第29話、女王クイーンアント。





俺はクイーンアント達と対峙していた。



ギィィィーー!!



クイーンアントが鳴くと黒いキラーアント達が俺に襲い掛かってきた。

親衛隊のキラーアントは羽根を広げて滑空しながら、俺に向かってくる。


「早い...。けど、この程度なら!」


向かってくるキラーアントをサイドステップで避けて、


「一閃!」


俺の鋭い一撃がキラーアントを真っ二つにする。

レベルが上がってバッシブスキルもカンストしたからか、驚くほど攻撃力が高い。


これなら行ける...。


「一閃乱舞!」


超高速の斬撃が親衛隊のキラーアントを一瞬で全滅に追いやった。




コウがキラーアントと対峙してるとき、

アルト達はコウの待つクイーンアントの所まで歩いてた。


「全然キラーアント出てこないね...。」


「んだな..。

こんなに出てこないと、逆に不気味だべ」


「コウくんが心配だ!早く進もう!」


「先生!焦っちゃダメだべ!

兄貴に2人を守れと言われてるんだから、

オラが先に行くだ!」


「ゴンさん...。分かった。お願いするよ。」


ゴングを先頭に警戒しながら進んでいくが、

一向にキラーアントが出てこない。

ひょっとしたらコウは全て知ってた上でこっちに誘導したんじゃないか?


アルトとゴングはそう思っていた。


アルト達はしばらく歩いていると、

広い空間に出てきた。


ギィィィ!!


キラーアントの声と共にコウの姿がそこにあった。


「一閃乱舞!」


コウの声が聞こえた瞬間。

黒いキラーアント達は一瞬でバラバラになっていた。


「す、すごい!速すぎてなにも見えなかった...。」


「ほんとだな!兄貴は凄すぎるべ...。」


「なにあれ?ホントに人族ヒューマン?ヤバすぎるわよ...。」


三者三様の言葉がコウに掛けられてた。


「コウ君!!」


「もう追い付いたんだな...。」



俺はアルト達が追いつくまでにクイーンアントを一人で倒したかった。

レベル70のモンスターをソロで倒せれば、

俺は強いって自信がつくんじゃないかと思っていたからだ。


「皆、悪い!

コイツは俺一人でやらせてくれないか?」


「なっ!?だ、大丈夫なの?」


「あぁ...。

だがもし俺が危なさそうになったら、手伝ってくれないか?」


「うん。分かったよ!コウ君無理しないでね。」


「兄貴、気を付けてくだせぇ。」


「あぁ!任せろ!」



俺はクイーンアントに視線を戻した。

クイーンアントは物凄い威圧プレッシャーを放っている。


これが強者の威圧プレッシャーか...。


(マスターは気付いてないかもしれないですけど、相手もマスターの威圧プレッシャーを感じていますよ。)


そうなのか?


(マスターは結構、無自覚ですね。)



俺は先手必勝とばかりに、瞬歩で近づき首筋に一太刀を放ったが、難なくクイーンアントに防がれた。


さすがにそんなに甘くはないか...。


反撃だ!と言わん限りにクイーンアントの両手の鎌が俺に向かって振り回してくる。


ブン!ブン!

と振りかぶってくるが俺には全て見えてるので当たらない。

10分位だろうか?

お互いの攻撃が全く当たらない。


俺は段々スピードのギアを上げていった。

すると徐々にクイーンアントに攻撃が当たっていく。


もっと速く...。


もっと速く...。


俺は速度を上げていった。

段々クイーンアントが反応できなくなり、ボロボロになっていく。


クイーンアントの弱点は火と氷だったよな...。

そういえば、まだ使った事のない技がある、ゴングの元仲間のナミカゼの「火炎斬り」。

それを「一閃」と組み合わせてみるか....。


俺はナミカゼの動作を思いだし、剣に炎を纏わせる。

これだけで倒せそうだが、

念には念を入れて[集中]をする。

クイーンアント隙を見せた一瞬を俺は逃さない...。



「ここだ!火炎一閃カエンイッセン!」



クイーンアントの胴体を真っ二つにして、

なおかつその斬り口から燃やしていった。



ギャァァァァ.........。


クイーンアントは黒焦げになり、完全に沈黙した。

クイーンアントの撃破を確認した3人はコウに近づいてきた。


「コウ君!お疲れ様!凄い技だね!」


「あぁ...。技と技を組み合わせたんだ。お陰でちょっとオーバーキル気味だったが...。」


「兄貴!凄すぎだべ!

最後の技はナミカゼの技に似てただな!」


「あぁ..。ゴングには言ってなかったが、

俺のユニークスキル「ミヨウミマネ」で、

ナミカゼの技を真似したものと他の技を組み合わせて再現したんだ。」


「兄貴は本当に凄いべ!

おらは兄貴の強さに感動したっぺ!」


「.........。」


2人は絶賛してくれたが、リアはコウの強さに引いていた。


周辺の残存勢力が居なくなったのを確認し、倒したクイーンアントの残骸を収納して、俺達は巣を出て神秘の泉に戻っていくのだった。

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