第6話 金澤玲奈 小学生
私は小学生の頃、親の転勤による転校でいろんなところに行っていた。
小学校は一学期に一回変わるのが普通で、二学期間入れたらいい方だった。
それが理由で、いつも私は【新しい】人だった。
低学年の頃は気にせずに話しかけていたが、高学年になってくると小学校の中でグループが出来上がってしまっていて、私が入るところはなかった。
小学校六年生になる時、父が
「小学校最後の一年は転校は無しだ。思う存分楽しめよ」
それは父なりの気遣いだたのだろう。
今までは空気が悪くなっても転校してしまうからそういうことがなかったのは、幼い私ではわからなかった。
六年生、いつものように自己紹介を終え、クラスに一人でいることにもなじみ始めた頃、一人の女の子が話しかけてきた。
今までもそんなことはあったが、すぐに転校してしまうために仲良くはなれなかった。
「私は古原由依。玲奈ちゃん、前はどこに住んでたの?」
これが私たちの初めての会話。
最初私は聞かれたことに答えるだけだったが、由依ちゃんになれてくると、前に住んでいたところの話をしたりした。
楽しかった。初めて学校を心の底から楽しいと思った。
けど、それは長くは続かなかった。
由依ちゃんには他にも仲の良かった子がいて、私と話すまではその子が由依ちゃんとよく話していたようで、その子が私に由依ちゃんを取られたと思い、私に嫌がらせをし始めたのだ。
最初のうちはよかった。一人の女の子ができる嫌がらせなんて高が知れている。
しかし、そこからは酷かった。嫌がらせはクラスみんなに伝わり、せっかく仲良くなったクラスから段々と突き放されていった。
誰も助けてくれなかった。
辛かった。
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