第2話 私とまふゆとチーズケーキ

 よくよく考えたらあの夢はおかしい所だらけだった気がする。まず、まふゆと私はあんなことしない。仲がいいわけじゃないし、どちらかといえばちょっと絡みづらい人と私に中では認識してる。あとは、なぜまふゆが私を殺すかだ。まふゆはあんな理由じゃ殺さないはず。あと現実で起きて欲しくない。そう心の中で願った。そんなこと考えてたら、まふゆの家に着いた。迷わずインターホンを押した。変な風に緊張してる。大丈夫か私。なんかやけに家の周りが静かだ。少し待ったらまふゆらしき声で「はい、どなたですか?」と言われた。やっぱり「優等生」はしっかりしてるなぁ。

「すみません。東雲です。まふゆさんに用があって来ました」

『絵名か。親、居ないから中に入っていいよ』

初めてまふゆの家に来た。綺麗な家だなぁ。まふゆの部屋に案内された。ちょっと待っててだのこと。2分ぐらい待ったらチーズケーキとコーヒーを持って来てくれた。瑞希とは違って気が効くなぁ。

「とりあえず、ここに座って」

何だかそわそわする。まるで経験したことないことをされる感じがする。が、案外普通だった。新曲のMVのイメージについてや、ジャケット、次の打ち合わせの場所の変更などだった。聞けたし、もういいか。チーズケーキ美味しかったなぁ。いつも私が行ってる店のやつだった。立とうとした瞬間止められた。正直驚いた。まふゆはこんなこと普通はしない。いつも色のないまふゆの目に輝きがあった。

「−−かないで」

なんて言ったかわからないという顔をすると少し声を大きくして言ってくれた。

「……行かないで!」

私には理解ができなかった。なぜ、急に?と思っていたら心が読まれたのか続きを言ってくれた。

「絵名ともっと居たい。話したい。いや、違う。触れたい」

「まふゆ……」

と声が漏れた。気づけば距離は10cmもなかった。多分二人ともしたいことは分かっている気がする。まふゆはじっと私の目を見てくる。恥ずかしい。

「早くしてよ、ばか」

視線を逸らし、小声にして言った。そしたらまふゆはベットに押し倒しながらキスをしてきた。年頃の女の子が二人、私たち誰も居ない家でキスしてるなんて誰が思うか。それにしても妙に上手い。まふゆの匂いと私の匂いが混ざり鼻に入るたびに頭が真っ白になる。甘い香りだった。押し倒した時は乱暴だったのに、キスをする時は抱いてくれるように優しかった。ちょっと嬉しいなんて思う私がここに居た。心臓がバクバクしている。それに他のことしてくれると期待している。私たちは入ってはいけない世界に入ったのかもしれない。

 絵名が家に来た。少しだけ嬉しかった。けど今の嬉しさに勝てるものはないと思う。とうとう絵名とキスできたんだもの。ニーゴのみんなと練習した甲斐があった。いつも鋭い絵名の目が丸くなってる気がした。頬が少し赤い。こんな顔するんだ。手と手を絡めた。恋人つなぎとかいうやつをする。そのまま足も絡めた。これで逃げれない、私のもの。45秒ぐらいキスをしたし離すことにした。呼吸が荒くなっていた。やめてというと思ったが離れたくなさそうに手を繋ぎなおし、続けてこう言ってきた。

「まふゆ。もっとやってよ。一回だけじゃ足りない。」

「じゃあ、舌入れていい?」

正直驚いた。こんなこと言うとは。と言うか自然な流れで何聞いてるんだ私。絶対引かれる。

「……うん、いいよ。入れても。」

また予想もできない答えが返って来た。いつもなら「は?」とか言うのに。多分絵名の中のスイッチが入ったんだろう。ゆっくりと顔を近づけた。絵名は準備万端らしい。目をつぶって待っている。かわいい。もっといじめたくなるじゃないか。私もスイッチが入った。首を舐めることにした。絵名の反応が気になったからだ。そっと首の方に口を近づけた。舌を出せばもう舐められる距離だ。何の迷いもなく舐めた。舐めた瞬間絵名の体がビクッと反応した。その反面声を出すのを我慢してるようにも見えた。舐める回数を重ねるとどんどん反応が激しくなる。首が性感帯なんだ。大変だなぁ。首から顔を離した。絵名はすごい顔をしていた。目はとろんと溶けそうなほど垂れていたが、見られるのが恥ずかしいのか腕で顔を隠した。頬もさっきより赤いし、耳は真っ赤っか。呼吸もさっきより荒い。はぁはぁという呼吸が私の耳を埋め尽くしていた。もう今の私には自制心はない。欲望のままに動いた。今の絵名はすぐ反応ができないと思いキスをした。舌を入れて。入れた瞬間絵名の目が見開いたがすぐに閉じた。確か、口の上のザラザラしたところを舌で刺激すると気持ちいとか。あたり。絵名の腰が撥ねた。さっきまで絵名が食べていたチーズケーキの味がした。さっきのキスみたいに甘くて、濃厚だった。コーヒーの苦味を忘れるぐらいに。絵名はきつく結んでいた手を離し、抱きついた。両手が自由になった私は右手を耳に移し、触った。耳も性感帯らしい。触るたび体が撥ねる。もっといじめたい。私はキスを激しくした。気持ち良かったらしい。抱きつく力が強くなり、顔も別人のようになっていた。このとろけた絵名の顔が好きでたまらない。できるなら陵虐したい。いや、陵辱か。そんなのどうだっていいや。ただ今は絵名とずっと一緒に居たかった。

「いただきまぁす」

私はこの言葉を境に絵名と何をしたか覚えてなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る