...

恋する女の子はデリケートなんだぞ!」


ラテは顔を真っ赤にしている。


「アルト、いい魔法教えてあげるよ。

ちょっとこっちに来てみ。」


「うん。」


アルトに温水洗濯クリーン温風ドライヤーの魔法を教えた。


原理はこうだ。

まず、水魔法と炎魔法で温水を作ります。

その温水に解毒キュアの魔法をかけて、風魔法でその温水の塊を回すと...


なんということでしょう...

全身洗濯が出来るじゃありませんか!


続きまして、

濡れた服や身体を乾かす魔法ですが、

これは簡単ですね。

そう炎魔法と風魔法の複合魔法で出来ちゃいます。

ただし、炎の加減を間違えると大惨事に!

使う際は魔法の容量を守って使いましょう。

今日の授業はここまで!また来週!






(マスター!帰ってこい!!)


すいません...




アルトは俺に教わった温水洗濯クリーン温風ドライヤーを使った。


「アルト君ありがとう。すごいさっぱりしたよ!」

「てへへ...」



教えたのは俺だけどな...

二人がいい感じで何よりだよ。


「あのさ...助けてもらった上にこんなこと言うのも厚かましいんだけど、ワタシをパーティーに入れてくれないかな..?」


「あぁ、元よりそのつもりで急いできたのもあるし...な?アルト!」


「そ、そこで僕に振らないでよ!」


「私は認めてないわよ!」


「あのな...」


「ごめんね。リアちゃん。どうしてもラテさんをパーティーに居れたいんだ。ダメかな...?」


「グヌヌ...アルト様が言うならしょうがないわ!」


そう言いながら俺を殴るなって...


「リアちゃん、ありがとう。」


「ちゃんなんて付けないでいいわよ!

私もラテって呼ぶから!」


「ありがと、リア!」


「雨降って地固まるって奴だべな。」


「上手い。ゴングに座布団一枚!」






「ねえ、座布団て何?」



えっ!?


異世界でカルチャーショックを受けた....

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