第37話、中級ダンジョン
俺達は中級ダンジョンに来ている。
中級ダンジョンのモンスターは、
5階層までは
最近、ダンジョンのモンスターが変化しているらしいから正確ではないとギルドで言われた。
確かに今まで俺が聞いてたモンスターとは違うイレギュラーなモンスターが出ている。
今回は気を引き締めて行こう...
(そうですね...また強敵が出るかもしれないので気を引き締めましょうね。)
あぁ...
ラテは居ると思うか?
(帰って無いところを見るとまだここに潜っているでしょうね...)
だよな...
無事だといいけど...
(それは大丈夫だと思いますよ...
元とは言え、Aランク冒険者ですからね。)
アルトの為にも無事を祈りながら、
俺達はダンジョンを進んでいった。
俺とゴングが前衛でアルトとリアは後衛だ。
次々と襲ってくる
アルトとリアは
さすがに相当レベルが上がってるのでここら辺のモンスターでは話にならない。
アルトに関しては余程ラテが心配なのか、
行き急いでいる様な気もする...
「アルト、MPは大丈夫か?あんまり無理はするなよ。」
「大丈夫だよ...早く行こう。」
アルトは俺の前を歩いてドンドンと進んでいく。
「おい!落ち着けって!」
「落ち着いてられないよ!!ラテさんが心配で心配で仕方ないんだ!」
「だからってアルトは後衛なんだから俺たちより前に言ったら陣形が崩れるだろ!」
「僕ならもう大丈夫だ!この程度のモンスターなら僕一人でも倒せるよ!先に行かせてくれ!」
「先生...」
パンッ!
ゴングがアルトの頬を叩いた。
えっ!
俺も驚いた!
「いい加減にするだ!
心配なのはおら達も一緒だ!
だども、何が起こるかわからないダンジョンで勝手な事をして取り返しが付かないことになったらどうするんだべ!
おら達はパーティーだべ!
もっと信用してくんろ!」
「ゴンさん...」
「分かったら行くべ!」
「コウ君、ゴンさん!ごめんなさい!
僕...僕...ラテさんが心配で回りが見えなくなってた。」
「分かってくれたらいいだよ...先生殴ってすまなんだ...」
「ううん。止めてくれてありがとう。
ゴンさんのお陰で冷静になれた。もう大丈夫!」
「ラテの元まで最速で行くぞ!気配察知でちゃんと探しているから安心してくれ!」
「うん!」
それから俺達はダンジョンを進み始めた。
いやぁ...
暴走気味のアルトを制止させたゴング、格好良かったな...
(マスターには無いですもんね。そういう男気見たいな所。ププッ!)
いやいや...
俺だって男気位出せるよ!
(本当に?)
出せる...よ..
(本当は?)
出せません!すいませんでした!
(あはは!マスターは最高ですね!ワタシはそういう素直な所も好きですよ。)
ヴォイスさん馬鹿にしすぎでは...?
(してないですよ。マスターとの会話を楽しんでます!)
ヴォイスが楽しいならいいけどさ...
あっという間に5階層までクリアして、6階層に来た。
中級ダンジョン6~9階層は熱帯森林ダンジョンで、
ここからは毒のあるモンスターが増えてくる。
毒にかかっても俺とアルトは
「この階層は、暑いなぁ...」
「本当に暑いね...僕は暑いの苦手だから厳しいよ...」
「おらは全然だべ!丁度いい感じだべ!」
「ゴンはいいわね...私もアルト様と一緒で苦手だわ...この暑さ...
ちょっとアンタ!何とかしなさいよ!」
「リアは図々しい奴だな...しかし、ほんとにこの暑さはきついな...」
ヴォイス...
クーラー見たいな魔法ないかな?
(マスターなら出来るんじゃないんですか?)
えっ?
(マスターは風魔法も、氷魔法も使えますよね?その二つの魔法の出力を調節すれば涼しい風くらい起こせると思いますよ。)
さすがヴォイス先生!
ちょっと、やってみるか!
(マスター!本当に気を付けてやってくださいね!マスターの力はマスターが思ってるより強力になってますから...)
大丈夫!大丈夫!
(そう言うときちょっと危険なんだよな...)
なんか言った?
(言ってないですよ...)
俺は右手に氷の魔法を、左手に風の魔法を発動させて
涼しい風の膜に優しく俺たちを包むような
夏に家でクーラーを使って快適に過ごすイメージ。
「出来た!」
「えっ?コウ君どうしたの?」
「フフン。アルト、リア喜べ快適に過ごせるぞ!」
「何よそれ!勿体ぶらないで早くやりなさいよ!」
暑くてイライラしてるからって俺に当たらないで欲しいもんだ...
まぁ、この魔法で俺に感謝するがいい...
「行くぞ!
俺の放った魔法が俺とアルトとリアを包んでいく。
ゴングはこの環境の方がいいって言ってたから今回は無しで。
「コウ君すごいよ!全然暑くない!」
だろう...もっと誉めても良いんだぜ...
「やるわね...少しは認めてやってもいいわ!」
それで誉めたつもりか!このツンデレめ!
(いいじゃないですか。みんなこれで冒険しやすくなったんですから。)
そうだけどさ...せっかく頑張って作ったのに...
(ハイハイ。マスターはスゴイでちゅね~♪)
俺は赤ちゃんか!
そういうの嫌いじゃないけど...
(冗談はさておいて....)
冗談かよ!?
(マスターはスゴイですね。英知の書の理解が完璧に出来てると思います。)
ん?どういう事だ?
(この世界の住人が英知の書を持っても理解ができず、
その能力の3分の1も使えなかったと思います。
マスターは異世界人ですからこっちではない文化や知識が豊富なので、
さっきみたいな魔法が使えたんだと思います。)
様は、こっちの世界では想像力が乏しいと...
なるほどな...
これをアルトに伝えていいかな?
(良いと思いますよ。アルトの戦力の倍増に確実になります。そしてマスターの力に確実になります。)
だな...
俺はアルトに「英知の書」の使い方を、教えた。
と言っても
「なるほど...
なんか分かった気がする。
コウ君ありがとう!君は本当にスゴイね!!」
さすが賢者だな。
理解が早い...
(マスターも大概ですけどね。
英知の書は魔法だけじゃなく、技やスキルまで
なるほど...
ならアルトに逢わなかったら、今までのオリジナルの技の数々は出来なかった訳か...
(そういう事になりますね。)
「アルト!
出逢ってくれてありがとうな。」
?
アルトは訳分からない顔をしている。
急に言われたらそうだろうな...
「アンタ、なんなの!?
急にキモいのよ!!とっとと行くわよ!」
リアにキモいって言われた...
(えぇ...今のはキモいですね...)
ヴォイスまで...
「兄貴!何してるだ。行くだよ。」
俺はトボトボとゴングの後を着いていくのだった。
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