第31話、オーダーメイド
アルトの契約の儀が無事に!?終わり、
アバドンに帰還することになった。
「ママ!元気でね!たまに帰ってくるから!」
「わかったわ!リア元気でね!
アルト様、コウ様、ゴング様もお元気で!」
「あぁ!」
俺達は森を抜けて、停めておいた馬車に乗り込んだ。
「リアちゃん、これから僕たちが拠点としている
「わぁーい!
私、森から出たことないから楽しみ!」
リアはアルトの肩にちょこんと座ってる。
「なぁ、アルト。
街に精霊なんて連れて歩いて大丈夫なのか?」
「ん?どういう事?」
「盗賊や貴族とかに目を付けられて奪われたりとかさぁ~?危なくないか?」
すると、リアが口を開いた。
「あんた何も知らないのね。
私達精霊は、
基本的に私が意識しない限り物理的には触れられないの!
だから盗賊であろうが、
貴族であろうが捕まんないわ!フン!」
コイツ...。糞生意気だ...。
上手くやっていけるだろうか....?
「リアちゃん!
そんな口の聞き方は良くないよ。
コウ君はリアちゃんの事を心配して言ってくれてるんだから!」
「ごめんなさい。アルト様。」
「僕じゃなくて、コウ君に謝るんだ!」
「くっ..........ごめんなさい。」
リアはすげえ不服そうだ....。
「よく謝れたね。リアちゃん、いい子だね!」
アルトはリアの頭を撫でてる。
撫でられてるリアはとても嬉しそうだ...。
なんだこれ...。
俺はこの先これをずっと見なきゃ行けないのかと思うと気持ちが萎えてきた。
ゴングは馬車を操縦してるからしゃべれないし、憂鬱だ。
そんな憂鬱な時間を過ごしながら、俺達はアバドンに着いた。
馬車を戻して、
その間、リアにアルトが町の説明してた。
俺もこっちに来て日が浅いので説明を聞いてると、街の色々が分かって面白かった。
説明を聞いてるとあっという間にソーマの店についた。
「お帰り~!神秘の泉の水は手に入った?」
「あぁ!ちゃんと手に入ったぞ!」
ソーマに魔法の瓶を渡した。
「こ、これは水の精霊に代々伝わる魔法の瓶じゃ...。」
「そうよ!
「その声はリア!!」
「久しぶりね!ソーマ兄ちゃん!」
「どうしてここに...。
そうか精霊の儀をしたんだね。
ウンウン、よかったね~。
アルトなら大丈夫だね!
魔法の親和性も高いし。いい人だし。」
...魔法の親和性?
(魔法の親和性とは2人の相性の事ですよ!
アルトは賢者ですから、
精霊使いの次に精霊と親和性が高いので、
魔法の威力が上がるみたいです。)
...親和性が低いとどうなるんだ?
(精霊は徐々に弱り死んでいくと共に、
宿主も魔法が使えなくなったりとデメリットしかないですね。)
そうなんだ....。
一応聞くけど、俺はどうなんだ?
(マスターは一応、無職になってますから親和性0です。)
やっぱりか....。
職業に付かないとそういうデメリットがある事位ちゃんとわかってたさ。
ソーマとリアが一通り話し終えたところで、ソーマが、
「コウ達の武器のオーダーメイドについてなんだけど、どういうのが良い~?
何でもリクエストに応えるよ~!」
どういうのかぁ...?
俺はやっぱりあれだな!
双剣だな!格好いいもん!
単独でモンスターをバッサバッサ斬っていくのって!
「俺の武器は双剣で、防具は回避しやすいように重量が軽めのヤツで!」
「コウのリクエストは分かった。
アルトは?」
「僕は魔法職なので、杖と動きやすいローブが良いです。」
「分かったよ。最後ゴングは?」
「おらは、殴るしか出来ねえから拳に合うガントレットと重くても良いから、
防御力高めの防具をお願いするだ。」
「わかった。
皆の装備をこれから作り始める!
出来上がるのは大体2週間後だけど、いいかな?」
「あぁ、任せた!」
「コウ達は、2週間何してるの?」
「とりあえず、明日は初心者ダンジョンクリアしに行こうかと思ってるんだよね。」
「その武器で?」
「えっ?」
コウは剣を抜いて見てみた。
刀身はボロボロでヒビが入っており、
いつ折れてもおかしくない状態だった。
あれだけ激しい戦闘を繰り返してたら当たり前か...。
「ならさ、明日ダンジョンに行く前にうちの店に寄ってよ。
その剣よりは良い剣を2本貸すからさ!
そうすれば双剣術もレベル上がるでしょ?」
「ありがとう!ソーマ、本当に助かる!」
「あくまでも、新しい剣が出来るまで貸すだけだからね!折らないでね!折ったら買い取りだからね~。高いぞ~!」
ソーマは商売人特有のニヤケ顔しながら俺に言ってきた。
「あ、あぁ。
絶対折らないから大丈夫だと思う...。多分。」
自信はないが...。
それから俺達はソーマの店を出て、換金の為にギルドに向かった。
ギルドに着くと、ラテが迎えに来たのだが...。
「アルト君!お帰り~!」
「ラテさん!ただいま~!」
「アルト君、それどうしたの?
肩に妖精のヌイグルミなんて置いて!可愛い~!!」
「ラテさん、これはヌイグルミじゃなくて...。ようせ...。」
「アルト様。何ですか?
この明らかに性悪の獣人モドキの女は?」
「はぁ~?何?
今このちんちくりんの妖精モドキから声が聞こえた気がするんだけど。」
「何よ~!」
「アンタこそ何よ~!」
やっぱりめんどくさい事件が起きた...
(マスターはこれでもモテたいですか?)
うーん...。
羨ましいけど、めんどくさいのはやだな....。
俺は平和主義者だし...。
(フフフフ。安心してください。
大丈夫ですよ。マスターにそんな悩みが来ることは多分無いので...。)
ん?
それはどういう事?
(内緒です。)
ヴォイスと話してる間も、ラテとリアは揉めていた。
俺は助けには行かない。いや、行きたくない。
どうせ空気が読めないとか、
あんた邪魔とか言われて、俺だけに二次災害が起こるのが目に見えてるからだ...。
すると、
「もう2人ともいい加減にしてください!!」
アルトが怒った。
「2人供なんで、出逢ってすぐケンカしてるんですか?なんなんですか!?」
いやいや、その原因は
「僕はラテさんにもリアにも仲良くしてもらいたいんです!」
「まぁ、アルト君がそう言うなら...」
「はい。アルト様がそういうなら...」
「じゃぁ、2人して和解の握手して。」
2にんはひきつった笑顔で握手した。
「ここはひとまず休戦ね...」
「そうね。一旦休戦ね...」
そんな感じで一応、おさまった...。
その後俺達はいつも通り奥の倉庫に、
キラーアントとクイーンアントの死体を置いた。
換金は明日と言われ、これ以上揉め事が起きない様に早々にギルドを出た。
ラテは着いてきたそうにアルトの姿が見えなくなるまで見送ってる。
いやいや、明日も逢うじゃん....。
(マスターはそういう所が鈍いというか、
女心が分かってないと言うか...。本当残念ですね...。)
残念言うなや~!
テンション下がるわぁ~。
それから俺達はノラ猫亭行き、
ご飯を食べ、明日の予定を話してベッドに潜るのだった。
今日は色々あって心身疲れた...。
(マスター。ゆっくり寝てください。)
うん。おやすみ...ヴォイス...
(おやすみなさい...マスター...愛しています...)
ヴォイスの声はすでに夢の中に居るコウには届いてはいなかった。
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