第12話、アルト...。フラグって知ってる?立てちゃダメなんだぜ。
2人は7階層に辿り着いた。
草原エリアとまるで違って、石造りの遺跡風のダンジョンだった。
ここでのモンスターは、
ブラックウルフはウルフの強化版。
スピードに特化しているがウルフと違ってそんなに群れないので出現も単体が多いらしい。
オークも7階層から全身に武器を装備しているらしい。
性欲よりも戦闘が好きなオークが集まってるのだという。
7、8階層は通路の幅も狭く、
オーク2体分位なので戦闘は楽だった。
俺とアルトは交互に向かってくる敵を倒していく。
俺は剣で、アルトは魔法で...。
戦闘もレベル上げも格段に効率が良くなった。
8階層降りるときに、
「なんか順調だね!コウ君!」
「あぁ...。そうだな...。順調すぎて少し怖いわ...。」
「大丈夫だよ!
僕たち2人なら、
どんなモンスターでもドンと来いって感じじゃない?」
.....?
これは俗にいう
「アルト...。
あまり変な事言わないでくれ...。」
「何でさぁ~!
もう僕達は、そこら辺のCランク冒険者達より強いじゃん!」
......何だこの違和感。
普段のアルトなら、こんなことは絶対言わない...。
システム的なナニカを感じる...。
そのナニカは分からないが...。
「アルト。マジでフラグ立てないでくれ!」
「フラグ??何それ?コウくんビビりすぎだって!大丈夫、大丈夫!!」
アルトは笑ってそう言うが、俺はどうしようもない不安が拭い切れなかった。
...不安を感じながらも順調に俺たちは9階層に着いた。
広い空間だ...。
すさまじく大きな空間だ...。
奥行きもあり先が見えない...。
どうか何も起きませんように...。
俺は祈るように9階層に入る。
「広いな...。」
「うん...。広いね。」
とアルトが言った瞬間9階層の入り口が閉じた。
「閉じ込められた!?」
.......!?
入り口が閉まった瞬間、
モンスター達の気配が溢れ出した。
100や200どころじゃない....。
この数は異常だ...。
「アルト!!
俺は即座にアルトに指示をだす。
「えっ?」
アルトはまだこの異常な雰囲気に気付いていない。
「いいから早く!!
ここはモンスターハウスだ!!
モンスターの波が来るぞ!!」
「ほ、本当?」
「本当だ!!早くしろ!!」
「う、うん。」
俺の切羽詰まった表情を見たアルトは、急いで魔法の詠唱を始めた。
俺はアルトを背に剣を握る。
3階層のデスパレードの時と同じ戦法じゃなきゃこの数のモンスターに太刀打ち出来ない。
なにがなんでもアルトが詠唱を終わるまで、
守りきる...。
不安と緊張で剣を握る手が汗ばむ。
俺の顔の汗が地面に落ちた瞬間。
モンスター達が襲いかかってきた!
足の早いブラックウルフが先行で次々と俺に襲いかかる。
後ろには甲冑で固めたオークが、ニタニタと俺を見ながら待機していた。
襲いかかってくるウルフを次々と薙ぎ倒していく。が...
ヤバい...!
数が多すぎる...!!
俺はバックステップで少し距離を取った。
「
俺が放った風の刃がモンスターを次々と倒していく。
...が。
甲冑で固めたオーク達には弾き返された。
俺はかなり焦っていた。
アルトを守りながら戦ってる負担と、物量の差で俺のHPはガンガンと削られている...。
っと、その時....。
「コウ君!伏せて!」
来たか!!
俺はその場に伏せる。
「神雷の嘆きと共に。
一瞬辺りから音が消える。
次の瞬間。
おびただしい雷渦が、大勢のモンスターに襲いかかった。
レベルが上がっているからなのか、
3階層で放った時とは威力も範囲も段違いだった。
それでもまだ奥の方に気配がある。
「ハァハァ、アルト...。もう1発行けるか?」
アルトはマナポーショ飲みながら、
「ハァハァ、後1発...ギリギリ行けそうだよ。」
「俺がモンスターを引き付けるから頼む!」
「わかった!
....コウ君!!」
「なんだ?」
「死なないでね!」
「こんな所で死んでたまるか!!」
そう言ってコウはモンスターの所に向かっていく。
......。
..............。
.........................!?
ちょっと待て....。
フラグじゃないよね.....?
俺は不安を感じながらも手負いのモンスターを次々と倒していく!
しばらくして、
「コウ君!」
合図が来た!
また俺はその場に伏せる。
「
アルトが放った雷渦が、
残ったモンスター達、全てを一瞬で葬っていく。
やっと、モンスター達は全滅した。
しかし、アルトはその場で倒れた。
俺はアルトの側に行き、すぐにマナポーションを飲ませた。
「アルト....。大丈夫か?」
「な、何とかね....。」
「モンスターハウス半端ないな....。」
「本当だよ...。僕、魔力がほとんど無くなっちゃたよ...。
10階層では、何の役にも立たないかも知れない...。ゴメンね。」
「何言ってるんだ。
アルトが居なかったらこの階層はクリア出来なかったんだから。
本当にありがとう。
後は、俺が何とかしてやる!」
「うん。後はコウ君にお願いするよ。」
さすがに疲れたので、俺たちは10階層のボスの部屋の前で、
しばし休憩することにしたのだった。
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