第14話、もういや!フラグは立てないで!
10階層ボスの部屋だ。
部屋は薄暗く視界が悪い...。
警戒レベルマックスで慎重に歩いていると、
行きなり部屋に灯りが灯った。
視界に現れたのは、
武装しているゴブリンソード20体と、
魔法使いの格好をしているゴブリンマージ10体、
その奥の玉座に偉そうにふんぞり返ってる、ゴブリンキングだった。
「ここボス部屋だよな?」
「そのはずだけど...。」
「何か思ったより数少なくないか?」
「だよね...。
もしかしたら、めちゃめちゃ強いのかも...。」
アルトがそう言うが、俺には全然強そうに見えない。
でも、ここはダンジョンだ。
油断したら殺られると思い気を引き締める。
「アルト!作戦通りに行くぞ!」
「うん!」
ゴブリン達はニタニタとこっちを見て油断しきっている。
ゴブリンキングに至っては、鼻をほじってこっちを見ている。
「完全に舐めてやがるな...。」
コウはゴブリン達の様子にイラつき、
極限まで魔力を高めていった。
(マ、マスター!
魔力込めすぎです!
魔力を抑えてください!)
イラついてる俺にはヴォイスの声が届かなかった。
そして、
「
魔法を放った瞬間、
俺のMPがごっそりと持っていかれた。
放たれた魔法はアルトのとは全く別のものだった。
龍の姿をした雷が現れ全てのゴブリン達を飲みこんだ。
一瞬だった。
プスプス………
全てのゴブリンが黒焦げに……
ゴブリンキングすらも…
「....へっ?」
あまりの魔法の威力に、俺は驚いた。
(マスター。完全にオーバーキルですね。
魔力を込めすぎです。
今の半分の魔力でも充分倒せましたよ……)
えぇ...。
そう言うことはちゃんと言ってよ...。
(はぁ!?
ワタシはちゃんと言いましたよ!
マスターはあれですか??
怒りに任せて行動する器の小さいモブキャラを目指しているんですか??
マスターは冷静かつ華麗に殲滅していく格好良くてモテモテハレームの最強のキャラを目指してるんじゃないですか??ガミガミ……)
ヴォイスの超高速説教が始まった…。
す、すいませんでした...。
(全く!!
しっかりしてください!
わかりましたか!?)
は、はい...。
せっかく倒したのに怒られるとは...。
トホホ...。
俺がヴォイスの説教にうなだれているとアルトが目を輝かせながら近づいてきた。
「コウ君!ナニあれ!?スゴいよぉ!
なんの魔法なの??」
「何って...。
魔力を高めた
「魔力を高める?
....。
.........。
...............あっ!?
なるほどぉ!?ワイディングスタンの逆か!
コウ君ありがとう!
めちゃめちゃ参考になった!」
「でもオススメは出来ないぞ...。
MPをゴッソリと持っていかれるし。」
「大丈夫だよ!
ちゃんと相手を鑑定して少しオーバーダメージ位に魔力を調整するから!」
「本当天才すぎるだろ!」
ん?
待てよ?
俺はオートで鑑定してるんだよな...?
(ちゃんと表示してますよ。
マスターはイラついたりキレると目まで悪くなるんですか??
馬鹿なんですか!?)
俺はまたヴォイスの地雷を踏んだ。
(もっと冷静にかつ華麗に格好よくですよ!)
はい....。善処します。
「コウ君!10階ボス部屋は楽勝だったね!
僕でも行けちゃったかもね。」
....ん?
...ちょっと。
「美味しいところコウ君に全部持ってかれちゃったなぁ~!」
...アルトよ。
あんまり変な事言わないでくれ...。
「ボスもボスだよね!
キングがついても所詮はゴブリン。
全く拍子抜けだね。」
...はい。フラグ確定。
アルトは毎度毎度フラグを立てなきゃ気がすまんのか...。
俺はそう思いながら、辺りを警戒する。
なんか変だ...。
ボスを倒したのに次の扉が開いてない...。
これはきっと何かある...。
「アルト。気を引き締めろ!
まだ終わってない!!」
「えっ!?まさか~。」
「ボスを倒したのに、
このさきの扉が開いてないのが証拠だ。
何かまだあるぞ。」
俺はマナポーションを飲みつつ、警戒する。
......。
.............。
(マスター!!上です!!)
ヴォイスに指示され上を見る。
そこには大きくて黒い影が現れた。
その黒い影はゆっくり降りてきた。
バサッバサッ。
...........ズドォォン。
目の前に現れたのは、
体は大きな鳥の形、
シッポが蛇のCランクモンスター、バジリスクだった。
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