第3話 この気持ちは…
図書室で金澤さんと話したのは惜しくも金曜日で、連続で話すことはできなかったが、俺はこのよくわからない気持ちを整理しようと思う。
俺は自分の感情はしっかり理解しないと気が済まない性格なのだ。
今まで金澤さんについて思ったことは、【美しい】【綺麗】【好き】の三つだ。
この三つはどれも【恋】には当てはまることだろう。だが、たとえ当てはまったとしてもそれが恋なのかと言われると、恋と断言することはできない。
俺は別に恋をすることが悪いとは思ってないし、むしろ恋をしてもいいとは最近思っているが、やはり昔の考え方が体に染み付いているのでなんとも言えなくなる。
「お兄ちゃん、どうかしたの?」
今で考えていたからか、舞が心配そうに聞いてくる。
「なぁ舞、お前は彼氏が好きなのか?
いや、別に変な意味はないぞ? ただ……好きってのがなんなのかを知りたくてな」
自分でも何を聞いているのかと思う。けど、これは自分一人じゃあどうにもならないと思った。
「んー、好きかな。
お兄ちゃんが知りたいっていうその好きっていう感情は、私にはどうしようもないと思う。好きって自覚するのは突然で、好きという感情は人それぞれだから」
やはり俺の妹は大人に近い思考なのかもしれない。こんな、心臓にグッとくる言葉を言えるなんてな。
人それぞれ……か。確かにそうかもな。
なんか、心が軽くなった気がする。
「ありがとう、舞。舞のおかげで色々かたがつきそうだ」
まだ俺は考える量が足りないのかもしれない。
自分なりの好きを見つけよう。
––––––––––昨日の俺、なんで好きを見つけるって思ったんだ?
昨日自然と好きって思った。これはなんなんだろう?わからない。
「ねえ、君影くん聞いてるの?」
「ああ、ごめんごめん。ちょっと考え事をしてて」
「えー、なんですか? 教えてくださいよ」
そう、休み時間に話していたら金澤さんは明るくなった。
「じゃあ、言いますけど……、笑わないでくださいね?」
俺は何故本人にこんなことを聞くのかわからなくなった。心臓がバクバク言っている。普通本人には聞かない質問だろう。
「最近、【好き】とか【恋】とかの感情がなんなのか知りたくて。結構悩んでるんです」
「恋……ですか。正直私にはよくわかりません。なんのアドバイスもしてあげられない。けど、相談に乗ってあげることならできます!
もし何か困ったことがあったらいつでも頼ってくださいね?」
この瞬間、俺は彼女に、彼女を、金澤さんに……恋をしているとわかった。
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