第7話、異世界飯最高!そして、俺は君と離れたくない!
程なくして、宿屋ノラ猫亭に着いた。
いいネーミングセンスだ。
俺の為にあるんじゃないかと思う。
何故かって?
この世界クラウディアでは、家族も居ないし完全に
俺はそんなこと思いながら、店のドアを開けた。
「こんにちは~!」
「あら、いらっしゃい。アルトくんはお帰りなさい!」
「た、ただいま。」
ノラ猫亭のおかみさんが出迎えてくれた
アルトは恥ずかしそうに言う。
典型的な恥ずかしがり屋さんだなこりゃ。
「宿を借りたいんだけど空いてますか?」
「空いてるよ!
何泊借りるんだい?
うちは1泊、朝と夕食付きで銀貨20枚だよ~!」
どの位の単価なのかは分からないけれど、そのくらいなら余裕であるから支払う。
「とりあえず7泊お願いします。」
「あいよ。」
金貨2枚置いてお釣銀貨60枚受け取った。
「部屋はアルトくんの隣の部屋で2階の奥の部屋だよ。
ご飯はもう食べれるけど食べるかい?」
「はい。お願いします。」
そう言って2人はテーブル席に座った。
「アルトはこれからどうしたいとかあるか?
明日とか。」
「...うん。...僕はダンジョンに行ってみたい。」
「おっ!良いねぇ~!
俺も行ってみたかったんだ!
なんたってダンジョンはロマンがあるよなぁ~!」
「だよね!良かったぁ~!
コウくんなら絶対分かってくれると思った!」
アルトは急に明るくなって子供みたいな顔してくる。
「あはは!なんだそりゃ?」
「ロマンはダンジョンにあり!
そして、出会いはダンジョンにあり!
って僕のじいちゃんが良く言ってたんだ!」
「アルトんちのじいちゃん最高だな!」
「うん!」
楽しく会話してるとそこにいっぱいの料理が運ばれてきた!
「めっちゃ旨そう~♪さっそく食べようぜ!」
「うん!」
初めて食べた異世界メシはとにかく最高だった!
なんと言う事でしょう……
肉汁溢れるオークのステーキ!
一口噛めば旨味と言う肉汁が湯水の如く溢れる!
A5ランクのなんたら肉にも引けを取らないであろう。
ステーキ...素敵。
そして、マナ草と薬草のトマトスープ!
酸味が絶妙でお肉の油をリセットしてくれる。
マナ草と薬草の独特な苦味とトマトの甘味がマッチしてこれまた最高!
最後は、
オークの骨で出汁を取って炊いた米を、
ガーリックとコッケーという鳥の魔物の玉子で炒めたガーリック焼き飯!
ガーリックとオークの出汁とのベストマッチに驚いた。
気づけば昔から居た相棒!的な...。
そこに玉子の優しい甘味。
「これはまさに....味の宝石箱やぁ~!」
「プッ!何それ?コウくんは大げさだなぁ。」
「このネタがわからんとは....。
アルトはまだまだだな。」
アルトは知るわけもないが....。
とにかく初めての異世界メシに感動した。
朝食も楽しみだ!
そうしてお腹いっぱいになった俺たちは明日朝に食堂で待ち合わせして、
それぞれ部屋に入った。
ふー!
食った食った!
コウは満足してベッドに寝転んだ。
(マスター...。)
ん?
どうした?そんな神妙になって...。
(....い、いや。今日1日ご苦労様でした。
どうでした?)
めちゃめちゃ楽しかったよ!
刺激的で!
元の世界に居たら感じることのない楽しさだと思う!
(良かったです。マスター...。
それでですね...。
もうすぐでチュートリアル終了となってしまいます。)
えっ....?
マジで?
(マジです。)
チュートリアル終わったら消えるのか?
(そうなりますね...。)
嫌だ...。
完全に俺の我が儘だが、
ここまで天ちゃんが居なかったら辿り着いてないし、
最初のゴブリンで死んでたかもだし。
俺はもっと天ちゃんと一緒に居たい。
そして天ちゃんにお礼がしたい。
(マスターは変わってますね...。
ワタシは神の造った創造物でしかないのに。)
それでも...。
俺は一緒に居たい。
(...わかりました。
成功するかはわかりませんが…
そしたらワタシに名前を付けてはくれませんか?)
名前かぁ……
あれ?
最初の時、自分で「天ちゃんでーす!!」何て言ってなかったっけ?
まぁいいか...。
天使の声....
...声。.......英語で言うと...
安直かな...?
ヴォイスなんてどうかな?
(...マスターは安直ですね。
でもわかりました。
少しステータスの改編作業に移るので、
マスターは寝てください。)
えっ?
でも....?
(駄々こねて子供ですか?
中身38歳の中年の駄々っ子とかキモ過ぎますよ!
寝ないんですか?
寝ないのならまだ精神的に総攻撃しますけど...。)
はい!
寝ます!
なので明日は優しくしてください!
コウはそう言って目を閉じた。
よっぽど緊張やら疲労やらで疲れてたのだろう、コウの意識はすぐに離れた。
(明日が来ればですけど...。
さて...こちらもやることをやらねば。)
ヴォイスは名前を付けてもらって、
自我がハッキリと芽生えた。
(マスターに不利益があってはならない。
私自身をマスターのオリジナルスキル化して神からのギフトである鑑定と収納を統合。)
統合完了まで5…4…3…
....貴様何をしてる。
2…
統合?なるほど...道具の分際で自我が目覚めたのか...。
1…
今からじゃ時間がない...。
もう少し強くなってからこの者を取り込む予定だったのに余計な事を...。
0…
その瞬間コウの身体から黒い何かが出ていった。
……
…………
統合完了。
(無事に終わった...。危なかった。
もう少し早くに気付かれてたら私は完全に消されてた...。)
ヴォイスは安堵に包まれた。
そして、コウの中で眠るのだった...。
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