第35話、激戦2




俺とデュラハンは同時に動き出した。






ガキィィン!





辺りに衝撃波が起こる。




鍔迫り合いで何とか互角にもたらせてるのは、身体能力向上のお陰か...



「ほう、お主なかなか強いではないか。

ますます気に入ったぞ。」


「そりゃどうも。」


鍔迫り合いの中、デュラハンは俺に蹴りを出してきた。

俺は蹴りをバックステップで避けると、



「トリプルスピアー!!」



炎、水、風の螺旋を描いた複合魔法がデュラハンに襲いかかるが、




「闇纏い。」



コウの魔法はデュラハンが包んでる闇に飲まれて行った。


しかし、俺はその瞬間を逃さなかった。




「一閃乱舞!」




高速のステップと剣技がデュラハンを襲う。




シュッ!!ガキン!


シュッ!!ガキン!


シュッ!!ガキン!




デュラハンの纏ってた闇が斬れていき、

鎧を少しづつだが壊していった。

さすが神秘の水に浸かってただけはある。

この2本の剣は聖属性と言うことを確信した。

闇纏い時は、この剣は有効だった。



「小賢しい...」



デュラハンは闇纏やみまといの出力を上げていく。



「次は我の番だな。」



そう言った瞬間、


デュラハンが俺に向かって動き出した。



キィン!キィン!





二人の剣撃がぶつかり合い、


激しい火花を散らした。


デュラハンの激しい猛攻に俺は徐々に押されていく。


所々、防ぎ切れない!

斬撃がかすって徐々にダメージを追っていった。



やばいな...

こいつ強いぞ...


(マスター!

マスターの「ミヨウミマネ」で、闇纏い使う事を推奨します。)


この剣と相性悪いけど大丈夫か...?


(このままだとジリ貧で、

いずれ力尽きてしまいますよ。

ならチャレンジするしかないじゃないですか!)


だよな...

やってみるか!




「瞬歩。」



俺はデュラハンから距離を取り、




「闇……纏い!」


デュラハンのスキルをミヨウミマネした。



俺の身体は闇に包まれていく。

心まで黒くなっていくのが分かる。

これは危険なんじゃ...




「お、お主...それは我のスキルでは...」


デュラハンは驚いてる。




剣を持つ両手が焼けるように熱い...




この痛みと飲み込まれそうになる心にあんまり時間は掛けられない...




俺は全身に闇纏いの出力を最大まで上げていく。



「ま、待て!」



そうは言われても待てない...

足にグッと力を込めて踏み出した。




「一閃乱舞!!」




...一瞬だった。






静けさの後、




遅れて...




デュラハンの両腕両足身体の全てが、

バラバラになっていく。


「いったい何が起きて...」


デュラハンは訳の判らないまま絶命していったのだった。




闇纏いを解いた俺の身体は限界ギリギリだった。

剣を握ってた手のひらは焼けただれ、

最大出力まで上げたのでマインドダウン寸前だった。


何とか勝てたな....


(マスターお疲れさまでした。

本当に今回はギリギリでしたね。)


あぁ...

最強の道はまだまだ遠いな...

それに、このスキルは危険すぎる...



(そうですね。

コントロール出来る様にならないといつかは身を滅ぼしかねませんね。)



あぁ…


だよな...

使い所に気を付けるよ...




終わったのを確認してアルト達が近づいてきた。


「コウ君!大丈夫?」


「大丈夫じゃ無いだろう...どう見ても...」


「だね……

今回復させるね!ヒール!」



アルトに回復魔法をかけてもらうと、

みるみるうちに回復した。



「アルトありがとう。助かった。」



「本当に兄貴すごいだ。あんなに強いのモンスターだったのに倒してしまうとは...」


「今回はギリッギリだったけどな。

もっと強くならないと。」


「アンタこれ以上強くなってどうするつもりよ!?人間やめるの?」



「リア。それは、ひどい言い草だな。

俺は世界最強の人間になりたいだけだよ。

アルトも世界最強目指してるんだぜ。」



「アルト様はいいの!!」


「なんじゃそりゃ?」


リアの発言でその場は笑いで包まれた。



俺達は初心者ダンジョンをクリアしたが、

これはもう初心者ダンジョンのレベルを完全に越えていた。


いったい何が起きてるのかわからないがギルドに報告しなければ行けない。


俺はミノタウロスの死骸とデュラハンの大剣、魔石を収納した。


そして、初心者ダンジョンのクリア報酬の宝箱を開けた。

そこには黒い剣が入っていた。


鑑定すると初心者の剣だった。

このダンジョンをクリアしたものは大抵、

初心者の剣をドロップするらしい。

あんなに苦労したのだからもう少しいい宝箱でもいい気がするのだが...


(マスターは本当に金か女にしか、興味がないんですね。)



そんな事はないと思うんだけど...



剣を収納して、ポータルで地上に出てギルドに報告のために向かった。



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