第19話、誤解です!俺は、悪くないんです!




朝起きてアルトといつものように朝食を食べる。

良く毎日ちがう料理をこれだけ出せるなと質の高さに驚く。


「オカミさん!

今日も美味しかった~!

今日から2、3日戻れないかもだからお弁当用意出来るかな?」


「おやまぁ、出張かい?わかったよ!

多目に作るからたぁんと食べておくれ!!」


数分後ドサッとお弁当の山が目の前に現れた。


「ちょっと張り切って作りすぎちゃって大丈夫かい?」


お弁当の山を収納し、


「ありがとうございます!

いつも感謝してます。」


「いいのよ!

気をつけて行ってらっしゃい!」


「行ってきます!」

俺とアルトはオカミさんに挨拶をしてギルドに向かった。



ギルドに着くと大きな男が入り口に付近に立っていた。

その男はゴングだ。



「コウの兄貴...。

おらを舎弟にしてくんろ!!」




....は?

コイツは何を言ってるんだ...?


隣を見るとアルトは固まってた...。


「おらは、

ズールの村から花嫁探しに来たんだけど、

こんな顔だから全然モテなくて声を掛ければみんな逃げて行って、

心がやさぐれて暴れたりしてしまっただ。

本当にすまなかっただ...。

そんな中コウの兄貴はおらに真っ直ぐにぶつかって来てくれて、

ぶっ飛ばされて改心しただ。」


...そうなんだ。

...なんとも可哀想なヤツだな。


(本当ですね...。まるでマスター見たい。ププッ!)


おい!?

ヴォイスさんやそれは言い過ぎでは無いのかい?

俺はモテるはず...。

ん?あれ?

そういえば、そんなモテイベント一回も起きてないんだけど...。


(ゴングと同じ穴のムジナですね。ププッ!)


流石に傷つくよ...。


(安心してください。

マスターには、ワタシが居ますから...。)


あぁ...末永くお願いします。

(はい!旦那様♪)


ヴォイスが嬉しそうならまぁいいか...。

ところでゴングのヤツどうしたもんかな...?


「アルトはどう思う...?」


「ぼ、僕は...。」


まぁ複雑だろうな...。


「アルト先生、お願いしますだ!!

是非ともおらを兄貴の舎弟に...。」


「...僕は、コウ君が良いならいいんじゃないかな。」


おい!

アルトやーい!

結局、俺に丸投げかぁ~い!!


「コウの兄貴!!お願いしますだ!!」


ゴングは土下座をしてきた。



...!?


おい!おぉいー!!

公衆の面前で土下座はないだろー!!

このままだと俺が悪者じゃないか!?

辺りの冒険者も、冷やかな視線でひそひそ話してるし。

俺がボコった相手をイジメてるみたいになってるぅぅ!!

これはマズイ...。

非常にマズイ...。

俺のイメージがどんどん悪くなる...。

もうこうなったらしょうがない...。


「わかった!

わかったから、土下座は止めてくれ...。」


ゴングを急いで立たせる。

「兄貴ありがとう...。先生ありがとう...。」


ありがとう言ってるけど、コイツは舎弟でいいのかよ..。


(本人がいいって言ってますし、別にいいんじゃないですか?)


まぁ、そうだな...。

あっ!アルトの為にこれ聞かなきゃ!


「ゴング。」

「はい!なんでしょうか!?」


「ラテさんの事はもういいのか?」


「はい!

ラテさんは、唯一おらに物怖じせず話してくれたんです。

それにおらが勘違いしてしまいました。

ラテさんにも謝りたいです。」


「そっか!そういう事なら安心だな!

アルト!」

「う、うん。」


それにしても魔女のパワーはとんでもないな...。


新たにゴングがパーティーに加わった。

これでアルトを守ってもらえば、

アルトの守りの不安は消えたな。

案外いいのかも知れない。

まぁ、昨日の敵は今日の友って言うしな...。


(正確には舎弟ですが...。ププッ!)



「そういえば、狼の牙はどうしたんだ?解散したのか?」


「おらが抜けただ。

あんな失態をしてしまったから...。

これからはナミカゼがリーダーとしてやるのであのパーティーは大丈夫だぁ。」


「そうか...。」


ごめんな...。

ゴリラの檻なんて言って...。


そんなことを話ながら、俺達はラテさんの受付の前に来た。


「ラテさん、おはようございます!」


「...おはよう。」


ラテさんがゴングに警戒してるみたいだ...。


「ほら、ゴング。

ラテさんに言わなきゃ行けないことあるだろ...。」


「ラテさん...。今まですいませんでした。

これからは、

コウの兄貴とアルト先生の元で頑張ります。

しつこくしてすいませんでした。」


「ま、まあ良いわよ。水に流してあげる。

その代わりちゃんとアルト君を守ってね!」


「わかっただ!約束するだ!アルト先生を守るだ!」


おーい...。

2人とも俺は...?

別にいいけど...。


「それでラテさん。

武具の素材取りで、ロックマウンテンに行くんですけど何か依頼ってあります??」


「今は特に無いなぁ。

でも素材の買い取りはいつでもしてるから!」


「そうですか。了解しました。」


「そうだ!アルト君!これあげる!」


「これは?」


「私が冒険者時代に使ってたバックラーだよ!

すごく軽くて魔法使うときにも邪魔にならないと思うんだ。

良かったら貰って欲しいな...。」


「ラテさん...。僕の為に...。

ありがとうございます!

大切に使わせていただきます!」


「喜んでくれて良かった♪」


2人の間にお花畑が咲いてる...。


なんだこの2人...。

もう付き合っちゃえよ...。

早い段階でヒロイン登場だな。

ってあれ?

もしかしてアルトが主人公...?

いやいや...。俺は?

俺って一体...。


俺がブツブツ言いながら考えていると、


「ほら!コウ君行くよ!」

「兄貴行くだすよ!」


「あ、あぁ...。」


なにか腑に落ちないまま、

ノースフォックス武具屋に向かった。


「おはよう。やっと来たね!

ん?コウくんどうしたんだい?

難しい顔して...。

お腹でも痛いのかい?」


「別に、何でもないよ...。」


「そうか!ならいいけど、...ところで君は?」


「おらはゴング!

コウ兄貴とアルト先生の舎弟ですだ。

よろしくお願いしますだ。」


「僕は、ソーマ。

このノースフォックス武具屋の店主さ!

宜しくね!

さてこれから行くけど大丈夫かい?」


「あぁ。大丈夫だ。」


「山の麓までは、この馬車で行くから乗って!」


皆で馬車に乗り込んだ。



「いざ!ロックマウンテンへ!」


馬車にゆらゆら揺られながら向かった。

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