第36話、報告
俺達はギルドについた。
やはりラテの姿はない。
仕方なく他の受付嬢に声を掛けた。
「あの、すいません。実は...」
事情を話すとギルドマスターのイカロスの元に案内された。
「コウか...どうした?お前が来るってことは、
また何かあったんだろうが...」
「えぇ...実は...」
俺は事情を話すとイカロスは難しい顔をしている。
「そうか。これはもう決定的だな...」
「と、言いますと。」
「近いうちにモンスターの大群がこのアバドンに近づいて来るかもしれない...。」
「えっ!?」
「ギルドの冒険者達にも依頼して森や草原の同行を観察してもらっているが、
どうやらモンスターが妙な動きをしているらしい...」
「そうなんですか...」
「近い内にギルドから緊急クエストが出るものだと思って準備しておいてくれ。
と言っても、今日明日って話じゃ無いから今日はゆっくりと休むといい。」
「はい。」
アルトが口を開いた。
「すいません。ギルドマスター。
ラテさん休んでますよね?何かあったんですか?」
「君は...アルトだったか。
ラテならここを辞めて冒険者に戻ると言い出してな...」
「えっ!?な、なんで?」
「いや、これは言っていいものか分からないんだが...」
「ぜひ、教えてください!!お願いします!!」
「わかった。
なんかな好きな人の隣に居たいから、
ギルドをやめさせてくれと言われてな...」
「そ、そんな...」
アルトは大きく肩を落とす。
「おい!アルト!その好きな人ってお前の事だろうよ!」
「えっ!?ぼ、僕?」
「気付いてなかったのかよ!!」
無自覚もここまで行くと恐ろしいわ…
ってか何でおれが恋のキューピットをしなくちゃならないんだ...
(まぁまぁ、マスターは優しいですから。)
「それでラテさんはどこに行ったのですか?」
「勘を取り戻すって言って中級ダンジョンに向かうって言ってた様な...」
「コウ君行こう中級ダンジョンに!」
「アルト!ちょっと落ち着け!俺達は今日初心者ダンジョンをクリアしてギルドカードの更新もしなきゃならないし、今日はやることがあるんだ。行くなら明日だ!」
「そ、そんな」
「イカロスさん、ラテはギルドのランクはどれぐらいだったんですか?」
「ラテは元Aランクだ。今は実践から離れているがBランク以上の戦闘力はあるだろうな。」
「ほら、アルト。ラテなら大丈夫だよ!」
「う、うん。」
アルトは納得していないが、何とか落ち着いてもらって中級ダンジョンは明日入ることになった。
ギルドマスターと話が終わり、ギルドカードの更新をしてもらって、俺達はソーマのお店に着いた。
「お帰り~!」
「ただいま。この大剣なんだけど、何かに使えないかな?」
俺は、デュラハンが使ってた大剣を収納から出してソーマに渡した。
「こ、これは、デュラハンの大剣じゃないか!ど、どうしたの?」
「初心者ダンジョンに出てきて倒したときに手に入れたんだ。」
「えっ?倒したの?」
ソーマの顔が驚きで口が開きっぱなしになってる。
「本当にギリギリだったけど、ソーマの剣のお陰で倒せたよ。本当に助かった。ありがとう。」
「いやいやいや...
デュラハンはAランクの上位のモンスターだよ。普通、Aランク冒険者のパーティーでも苦労するのに...」
「コウ君はデュラハンを単独で倒したんだよ!」
「...はっ?」
空気が止まった。
アルトよ...
余計な事を言わないでくれ...
ソーマが固まってしまったじゃないか...
ソーマ
「あっ!驚きすぎて固まったよ...
それにコウはいつの間にか隠蔽の指輪してるから鑑定しても見えないし...」
「ごめんごめん。
俺のスキルを見られると色々危ないって言われてさ。」
「そうだね。手に入ったならよかったよ。」
「そうだな。それでなんだけどその大剣何かに使えないか?」
「使えるも何も、これがあればコウの剣は劇的に強くなるよ!Sランク冒険者も欲しがると思うよ!!」
「マジで!?ソーマお願いしていいか?」
「もちろん!こちらからお願いしたいよ!
中々こんな素材に出会えないからね!」
ソーマはテンションが上がっている。
「じゃぁ、頼むな!」
「うん!また珍しい素材があったら持ってきてよ!」
「あぁ、わかった!」
これで武器は安心だな。
俺達はソーマの店を出てノラ猫亭に向かった。
「あら、お帰りなさい。ご飯すぐ用意できますよ!」
オカミさんは笑顔で迎えてくれた。
「ただいま!はい、荷物置いたら頂きます。」
俺は部屋に行き、荷物を置いて食堂に向かった。
食堂に着くと豪華な料理がテーブルに並んでた。
「今日も美味しそうですね!」
「ウフフ!ありがとう!いっぱい食べてね!」
「はい!頂きます!」
俺達は豪華な料理に舌鼓をした。
食事も終わり明日からの中級ダンジョンに行く算段を話合いが始まった。
「明日から中級ダンジョンに行くけど、フォーメンションは今まで通りでいいな。」
「うん!」
「んだ!」
「それでだ...問題はラテが居たらどうするかってことだ。」
「何であんな女の事を議題にするのよ!!」
リアはギャーギャー騒いでいる。
「僕は、きちんと話をして、パーティーに入ってほしいと思っている。」
「ゴングはどう思う?」
「おらは、兄貴と先生に任せるだよ!元だけども、Aランクなら戦力的にもおらより強いし安心だべ!」
「何よ!
「リアちゃん!ちょっと黙って!」
「んぐう...」
リアはアルトに言われて黙った。
ちょっと可哀想な気もするけど、アルトはラテの事好きだもんな...
「わかった。明日はとりあえずギルドに寄って中級ダンジョンの場所とモンスターを聞いて行こう。ダンジョンを制覇するつもりで行く!
その間に、ラテが居たら話をして仲間になるって言ったらパーティー迎えよう。」
「わかったよ!」
「わかっただ!」
リアだけ納得しないまま話合いが終わり、
俺達はそれぞれ部屋に入って休んだ。
明日中に中級ダンジョン終わらせてランクあげるぞ!
決意を胸に眠るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます