第1話 現実と妄想の境目

 私は今まふゆに首を絞められている。苦しいのに温かい、よくわからない感情だ。そろそろ死にそうだ。なんとなくだが分かった。きっと、まふゆが手を離した時は、血の気が引いていると思う。まふゆはどこに隠そうか迷っていると思う。もしかしたら違うかもしれない。そんなの今考えたってどうしようにもないか。ばかばかしくなって笑ったら、まふゆの絞める力が強くなった。さっきより苦しい。さっきとは違って温かさではなく冷たさを感じた。それもいつもとは違う冷たさだ。本気で殺しにきてるみたいな。いや、違う。本気で殺しに来てるんだ。抵抗しても無駄だと思った。絶対忘れないように閉じていた目を開けた。まふゆは必死なようだ。ふと、まふゆの力が抜けた。不思議そうな目をして

「苦しい?」

と言ってきた。は?そんなの見てわかるでしょ。逆に私は質問で返した。

「苦しくないし。あと何のつもり?」

「あんたが……絵名がうざいから!!」

その時、絞める力がまた強くなった。さっきとは比べものにならないぐらい苦しい。やばい、本当に死ぬ……!

「……っは!」

夢だったらしい。パソコンの電源が付けっ放しだった。あまり覚えてないが、確か25時からニーゴのみんなとチャットしてた気がする。

「会話の内容覚えてないし、聞いてみる、か」

奏では曲作りで忙しいし、瑞希は寝てるだろうし、まふゆか。さっきのもあったしなんかやだなぁ。

『起こしたらごめん。寝落ちしてたみたいでチャットの内容覚えてないから教えてくれない?』

返信は3分ぐらいで来た。もともと起きてたのか、今起きたのか。わからないし、今そんなのいいか。

『今日、13時に私の家に来て。住所はURLにある。』

なにそれ。

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